褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 突然炎のごとく(1962) 奇妙な三角関係のお話

2024年11月14日 | 映画(た行)
 三角関係というと我が国の政治家のような不倫絡みのドロドロの展開を想像するかもしれないが、本作はそのような展開とはちょっと違う。男二人(もう一人絡んでくるが)と女一人の組み合わせ。しかしながら男二人が一人の女性を奪い合うという展開にはならない。この男女の三人は時には三位一体のごとく仲が良かったりするのだが、女性があまりにも自由気ままに振る舞うのに、男二人が振り回されている印象を受ける。この映画の公開当時はまだ男性社会が幅を利かせていた時代だと思うのだが、そんな社会に鬱憤のたまった女性達は本作のジャンヌ・モロー演じる女性の生き方に憧れを抱くかもしれない。
 
 女性の奔放さに振り回される男性のダメっぷりも描かれているストーリーの紹介を。
 ドイツ人(オーストリア人?)のジュール(オスカー・ウェルナー)とフランス人のジム(アンリ・セール)は共通の趣味を通して親友同士になる。そこへ現れたのがフランス人女性のカトリーヌ(ジャンヌ・モロー)。3人はいつも一緒で一緒に海へ遊びに行ったりする。しかしながら、いきなり河に飛び込んだり、素っ頓狂な行動を繰り返すカトリーヌに戸惑いながらも、二人の青年は次第にカトリーヌに惹かれていくのだが、押しの強いのはジュールの方。やがてジュールとカトリーヌが結ばれるのだが、それでも3人は一緒に行動する。
 そんな時に第一次世界大戦が勃発。お互いに祖国から徴兵を受けて、ジュールとジムは別れてしまう。お互いに戦争を生き延び、祖国でジュールはカトリーヌと結婚し、娘が生まれる。そしてジムも祖国で恋人ができる。お互いの無事を祝してジムはジュールから招待を受けてジュールとカトリーヌの住むドイツへ行き、3人は再会を喜び合うのだが、ジュールとカトリーヌの夫婦仲はすっかり冷めており、ジュールの提案もありジムとカトリーヌが一緒に暮らすようになるのだが・・・

 カトリーヌの自由奔放さが凄い。結婚していても平気で愛人を作るわ、ジュールとジムの間を渡り歩くわで一人の男では満足できない。メンヘラ状態で気分の浮き沈みが激しすぎて普通の男なら手に負えないように思える。しかしながら、この男二人が結構なダメっぷりを発揮する。カトリーヌから「あなたが頼りなのよ!」と言われるだけで直ぐに付いて行ってしまう。特にジムはフランスに恋人がいるのについつい甘い言葉に乗ってしまうだらしなさ。まあ、我が国の政治家も不倫してしまうんだから、女性に頼られたらついつい手を出してしまう気持ちもわからんでもない。そういう意味では本作は男女の機微がうまく描かれているように思える。しかし、最後にカトリーヌが笑顔でトンデモな行動に出るところは俺もドン引き。やっぱり女性は恐ろしい。
 ストーリー以外にもサイレント映画風な動きが面白かったり、ノリの軽い音楽が心地良かったり、それほど暗さ感じない。少しばかり味わい深い恋愛映画を観たい人に今回は突然炎のごとくをお勧めに挙げておこう

 監督はフランスのヌーベルバーグを代表するフランソワ・トリュフォー。結構おすすめは多いのだが、今回は彼の長編デビュー作品である大人は判ってくれないをお勧めに挙げておこう


 

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2 コメント

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「突然炎のごとく」 (オーウェン)
2024-12-08 17:25:23
フランスのヌーベルバーグの旗手・フランソワ・トリュフォー監督の「突然炎のごとく」は、彼の最高傑作だろう。

奔放で炎のように激しい女を、親友同士の二人の男が、同時に愛してしまう。

奇妙な三角関係の中で揺れる男性心理を描いた、アンリ=ピエール・ロシェの小説「ジュールとジム」の映画化だが、トリュフォーは、あたかも古い写真帳をめくるような感じを意識した、ロングショットの映像とリズミカルな語り口で、青年たちと女性の愛の情念、その不可思議さを巧みに表現している。

主演のジャンヌ・モロー演じる、奔放な娘カトリーヌの妖しい魅力をたたえた演技が素晴らしく、この最高傑作に永遠の輝きを与えていると思う。

また、ジュールを演じたオスカー・ウェルナーは、自由奔放なカトリーヌに翻弄されながらも、なお寛大で絶対的な愛情を注ぎ続ける青年を、洗練された知的な演技で好演していると思う。

中心人物の三人の男女の周りを、グルグルと回るような、ラウル・クタールの斬新な映像技法の面白さが、映画の持つ感覚的な楽しさに結びついていて、実に素晴らしい。

トリュフォーは、デリケートなタッチとナレーション語りによる進行というスタイルを、この作品で確立したのだと思う。
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オーウェンさんへ (ディープインパクト)
2024-12-09 14:40:51
 コメントありがとうございます。おっしゃるように映像技法が斬新ですね。映画の面白さを映像で見せられた気がしました。
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