彼岸の入り・如月

　景気回復があるだの、経済が上向きだのと、噓八百を並べ立てた結果がこれである。一般の集いは自粛せよで、オリンピックは予定通り実行とは、コロナが終息の見通しも立たぬのに分かるのか？実に不可思議な発言である。これでは施策の意味も無く、自己営利だと思われるのは当然だろう。桜の花にとっては、ライトアップの無い分静かで好い。

　宴会が出来ないだけのことで、桜の花は何時も通りに咲く。車の中からでも、集団で見なくとも一向に構わない。人間の勝手なこじつけが齎した花見である。ここは今一度自然に還って、鑑賞すればいいことだ。焼き肉の臭いの無い、心豊かな風情を愉しみたい。華に何の咎があろう。何事も、人間中心の生活であるから、儲けが痛手となってくる。

　美しい物はあくまでも美しい。そうでない物も、それなりの趣があるもので、自然の法則に従えばいいのだ。花見の予約取り消しで、老舗の店が倒産しているそうだが、働けない人間を作ったのも、人間の都合でもある。原発に頼り過ぎない暮らしで、細々とでも生きていけるのが最良だ。消費増税などするから、消費が低迷して更なる追い打ちを。

　何事も欲張らず、与えられた物での暮らしであれば、加えて満足するという心であれば好い。上を見れば限もなく、幸せにも気づかない。神の存在も視えず、金に眼が眩んでしまう。人間とは斯くもあざとく心根の腐った者であるか。自己を戒め、自然への祈りと感謝を忘れずにいよう。未だ修業が足らずで、挫けてしまう自分が居るのも情けない。

　枇杷葉のお陰で、体調は好いのだが、何分年齢的なこともあって、介護の仕事は厳しい現実。働きたくても身体が思うに任せない。潔く身を引いて体調を戻さないことには、今後の暮しが立ちいかない。春爛漫の頃が一番体調には良く、その後は木の芽立で、精神的にも辛くなる。今年の梅雨は長雨の兆しであり、冷房が身体にきつくなる。潮時だ。

　雲間に隠れていた月が姿を現す。ほんにうつくしいことだろう。物語も生まれ、伝説も語り継がれる。