天満天神繁昌亭の開業は上方落語界にとって歴史的な意味を持つ。なんせ今まで大阪には落語の定席が一つも無かったのだ。天満宮の協力で氏子の駐車場を寄付してもらい、上物は一般からの浄財を募った。そんな奇特な方々の名前が提灯に書かれて、ホールの内外に何百と並べられている。天神さんの大工門脇の緑を借景に。大阪の町のまん真ん中で濃い緑、これは非常にいいロケーション。
二階から舞台を見た図。この日、口上があったが、せいぜい6人も並べば一杯の幅。舞台奥には墨跡鮮やかな「楽」の一文字。桂米朝の筆による。緞帳は天神祭船渡御の図柄。これもスポンサーの寄付とみた。
椅子は○○食堂でおなじみFujioCorp’の寄付という。それは美しいのだけれど、椅子の背に大きな広告のプレートが入ってござるがな。隣接する茶店もここの仕切りというし、なかなか商魂たくましい。
私の行ったこけらおとし公演六日目は、桂春之輔、桂小枝、春風亭小朝、露の新治、桂坊枝、笑福亭由瓶、林家染太。東京からの来演小朝師匠の「ためし酒」が素晴らしかった。
もちろん杮落としゆえ、ご祝儀客で満席だった。打ち出しの太鼓が鳴る中、法被を着た噺家連中が木戸の辺りで客を送り出す。さすがに苦虫潰したようなヤツはいない…落語好きに悪人はいないような気になる。春団治ゆかりの朱塗りの人力車が飾られ、華やいだ情緒が漂う。
さぁどこぞで一杯…と思ってウロウロ。小朝師の噺を聞いていたので、こっちは十分飲みたい口になっている。だが腹は膨らましたくない。あちこち物色しているうちに日は落ち、本日3回目のお客の入り時間になっていた。暗闇の中に提灯の灯火が鮮やかに浮かび上がる。
若干明るすぎるきらいもあるが、かまやしない。上方芸能に点った灯りもともし続けて欲しいと願わずにはいられなかった。
昔(某会社所属時)、落語家さんと仕事する
ことが結構多かった私ですが、落語を
最後まで生で聞いた事が無く…。
その某会社所属時の同僚で、猫に似た人も
最近は、デジタルオーディオで、
落語を聴いてるらしい…。
家の近所のお好み焼き屋さんも、小さい寄席を始めました。
にわかに私の周囲で、プチ落語ブームです。
是非、今度、行ってきます!
でも今はちょっとちがって。
木戸銭払って、退屈させてもらえる時間でもいいような気がしてる。そんなゼイタクをしても叱られない年代になった。
能なんて最たるもので、ありゃあ退屈を味わうものだと思っている。落語もトントン行く場があったら、ダレ場があるものだ。江戸時代のそんな空気感を感じながら、楽しんでもらいたい。ウトウトするならそれでも構わないと思っている。
一時の流行に終わらせないためにも、繁昌亭に行ってナマの落語に触れてほしい。私ら客が噺家を育てるのだという気概を持ってもらえればうれし。