うひょ~、知らない人にはナンダこいつ!! である。
姿は見れば見るほどおぞましく、可愛げのない宇宙生命体のようだ。私の名はゴア…みてぇだ。
長らく関西に入ってなどこなかったから、ダメな人は多いだろうな。
海鞆と書いて、ホヤ。石巻など三陸の名産品。 今回の大震災ではおそらく被害甚大。
天満の天神さんのおひざ元、「にこ」にて、ホヤの塩辛。
流されて亡くなった関係者にひとり献杯す。
色はウニに近いが、食感はマンゴーの果肉に近い。
だが、甘みはなく、グイッと噛むとたちまち海の香りが広がる。
大阪天満宮あたり、いいだろう。静かで。
天神祭となると、この門前はガゼン騒がしくなる。
ホヤに戻すが、東京で初めて注文した時には驚いたのなんの。
酢のもので出てきた、その第一印象は
「うわぁ~な、なんだ、この鉄棒を舐めてるような味は! 」
金っ気というか、金属の味がした。
こりゃ無理だと思った。
今は厚かましくなって、へっちゃら。
ホヤの風味膨らむところへ燗酒を流し込む気分はこたえられない。
ビールの小さいのをいただき、京都の澤屋まつもと、石川の常きげんの燗酒。
こいつと同様、姿の悪いナマコのこのわたと合わせ、
叩いて塩辛にしたものを、莫久来(ばくらい)という。
これがまた、日本酒が進むんだよなぁ。
よくぞ海国日本に生まれけり。
今の若けぇのは、海の歌っつうとスグに、
「海は広いな~大きいな~」
と歌いやがる。
そんなアホみたいな歌詞、歌うなっていうの。
「わ~れ~は海の子白波の~騒ぐ磯辺の松原に~」
こっちを歌えっつうの。
我が懐かしき住処なれ…にジンと来るっつうの。
立ち呑み家にこ 大阪市北区天神橋1丁目付近