84,5年だったか、New Grass Revival Japan Tour、大阪ではバナナホールでコンサートとVTR収録を行なった。ボクはMAPSの一員として、成田にミュージシャンを迎えに行き、機材や楽器の運搬や、ミュージシャンのアテンド、会場の切り回しなどしながら、忙しいながらも、まぁ好きな音楽だし、大いに楽しんでいたわけ。
Maps.incの代表は畏友、藤井崇志。米国では佐竹晃が交渉に動き、何のことはない、昔同じバンドの連中が楽器なしでジョイントしていたわけだ。堀川啓次郎、酒井淳ちゃんが通訳で付いていたのも懐かしい。おかげで我が青春のCountry Gazette Reunionも間近で見られたし、二度と見られないSeldom Sceneや、今をときめく色即是空Ralph StanleyやDel McCouryとも接することができた。
当時、New Grass Revivalはメジャーデビューへと躍起になっている時だった。先にRicky Skaggsはグラミー賞に輝きメジャーで活躍していたし、Bela Fleck,Pat Flynnというスゴ腕のイケメンを加入、ルックスからして最もメジャーに近いと思われていた。
が、ことはそう上手く運ばない。バンドは解散に追い込まれ、後にBelaは、リードバンドFlecktonesはジャズの世界で注目され、Banjoの世界では比類なき成功を収める。Sam BushはEmmylou Harrisのバンドでやはりメジャーの仲間入りをする。Patはさておき(さておくな!)、今回来日したJohn Cowanである。ブルーグラス界狭しといえど、最も唄の上手いシンガーといえる。
それが何故メジャーデビューできなかったのだろうか・・・。
今回「Boy George!」と自らをシャレで紹介していたが、20年前の来日時の彼は前髪をパラリと垂らし、それらしく見えたものだ。今回の彼は
Boy George如きの騒ぎではない、Big Boyだった。う~む、この豹変ぶりは何に原因するのだろう。かつて、メジャーデビューのためにいろいろと節制、抑圧していた物が一挙に堰を切ったと見た。軽く野菜サラダで口を拭っていたものを、深夜のラーメンライスなど食い始めたのではないか。上手く進まぬ屈託のようなものが過食に走らせてしまったのではないか…と勝手に観測してしまった。
音楽的発想からいうと、コンテンポラリーながら、ごくノーマルなブルーグラッサーである。今夜聞いた彼らの音は、まさしくブルーグラスであった。メジャーがなんぼのもんぢゃい!という心境に至ったか、肩の力が抜けていた。20年前の彼らには緊張感がビンビン伝わってきたものだ。
ともあれ、普通のアメリカの田舎の何処にでもいる兄ちゃんみたいになってしまったJohn Cowanに、力の抜けた良さと、社会の厳しさの一端を感じさせられた晩だった。
ボブペイズリーでベース、今考えても汗顔の至り。バンジョー弾いてたマイク・バブは私のつたないプレイを見たからか、ベースに鞍替えして大成したもんなぁ。
Toms Cabinがピーターローワンを呼んだ時もベースでした。有田、奥沢、竹内、祇園、私…というバックマンでした。