日々のあれこれ

現在は仕事に関わること以外の日々の「あれこれ」を綴っております♪
ここ数年は 主に楽器演奏🎹🎻🎸と読書📚

本日は・・・

2009-07-20 23:27:32 | Weblog

三連休の最終日。

そこで、たったと普段は書きたくても余り書く時間が無い小説なるもの?を書いてしまいました。

世間では、祭日・・・連休・・・・というもの。

私には三年間 無縁のものでした。

サービス業だったので。

今の職場は、基本的には土日祭日がお休みです。

でも、土日に研修があったりするので、出勤になったり・・・。

初めての三連休でした。

最終日の今日は、どっぷりと 「書く」世界に身をおいてみました。

あ~ぁ。。。。ホークス、負けちゃったなぁ。

オールスターが始まりますね。

皆既日食も・・・もうすぐ。

晴れて欲しいものです。

 

では、おやすみなさいませ。

 

すず

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象(5)

2009-07-20 23:22:12 | Weblog

結局、僕は千夏本人に直接、手渡す事ができずに月曜日の業務を終えた。いや、正確には、ちゃんと渡すことは出来た。だが、ただ、渡しただけなのだ。

「これ・・・」

と、簡単に一言。

顔も見ずに差し出したものが 相手の手中に収まることを感覚的に知ると同時に、そっぽを向いた。あぁ・・・・なんて奴だ、僕は。

旅行か何かのお土産だと思ったのだろうか? 千夏は、「ありがとうございます。気を遣わなくてもいいのに・・・」みたいなことを言っていたようだ。急いで場を離れたため、よくは聴こえなかった。そのくらい緊張していたのかもしれない。

その夜、僕はずっと眠れなかった。眠れないというのは、辛いことだった筈だ。しかし、今夜の僕は、そうではない。初恋がいつだったか、思い出せないくらい・・・・いや、恋なんてものが、楽しいことだなんて、もうすっかり忘れていたのだ。恋は義務感でも、責任でもない。好きでいよう、嫌いにならないでいよう、我慢するのだ、これが日常なんだ・・・・そう自分に言い聞かせる日々が僕にとっての現実の「恋愛」だった。両親を早くに亡くした彼女。幼馴染であり、お互い、相手を知りすぎた恋人同士の哀しい関係だったのかもしれない。

だが、今、僕が千夏に対して抱いている気持ちは、一種の恋愛に対する期待感なのかもしれない。現に僕は、彼女の事を良く知っているとは、とても言い難いではないか。 普通の人は、普通に、「大丈夫ですか?」と言うものなのかもしれない。 たまたま千夏が、その場に居て、彼女の扱いに深く傷付いていた僕のこころが反応したのだ。どっちにしても・・・・出逢って間もない誰かのことを仕事以外で、もっとよく知りたいと思ったことは、ここ数年、一度もなかったことだ。それだけでも、僕にとっては新鮮だった。よく眠れぬまま、朝が来た・・・・・。

 

 

続く・・・・

このお話はフィクションです。

 

すず

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象(4)

2009-07-20 22:43:30 | Weblog

「どうしたんですか? その手・・・」

僕の手に巻かれた包帯を見て、新任の千夏が心配そうに言う。僕が怪我をした経緯を簡単に説明すると、千夏の顔は見るみる青ざめた。

「そういう時は・・・。カバンを引っ張りかえしたりしないで、泥棒に盗るもの、盗らせるんですよっ! もし、殺されちゃったら、どうするんですか?」

普段は大人しい千夏にしては珍しく、興奮した声で・・・怒ったような表情を僕に向けた。でも、悪い気はしない。もう何年も感じたことがない、何かあったかい感情が心の内からこみ上げてくるのを身体中の細胞が察知しているかのようだ。僕は、ふっと笑った。

「もう~! 私は真剣に話しているのに。笑うなんて」

「御免ごめん・・・。でも、千夏さんの怒った顔って、初めて見たような気がしたから」

千夏の頬は急に赤くなり、はにかんだようにうつむいた。小声で何か呟いたようだったが、僕には聴こえない。今、何て言ったの? と聞き返す代わりに、僕は付け足した。

「それに、本気で僕のことを心配してくれる人が居るなんて思わなかった」

これには千夏が再び素早く反応した。何を言うのですか? 心配しない筈がないではありませんか! 襲われて怪我させられて。大事なものを奪われて・・・これだけで、充分ショックなのに、誰も本気で心配してくれる人が居ない打なんて、信じているとしたら・・・・そちらの方が私なら耐えられないかもしれません・・・・確か、千夏は、その様な事を言った。最初は早口で。次は、ゆっくりと自分に言い聞かせるように。そして、一瞬、、、、僕の勘違いでなければ、ほんの数秒、暗い影で覆われたかのように表情が曇った。

「私って、心配のしすぎですか? そんなに親しい訳でもないのに、でしゃばっていたら、許してください」と頭を下げた。

「いや、そんなんじゃなくて。ただ、嬉しかっただけ」

僕は正直な気持ちを言った。夜中にうずく傷口も、千夏の台詞を聞いて以来、気にならない。傷は僕が思ったよりは深かった。数針縫った。だが、そんなことは、どうでもいい。千夏が言うように、僕は、今、こうして生きている。千夏に言われてみて初めて、そうだよな・・・。無理に引っ張りかえしたりしないで、素早く降参した方が身のためなんだ・・・ああいう場合は。身の程知らずだな、僕は!と反省したりもした。そして・・・僕のことを本気で心配してくれる誰かが自分の周囲に居なかったギャップからだろうか? 僕はあの日から千夏を目で追うようになっていた。

僕の彼女が一度だけ、施設を訪ねてきたことは、同僚から聞いて知っていた。ここへは一度も足を運ばなかった彼女が、今になって何故・・・? 僕は何度か彼女に心療内科を受診するように勧めた。安定剤だけでも処方してもらえば、少しは眠りの浅さも改善されて、気分のムラもなくなるのでは?とアドバイスしても、耳を全く貸さなかった。そんな彼女が一番来たがらない場所のひとつが、ここだったのだ。一体、何をしに、ここまでやってきたのだろう。ただ、面会者のようにやってきて、僕に会わずに帰るとは・・・? 心の何処かで僕は、彼女に会わずに済んだことを喜んでいた。もう、いいだろう。僕らは二十代も後半に差し掛かっている。僕は彼女の行動を・・・・彼女は僕に渡された品物の使い道を・・・お互い、監視しあう関係は、もう終わりにしたい。

ひったくりに会ってから、最初の週末がやってきた。彼女からの連絡は、あの日以来一度もない。ほっとする一方で、僕は ここ数年間、感じたことのない種類の寂しさを感じていた。ずっと独りになりたい。彼女に束縛されず、独りで身の回りの物は自分で選んで普通の生活をしたい、どれだけ願ったことだろう。一週間のプライベートな静けさは、僕の心を違った感情で満たした。それは、新作の映画の公開日や、美味しいものを独りで食べているとき、突如、心の中で内乱のように起こった。千夏と一緒に この映画を観たい。独りで食べるのは、なんだか侘しい。千夏と一緒に食べたい。二度と、誰かと一緒に居たくは無い、と。 独りで気ままに時間を過ごして、気分も身の回りもすっきりしたい、と願っていた僕が、今は、千夏が隣にいてくれることを密かに願っている。

日曜日の午後。僕はファンシーショップに居た。今、流行のプチ、キュートな小物たちがショーケースに並ぶ。僕はいつからか、贈り物は形が残らないものを選ぶ癖がついていた。菓子箱や消耗品がベスト。お菓子なら、食べたら終わり!だ。 彼女が僕にくれるものは、どれも形あるものばかりで、「あのお財布、折角あげたのに使わないのね」と言われるたびに、拷問を受けているようにすら感じたものだ。一度、失くして痛い目にあったので、大切にしまっていると、使わないと責められる。取り出して使いだすと、ひったくられた僕の心配はせず、失くしたわね、と再び責められる・・・・そのくせ、他人の物は黙って持ち出す。もう、たくさんだった。

お店を出ようとしたとき、僕の目に二つのハートを形どったストラップが目に入った。重なり合う 心と こころ・・・・。僕は千夏と自分の心を重なり合わせてみた。店内には、「もっと もっと あなたを もっと もっと知りたい」 初めて聴くポップスが流れている。

ハートのストラップを手にし、レジへ持っていく。僕は店員に聞いてみた。

「今、店内に流れている曲のタイトルは何ですか?」

「あれは薬師丸ひろこ あなたをもっと知りたくて、です。昭和のポップスって、今、聴いても ちっとも古くさくなくて良いですよね。あの時代に活躍した人達のベスト版がCDになって出ているんですよ。当時はレコードの時代だったでしょ? あたしは まだ生まれていなかったけど・・・こちらです」

僕は店員に勧められるままに、CDを手に取った。

「これも・・・別々に包んで頂けますか」

「かしこまりました」

僕は自宅へ戻ると、CDを聴きながら、明日、どうやってストラップを千夏へ手渡そうか、考えていた。あの日、僕の手の傷を心配してくれたお礼だよ・・・これでいこう。

 

続く

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象(3)

2009-07-20 01:43:51 | Weblog

定期も現金も何もかも失くした僕は、電車に乗ることすら出来ない。ここから徒歩で行ける知り合いの家といえば・・・・。一瞬、躊躇したが、僕は彼女の両親が残した一軒家のチャイムを押していた。こんな時間だから、彼女はまだ寝ているだろうと思いながら。

意外にも中からすぐに彼女の声がした。もう、おきているのか。僕がチャイムを鳴らしてから玄関の扉が開くまで、ほんの30秒ほどだった。

「どうしたの? こんなに朝早くから訪ねてきたりして」

彼女は今起きたという姿ではない。一晩中、眠らずに起きていたか、或いは朝帰宅したのか・・・? いつも僕を買い物へ付き合わせるときと同じ、ジーンズにTシャツという いでたちで玄関に立っていた。 彼女にしては珍しく、僕が疑問に感じたことを察したかのように、テーブルの上に置かれたプラスチックの袋へ目配せした。

「お腹がすいて、眠れなくて。コンビニから戻ったところだったの。食べてもいい? あたしの分しかないんだけど」

「ああ、いいさ。それより電話を貸して欲しい。職場へ連絡入れないと・・・それから警察へ・・・」

僕の言葉を遮り、彼女は何故、警察などへ電話するのか?と訊いてきた。さっきから気になることがある。彼女の視界には擦り傷だらけの僕が・・・・とくに怪我を負い、出血している手が写らないのだろうか・・・・と。

「ひったくりにあったんだ。相手は三人。浮浪者だと思う。怪我はたいしたことは無いとは思うが、一応、手当てだけは、ここでさせてくれないか? 救急箱はどこ? とりあえず、出血をとめないと。まずは電話だ」

僕が ポケットに入れていた自分のハンカチで傷口を押さえながら、受話器へ手を伸ばした、そのときだった。彼女は素早く受話器を取り、叫んだのだ。

「この家から警察へ電話だなんて、絶対に駄目よ! 電話したいなら、公衆電話でも使ってちょうだい!」

僕は呆気にとられ、何故だ?と聞き返すのが やっとだった。

「だって、警察がここへ来るのよ。何時間、時間を取られると思っているのよ? 自ら出頭したらいいでしょ? ここを舞台にするのはよして」

怪我をした僕を全く気遣うことがない。「その手、どうしたの? 洋服も汚れているようだけど? 何かあったの?」 そういう一言を期待していなかったと言ったら、嘘になる。彼女は僕の異常事態に全く関心が無いどころか、気付くことすらないのだ。その現実を僕はしばらく無視しようと努めた。同情して欲しいわけじゃない。大丈夫?のひとことに、きっと僕は・・・・何を期待しているのだろう。

「分かった。警察へは通報しない。傷もそう深くは無い筈だ。だが、職場へ連絡しなきゃいけないんだ。遅れるから。それはいいだろ?」

彼女は、仕方ないわね・・・と呟いた。サンドイッチを頬張りながら。ひとごとのように。無邪気でいいかもしれない。過剰反応されて泣き出されるよりはマシだ。僕は無意識の内に手の中に収めていた象のちぎれたキーホルダーをテーブルの上にポトンと置いた。

「どうしたの、これ?」

彼女の けたたましい声が耳元で響いた。いつの間にか椅子から飛びのいて、僕の真横へ来たのだ。

「どうして象のチェーンが切れているの? それに・・・・貴方、さっき、ひったくりに合ったって・・・一体、何をなくしたの?」

どうなっているんだ? 彼女はたった今、ひったくりにあった、という事実を初めて認識したようだった。

「見ての通りだよ。カバンごとひったくられて、手元に残ったのは、引っ張った時に千切れた、こいつ・・・・象だけだったんだ。プレゼン用のデータも、財布も定期もカードも失くして・・・・」

彼女は僕の頬をひっぱたいた。パン!という鈍い音が僕の頬を伝って鼓膜まで届いたかのようだった。僕の正面に彼女が顔を真っ赤にし、怒りをあらわにして立ち尽くしている。これは、どういうことだ? 彼女は何を怒っているんだ?

ズキッとした痛みを手の甲に感じ、視線を落とすと、白いハンカチから血が滲んでいた。思ったより傷は深いのだろうか。

「救急箱を・・・・」

僕の言葉を またしても彼女は遮り、突っぱねた。

「そんなの、たいしたことないわよ。それより私が あげた物をなくしてしまうだなんて!」

一瞬、何を言われているのか、分からなかった。ここにあるだろう。キーホルダーなら。

「お財布よ。お財布! あげても使わないと思ったから、文句を言ったら、やっと使い始めたなって安心していたのに、やすやすと失くしてしまうなんて!何を考えているのよっ!」

「・・・・・」

開いた口がふさがらない、という台詞が世の中にはあるらしい。きっと、こういうときの為に使うのだろう。僕は文字通り、開いた口がふさがらなかった。僕の心配は全くしないのか? こういう状況でも、自分があげた「物」に こだわるのか?

「お金を貸してくれないか? 職場へ行かなきゃいけないんだ。話は後でしよう」

そういいながらも、僕はもう何も言う気はしなかった。彼女の罵声を背中にあびながら、黙って その家を・・・・いや、彼女から離れた。

 

続く

 

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