雨が上がり、朝から晴れ渡っています。蝉が鳴き、夏本番だなぁ~と感じます。梅雨上げ宣言はまだですが...被害に遭われた皆様へ~お見舞い申し上げます。
先月、整理した際、いらない部類により分けられた段ボール箱等々を大量に古紙回収へ~ 段ボール箱2箱分になりました。より分けて出せるようにしたのは私。我が家でいっちばんの力持ちである父に、回収場所まで2回往復してもらいました。 私はその間、30分ほど、Youtube動画を見ながら、優雅にウクレレの練習をしておりましたが...💦 最も簡単に弾けそうなウクレレソロを探し、初挑戦。もう覚えたかな?と思ったのと、手が疲れたのでおしまいに。
図書館で取り寄せの申し込みをした7冊(追加1冊)の内、唯一、翌日に届いた一冊です。しかも、中央図書館ではなく、学術研究都市・学術情報センターから! ここでも本の貸し出しができるのですね。(行ったことはありませんが)
では、本題に。『銀色のフィレンツェ』には、副題があり、『メディチ家殺人事件』とあります。陰りが見え始めたフィレンツェ、16世紀前半が舞台です。
読み始めてすぐに、「おや?」と思いました。これまでのような、歴史検証&考察ではない!
『ローマ人の物語』『ギリシア人の物語』『我が友マキアヴェッリ』(フィレンツェが舞台)『海の都の物語』のような本だと思い込んでいたので、とても意外でした。
歴史小説!という形を取っているではないですか! 塩野七生さんが初めて創作した、実在しなかった主人公が登場します。彼の目を通して、当時のフィレンツェが描かれるのです。主人公以外は、歴史上の人物たちですが、なにせ描かれ方が違うので、とても新鮮。歴史が苦手という人も、殺人事件を取り扱った、歴史サスペンス小説だと思えば、ぐいぐい~と惹き込まれてしまうでしょう~ 実際、2~3日に渡って読むことが多い塩野さんの著書ですが、昨夜、読み始めて深夜過ぎまで夢中で読みました。そして…読み終えたんです。異例な速読!
先に読んでいる、『我が友マキアヴェッリ』と『海の都の物語』のお陰で、おおよその歴史的背景やイタリア半島の都市国家の状況、新興国スペインの動き等は頭に入っています。こういった状況下で、私人としてヴェネツィア共和国からフィレンツェを訪れ、偶然、世話にあった宿屋の主人が殺人事件の犯人として連行され、死刑宣告を受けようとしている... 例え無実でも、スペインを後ろ盾に独裁政治を行うアレッサンドロ公爵は、自分の権威を傷付けられたことが許せない。ヴェネツィア共和国のような公正な裁判など考えられない君主制のフィレンツェにおいての問題点、『我が友 マキアヴェッリ』で紹介された「君主論」「政略論」やマキアヴェッリズムについて、あの、マキアヴェッリの親友であり、外交官であり、往復書簡の相手だった、ヴェットーリが主人公マルコと若きロレンツィーノと共に語る! この場面は夢の対談のようです。
メディチ家のロレンツィーノ21歳、ベネツィア共和国で十人委員会の一員だった40歳マルコ(架空の人としても、なにせ、当時のイタリア都市国家の中で、唯一、政治・経済・法律が真っ当に機能していた共和国出身) 最後に60歳にはなっていた、マキアヴェッリ亡き後もフィレンツェで活躍していたヴェットーリ。
マルコがヴェネツィア人でありながら、フィレンツェ人が書いた「政略論」を論じる...
「実際に無意識に自分達がやってきたことを書かれると目が覚める」
「陰謀が起こるのは、独裁政権だから。一人の独裁者を殺せば、世の中を変えられるという考えに至る。その一方で、ヴェネツィア共和国のように、「権力を持つ機関はあっても、権力を持つ人間はいない」となると、一人を殺しても、何も変わらない。C.D.X全員を殺さなければ、目的は果たせない。母体の元老院の二百人、国会を構成する二千人全員を殺さなければ… 」(212ページ8行~の抜粋ではなく、まとめ)陰謀なんて無理な話ですね。
ただ、古代ローマ帝国のカエサルのような例もある。この場合は思想が理由でブルータスは動いたが、民衆の支持が高かったカエサルを失ったローマは、ブルータスに味方しなかった。当時のローマも共和制であり、元老院という組織があったが、カエサルが良い意味での独裁政治を行っていた。戦後日本では田中角栄が、民主国家日本において、金権問題はあったにしろ、外交面ではいわゆる独裁政治家で、日本の主権を守る、経済を発展させるという目的で、米国と渡り歩いていたように。この場合、日本のブルータスは若き作家政治家、石原慎太郎氏か!(苦笑)
面白きこと、間違いなし!なのですが、少なくとも『わが友マキアヴェッリ』を先に読んでおくと、より分かりやすいかと思います。
ルネサンス時代を取り扱った塩野さんの歴史サスペンス小説は、他に2冊あり、三部作となっているそうです。
では~