平成23年11月 靖国神社社頭に掲示された遺書
新潟県中魚沼郡出身 陸軍軍属 (看護婦) 湯川 カツ様 (24歳)
昭和20年11月30日 内地帰還後、本籍地にて戦病死 合掌
兄妹様共に戦場に激務を続けられ、戦争に翻弄されながらも無事に日本に帰還された妹様はお疲れの為でしょうか、 戦後まもなく戦病死されました報に哀悼の誠を捧げたく
存じます。合掌
お兄様の消息は不明ですが、ご無事の帰還をお祈り申し上げております。
今号にも、12名の遺族関係者の鎮魂の歌が掲載されておりますので、お目を通して頂ければ有難く存じます。
忠魂碑その背に刻む夫の名をなぞれば草に秋の虫鳴く 角田市 妻
社ふかく眠りいまさむ靖國の社頭に立てるうつしゑの父 富士吉田市 遺児女性
今宵又おぼろ月夜の空の下靖國の父心にぞ住む 甲州市 遺児女性
軍服の遺影が父と知らされし五歳の夏の思ひ出悲し 名古屋市 遺児女性
栗拾ひきそひき戦死の兄しのびふるさとに来て秋の声きく 横手市 遺族女性
原色の花々の咲くラバウルのいづくに在す兵士の御魂は 富士吉田市 遺児男性
父果てしシベリアを機で通過せし弟の話胸あつく聞く 大阪市 遺児女性
白樺の美しきもみぢ葉シベリアの収骨日誌に色褪せてあり 出雲市 妻
銃声も軍靴のひびきも沁みてゐむ父の形見と石ひとつ拾ふ 鳥栖市 遺児女性
台風の過ぐ秋彼岸本堂の香のけぶりにしばし安らぐ 名古屋市 遺児女性
木犀の香る季なり征きしままかへらぬ人の偲ばるる朝 常滑市 妻
「お父さ~ん」と呼べど叫べど届かぬか海底の「鳥海」浮かびて来ぬか 千葉市 遺児私