我が家では、毎年というわけではありませんが、
店で買ってきた柿を熟させていただいています。
今年もその時期になりました。
食べることも大好きですが、この熟した柿を目の前にすると、
そのトロトロ感を描きたくなるから不思議です。
10年弱ほど前の拙ブログ(2,012.12.3付)でも描いていますが、
その時は絵画教室の仲間の方から
“柿とは一寸判りにくいかな”とのご指摘も受けていました。
今回は判るように描いたつもりであります。
意を用いたのは透明感。
柿の種の表面、スプーンの中、手前に漏れた汁などは意識して描きました。
元になる種などを先に描き、これをドライヤーで乾かし、
その上から色を重ねる…という手法です。
柿と聞けばついつい口遊むのが『柿の木坂の家』です。
また郷愁を帯びたイントロ部分(だけ)を
ちっとも上手くならないギターで楽しんでいます。
1957年(昭和32年)青木光一さんのヒット曲で、その翌年私は故郷を離れました。
石本美由紀作詞 船村徹作曲です。
春には柿の花が咲き
秋には柿の実が熟れる
柿の木坂は駅まで三里
思い出すなア故郷のヨ
乗合バスの悲しい別れ
青木光一さんは同郷佐賀のご出身。
実際我が家にも柿の木があり、勿論熟柿も一杯でした。
国鉄の駅まではほぼ一里、
西鉄の乗合バス(この響きがたまりません)の停留所はすぐ近く、
こちらはよく利用したものでした。
曲も大好きな船村節。
自分にとっては、あの名曲『ふるさと』(うさぎ追いし・・・)と同じように、
聴いても歌っても目が潤んでくる故郷の歌そのものなのです。
故郷に対する望郷の念(私の様にド田舎出身であっても)は誰が何と言おうともその人だけの体の一部だと思います。ふとしたことで思い出せば次から次へと当時の事が思い起こされます。当時があって今がある訳ですから感謝のみです。
思わず目が潤んでくる気持ち良く理解できます。
作者の「柿」への想い、わが身にも沁みてきます。
この作品、まさに良く熟れた柿のトロトロ感がリアルに描かれ、柿独特の甘みを舌でなく目で感じました。
我が畑の柿、今年は大不作でしたが、作品の柿の味わいで満足することにします。