西武ライオンズのオーナーで、プリンスホテルの社長でもある堤義明氏がプロ野球界へ
投げかけたドラフトに関する発言に注目が集まりました。
聞き手 今秋のドラフト会議ではプリンスホテルの選手も指名の対象になりますが?
堤氏 さぁ、何人が指名されますかね。プロが欲しがるのは2~3人じゃないですか。
指名されるにしても1位じゃないと入団させませんよ、たとえ西武ライオンズでも。
聞き手 入団拒否という事ですか?
堤氏 プロ球団の経営状態から考えて行かせたくない球団があるのは事実です。
大学卒でサラリーマン生活を続ける事を計算すれば5千万円以上の契約金で
なければと見合わないと思いますよ。
聞き手 指名から漏れた選手のプロ入りは無い?
堤氏 ドラフト外入団は有り得ません。
堤氏のドラフトに関する発言は他球団に対する牽制でした
①西武も含め1位指名でなければプロ入りさせない
②ドラフト外入団は有り得ない
③契約金は5千万円以上
④行かせたくない球団がある
2年前プリンスホテル野球部が誕生した時、堤氏は「オリンピックを目指して強いチームを
作る、プロへは行かせない」と言い放ち、石毛(駒大)・中尾(専大)・堀場(慶大)・金森(早大)
などの即戦力の他にも大学球界の有力選手らをゴッソリ獲得しました。他の球団からは
「プリンスホテルは西武ライオンズへのトンネル野球部」とのやっかみの声があったのも
事実で、前年のドラフトでは高校生左腕 No,1と評されていた盛岡工・田鎖投手をめぐって
一悶着ありました。田鎖投手はプリンスホテル入りを表明し他球団は獲得を見送りました。
しかし 西武が2位指名すると、あっさり前言を撤回して西武入りしました。
田鎖投手の前例があるだけに今回の堤氏の発言も有力選手から手を引かせるブラフでは
ないのかと不信の声が多くありました。実際、田鎖投手以外にも日ハムの1位指名を拒否
した後、プリンスホテルを経て西武入りした高山投手(現ホークス・投手コーチ)などの例も
ありました。ただ、両選手とも大成はしませんでしたが・・・
堤オーナーは元々ドラフト制には否定的で、度重なるプロ球団の買収を持ちかけられても
参入しなかったのはドラフトで選手を自由に獲得出来ずチーム強化が出来ないからと常々
公言していました。今回のブラフはドラフトに対する精一杯の発言だったかもしれませんが
そんなブラフが必要なくなるのはライオンズ監督・根本氏が管理部長を兼任してフロントに
入り「寝業師」と呼ばれるほどの辣腕を発揮するようになってからです。工藤(愛工大名電)
伊東(熊工)・森山(ONOフーズ)・渡辺智(NTT四国)・・・。特に伊東は熊工を卒業する前に
埼玉の定時制校に転校させ、球団職員として囲っておいてドラフト指名する手法を使って
他球団を出し抜きました。この手法はその後、大豊(中日)や中込(阪神)に使われました。
根本氏が本領を発揮したのは、監督の座を自ら招聘した広岡前ヤクルト監督に禅譲して
管理部長に専念してからで、ロス五輪で「オリエント・エクスプレス」と評された郭泰源を
獲得できたのは根本氏がいたからこそでした。当時すでに海外まで情報網を張り巡らせ
いち早く郭泰源の家族の中まで食い込み、他球団の付け入る隙は全くありませんでした。
争奪戦参入に遅れをとった讀賣は、「虎」ならぬ台湾の英雄「王貞治」の威を借り猛烈に
アタックしました。契約金も白紙小切手を提示したとの話が漏れ伝わるほどでしたが郭家は
根本氏との信頼関係は「たとえ王さんが来ても崩れない」と言い切ったそうです。
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