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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 598 眉唾妄想話

2019年08月28日 | 1985 年 



桑田事件の後は落合事件勃発が必至。ドラフト会議の終了はストーブリーグ開始のゴングである。各球団はドラフト指名選手の獲得と併行して本格的トレード交渉に突入した。

読売全社あげて " 落合盗り " に
「桑田獲得に動いているのは代表クラスのトップだけ。国内トレードは岩本渉外担当補佐や江藤二軍ディレクターらが密かに動いている(巨人担当記者)」だが実は彼らが動くのは小物相手のトレードだ。大物相手は球団レベルを越えて讀賣グループ全体で動く。目下のターゲットは落合選手(ロッテ)だ。「落合獲得は讀賣の総意みたいなものです。王監督の『四番を任せられる選手を獲ってくれ』の希望を叶えるのは落合しかいない」と巨人担当の記者は言う。しかし、落合といえばロッテ、いや球界を代表する強打者でロッテの重光オーナーも「絶対に出さない」と明言しており、いかに巨人と雖もおいそれと獲得は出来ない。この難攻不落の強打者をどうやって獲る気なのか?

先ず第一は魅力的な交換相手を用意すること。噂では中畑選手プラス西本投手・江川投手・斉藤投手以外の投手1人。または西本プラス中畑・原選手・山倉選手・松本選手以外の野手1人の2対1の交換トレードを画策しているとされている。巨人としても中畑と西本の2人を出すのは無理と考えているがロッテが要求した場合は放出やむなしとの意見がフロント陣の一部にはある。「ひょっとしたらロッテは中畑を軸に投手1人+野手1人の1対3の交換を要求してくる可能性もある」とはロッテ担当記者。一方では「西本は讀賣グループ上層部のお気に入りだから出さない」とする声もあり情報は錯そうしている。巨人は系列の報知新聞紙上で中畑放出の是非を問うた所、OK派が上回った。

だが交換要員を揃えてもロッテ側がトレードを受け入れるかは疑問だ。落合を放出することはチームを解体するのと同じではないかという批判が出るのは必至。ロッテには世間の風当たりを防ぐ大義名分が必要なのである。この点についてある事情通は「落合は今度の契約更改交渉で年俸八千万円、タイトル料五千万円の計一億三千万円を要求するらしいが、球団がこの要求を拒否して交渉が決裂すれば落合放出もやむなしと世間も納得するだろう」と語る。また一部報道では讀賣グループが韓国政界に働きかけて韓国内でロッテ本社をバックアップするなど政財界あげて巨人の落合獲りに力を貸す動きもあるようだ。


西武が密かに狙いをつける真弓
更に巨人はバース選手(阪神)対策用に永射投手(西武)獲得に向けて西武に打診をしたという情報もある。その西武だが、阪神に奪われた日本一奪回の為にトレードを積極的に行なう腹づもりのようでトレード要員を半ば公表している。主な選手は大田・片平・永射・高橋・立花ら。更に「松沼弟や蓬莱の名前も挙がっている(西武担当記者)」そうだ。これらの選手で誰を狙っているのか?「先ずは大砲。次いで人気。ドラフトで清原を指名したが来年いきなり活躍するのは無理だろう。そこで大島(中日)、門田(南海)のベテラン勢やロッテも狙っている田代(大洋)が大砲候補。人気面では真弓(阪神)、中畑や篠塚の巨人勢も候補(西武担当記者)」らしい。いずれ劣らぬビッグネームばかりだが西武の本命は真弓だそうだ。

元々真弓は西武の前身のクラウンライターライオンズに所属していた。阪神に移籍後もライオンズファンの中での人気は衰えていない。しかし今や阪神でも1・2の人気を誇る真弓だけに獲得するには前述の選手クラスでは無理で松沼兄弟のどちらかか、東尾投手クラスの出血を覚悟しなければならない。清原の入団でチームの若返りは更にスピードアップするであろう。その意味でもベテラン選手にとっては落ち着かないオフになりそうだ。ベテランといえば定岡元投手のトレード拒否で宙に浮いた形となった有田選手(近鉄)に関しては巨人入りは消えたという説がある。近鉄には選手をお詫びとして1人無償でトレードする事で御破算にしてもらい、新たに大宮選手(日ハム)を狙うそうだ。

他にもドラフトで清原を外し、更に広瀬選手(本田技研)も日ハムに獲られた中日は内野手を狙っている。「水上選手(ロッテ)や大石選手(近鉄)がターゲット。トレード成立の為には大島選手は勿論、都投手や場合によっては谷沢選手の放出も辞さない覚悟」と話す中日担当記者。仮に谷沢放出となれば第二の田尾騒動になりかねないが新たに球団社長に就任した中山氏は球団内部では常識外の事をする人、と評される人だけに目が離せない。中日新聞本社内部では今回のドラフト会議に関して「大失敗」との声が多いだけにドラフトの失敗をトレードで取り返すのではと考えられている。過去に多くのトレードを成立させてきた阪急と既に交渉を始めているという情報が流れている。


阪神 - 近鉄で電撃複数トレード !?
日本一になった阪神も決して無風状態ではない。「吉田監督が監督就任前に世話になったフジテレビ系列『プロ野球ニュース』の解説者を通じて複数の球団幹部と接触している。表面では大幅なチーム改変は行わないと言っているが、あの人はかつて江夏投手さえ切った人だけに日々新しいものを求めてチームに刺激を与える考え方は変わっていない。何か大きなトレードを画策していても不思議ではない」と在阪テレビ局関係者は語る。今季、大洋から池内投手との交換で獲得した長崎選手は大活躍した。二匹目のドジョウ狙いでベテランの大田や片平(共に西武)あたりに目をつけている。ただしトレードには交換選手が付き物で " 切られる選手 " は誰なのかとチーム内では不穏な空気が漂い始めている。

日ハムは古屋選手を放出要員として投手を狙っている。「内野手が足りない中日あたりと交渉している形跡がある。曽田投手や後藤投手が欲しいが中日が出すかどうか。堂上投手だと古屋と釣り合わない(日ハム担当記者)」。また木田投手も交換要員として他球団の人気は高い。1年目の22勝から徐々に成績は下降し今季は僅か2勝に終わったが環境が変わればまだまだ戦力になると考える球団は多い。落合の去就が注目されるロッテはドラフト1位で指名した石田投手(川越工)の交渉に手こずっている。仮に入団拒否となったら投手の補強が急務となる。その場合は巷間伝えられる落合の交換相手は中畑ではなく西本プラス加藤投手の可能性も出てくる。

残る広島、ヤクルト、近鉄、南海のうち広島に関してはあまり動かないであろうと言われている。何故なら阿南新監督はあくまでも山本浩選手が引退後、次期監督に就任するまでの繋ぎであってチームの根幹はいじらないと決めている。チーム編成を大きく変えるのは " 山本浩新監督 " 誕生までお預けだ。近鉄はロッテ同様にドラフト1位指名の桧山投手(東筑)の獲得交渉が暗礁に乗り上げている。補強はトレード頼りだ。「同じ関西地区同士の阪神と3対3くらいのトレードを画策している動きがある(近鉄担当記者)」らしい。南海の杉浦新監督は巨人から申し込まれた山内孝投手のトレードは断ったが巨人とのルートは繋がったままで急転直下のトレード成立も有りうる。

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