◆ ♪ 技と力と男意気 ♪ ♬ 大洋勝利花 ♬
「これで肩身の狭い思いをしなくてすむ」とナインが手放しで喜んだのは球団歌と応援歌がやっと出来上がったからだ。大洋を除くセ・リーグの5球団には早くから球団歌と応援歌があり、多くのファンにも親しまれてきた。「どうしてウチには無いんだ」と不満の声が球団内にあった。最近はシーズンオフになると球団対抗歌合戦がテレビで放映されることが多く、各チームの選手は球団歌をバックに勇ましく入場して来るのだが大洋の場合は流行歌が流れる。選手らが肩身の狭い思いをするのも尤もな話だ。昨年の12月に日本コロムビアのスタジオで晴れてレコーディングが行われ遂に大洋にも球団歌と応援歌ができた。
【大洋応援歌 ♪ 行くぞ大洋 ♪】
1.行くぞ大洋 行くぞ大洋 行くぞ大洋 勝負の世界
GO,GO,GO,GO
行くぞ大洋 行くぞ大洋 行くぞ大洋 鍛えた技で
泥にまみれて滑り込む 燃える闘志は我らの誇り
光輝ある歴史 大洋ホエールズ
2.行くぞ大洋 行くぞ大洋 行くぞ大洋 男の世界
GO,GO,GO,GO
行くぞ大洋 行くぞ大洋 行くぞ大洋 磨いた腕で
打って走って現在を勝つ 唸る力を合わせ
勝利を掴む大洋ホエールズ
3.行くぞ大洋 行くぞ大洋 行くぞ大洋 勝負の世界
GO,GO,GO,GO
行くぞ大洋 行くぞ大洋 行くぞ大洋 勝利を目指し
流す涙は男の血潮 誓うナインでがっつり掴む
勝利の星は大洋ホエールズ
【大洋球団歌 ♬ 勝利花 ♬】
1.好きで選んだこの道に技と力と男意気
希望を果たす背番号ここらで一発ホームラン
やるぞ大洋勝利花・・
2.俺が選んだ背番号 敵を倒すぞ男意地
勝利の花を咲かすまで やればできるさド根性
燃えろ大洋生命花・・
3.夢をつかむぞこの道に星を数えてペナントへ
男の意地はグランドで きっと咲かせる勝利花
やるぞ大洋今日も行く・・
◆ 大物の陰に無名の大器がいた
大洋のドラフト指名選手は入団拒否が相次ぎ1位指名の斎藤明雄投手(大商大)と5位指名の安田尚弘投手(報徳学園)の2人だけと寂しいものだが高松スカウトは「いやあ、量より質ですよ。中身で勝負です」と胸を張る。このルーキー2人はキャンプイン以来、同じグループで練習をしているが投げる度に2人の評価はウナギ昇りで高松スカウトの発言も決して負け惜しみとは思えない。先ずは年長の斎藤。別当監督は「最低でも5勝はいけるだろう。上体の柔らかさと腕のしなり具合といい申し分ない。即戦力だね」とベタ褒め。別当監督は斎藤には英才教育を施す予定で、例え打ち込まれても二軍に落とさず投げさせるつもりだ。
いつも斎藤の球を受けている山本捕手は「これまで過去に受けてきた新人の中では一番ですよ。球の回転もいいし、バズーカ砲みたいな重い球ですよ」と即戦力の実力は十分あると保証する。また度胸の方は更に凄い。キャンプ10日目に初めてシートバッティングに登場した時は厳しいプロの洗礼を浴びたが「今日はストレートだけだったし、打者にぶつけたら申し訳ないので遠慮があった。試合で僕の援護をしてくれる攻撃陣の方々ですから。他のチームが相手ならぶつけても何とも思わないからグイグイ内角を攻めますけどね」と他球団の選手が聞いたら顔を真っ赤にして怒り出しそうなことを平気で言い放つ。やはり大物だ。
もう一人の安田は全国区では全くの無名選手。それもそのはずで名門・報徳学園の投手とはいえエースではなく、3年生最後の夏の県予選でも15人のベンチ入りメンバーに入れるかどうか当落線上の選手だった。安田が公式戦で投げたのは3年生の夏の県予選3試合だけ。しかも僅差の場面ではなく大量リードした試合の終盤だけ。そんな安田がブルペンで投げる度に「腕の使い方がいい。球の回転が素晴らしく高目は伸びてホップする。高校時代の成績が信じられない」と別当監督の評価も高い。ここ数年来、左腕投手不足がチームの課題で頭痛の種だっただけに思わぬ掘り出し物にニンマリ。
安田をスカウトした高松スカウトによれば「3年生の時はフォームを崩して見る影もなかったが、僕は安田が2年生の時からプロで通用する素材だと思っていた。あの回転のいい高目のストレートは高校生では打てないでしょうね。課題はコントロール。でもこれは練習次第で改善できるよ」と。確かに安田は2年生の時、掛川西高との練習試合で16奪三振の快投を見せている。しかしコントロールが悪く、一発勝負の高校野球では使いづらかったわけ。これを聞いた堀本投手コーチは「プロは今日負けても明日勝てばいいんだ。思い切って投げろ」と安田にアドバイスし、安田はイキイキと投げている。
◆ 打たれてまだまだ自信あり?
「紅白戦と違って別のユニフォーム相手に投げるのは燃えますね」とニヤリと不敵な笑いを浮かべたルーキーの斎藤投手。8日の広島戦でオープン戦初登板を果たした。結果は山本浩選手に左翼席に特大の一発を浴びるなど4イニングを投げて被安打9と惨めなデビューとなった。だが斎藤は「コントロールさえ気をつければプロでもやっていけると確信しました」と精一杯の虚勢を張った。待ちに待った初登板だった。5日の長崎でのヤクルト戦でサッシーとドラ1同士で投げ合う予定だったが酒井投手が体調不良で登板を回避した為に、斎藤の登板もお流れとなった。「高校生相手に負けるわけにはいかない」と意気込んでいたがガックリ。
なので初登板となった広島戦は鬱憤を晴らそうとマウンドへ上がったが赤ヘル打線の餌食になってしまった。初回にいきなり衣笠選手に死球。プロ入り後に覚えたシュートがすっぽ抜けてしまった。これが最後まで尾を引いた。インコースに厳しい球が投げづらくなりコースが甘くなる。そして斎藤が「あの一発はショックだった」という山本浩の本塁打。ボールカウント1-3からストライクを取りにいった5球目を豪快に左翼席に運ばれた。打たれたことがショックだったのではなく、その時の自分の精神状態がショックだったと言う。
山本浩に対する3球目は初回に衣笠にぶつけたのと同じシュート。胸元に投じた球を山本浩はもんどりうって倒れて避けた。斎藤は「いかん。またぶつけたら大変なことになる」と思ったそうだ。4球目は外角に外れるカーブ。5球目を左翼席に運ばれた。「あんなに大袈裟に倒れる程の球じゃなかったのにビックリしてしまい弱気になってしまった。そんな自分がショックだった(斎藤)」と。強心臓と言われる斎藤もやっぱりルーキー。リーグを代表する2000万円プレーヤーがうった芝居に気後れしてしまったようだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます