1ヶ月ぶりに投げたものの
6回 1/3 を投げて5安打・4失点。忘れかけていた江夏投手が遂に今季初登板を果たした。4月18日の対近鉄3回戦で江夏投手は3月16日のオープン戦の登板以来、実に1ヶ月ぶりにマウンドに戻って来た。登板の2日前に野村監督に先発を申し渡された時に江夏投手は「プロ入り初登板の時のように感激した」という。しかし結果は冒頭のように芳しいものではなかったが本人は「自分としてはよくあそこ(7回途中)まで投げられたと思った。ブランクを考えれば先ずは良かった」とKOされたショックは見せなかった。
江夏投手の黄金の左腕が神経炎と診断されたのはキャンプイン直前の事だった。必死に治療に専念し開幕に間に合わせたが待てど暮らせど野村監督からのGOサインは出なかった。チームは開幕から好調で先発ローテーションも確立され、故障あがりの江夏投手に声がかかることはなかったのだ。だが徐々に先発陣に離脱者が出る。佐々木投手が足を痛め、大黒柱の山内投手も調子を崩してローテーションを維持するのがきつくなってきた。だがそれでも江夏投手に声はかからなかった。
業を煮やした江夏投手は「昨年はもっと悪い状態でも投げていた。それと比べたら今は全然大丈夫」と首脳陣にアピールしたが野村監督は「江夏にテスト登板させる余裕はない。いずれチーム状態も下降し江夏の力を必要とする時期は必ず来る。その時の為に今は焦らずじっくりやっていればいいんや」とサラリと江夏投手の意気込みをかわしていたが、とうとう江夏投手の出番がやって来たのだ。だが結果は今一つだった。先発して6回・4失点では首位争いをしている南海では次の登板は難しそうだ。
2人合わせて83歳
前期優勝はならなかったが阪急と熾烈な首位争いをした南海を牽引したのは若タカ連中ではなく野村監督と広瀬選手の " ベテラン40代コンビ " だった。野村監督が6月29日で42歳、広瀬選手は8月に41歳になる。2人合わせて83歳の超高齢プレーヤーだ。そんな2人に共通しているのは南海の黄金時代を知っているということだろう。「あの頃は優勝して当たり前やった。また強かった。南海はやっぱり強くないとアカンのや」と広瀬選手は断言する。パ・リーグを代表する強豪チームであることが当時の南海の宿命だった。
そのことが2人に何が何でも優勝という気持ちを強くさせている。前期シーズンの終盤に2人のハッスルぶりに他球団のスコアラーも「さすがにこのベテラン2人がやる気を出すと南海は怖いよ」と驚いた。残念ながら優勝は逃し、後期シーズンに再アタックをかけることになった。「ホンマに残念やったな。でも阪急がもたついたからウチに優勝の目が出ただけ。自力で相手を倒さないとアカンのや。きっぱり諦めなしゃあない」と野村監督の視線は既に後期シーズンに向けられている。
今は耐える時、忍の一字や
悪い時には悪いことが重なるもの。これを地で行っているのが今の南海だろう。先兵役の藤原選手が怪我からようやく復帰したと思ったら今度は主力組に怪我人が続出した。先ずはホプキンス選手。もともと腰を痛めていたが無理が祟って今度は膝を痛めてしまった。「休みたくない。プレーできる限りはやる」とホプキンス選手はヤンキー魂で強行出場を続けている。更に門田選手がロッテ戦で八木沢投手から死球を受け右手を負傷。そして成長著しい定岡選手が肉離れで離脱した。
投手陣ではエース・山内投手が2ヶ月ぶりに復帰したものの、中山投手の方はサッパリ。「(中山の状態は)どうなっているのか我々にも分からん」と首脳陣を嘆かせるほどスローペースの調整ぶりだ。こんなチーム状態では勝てるはずはない。「悪い時とはこんなもんかもしれんなぁ。それにしても怪我人が多すぎるわ」と野村監督は愚痴を吐露する。しかも穴を埋める救世主も不在でお手上げ状態。皮肉にもポジション的に怪我が多く年齢からくる衰えが顕著なはずの野村監督ひとりが気を吐いているのが物悲しい。
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