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一水会道展・水光会展

2006年04月02日 05時52分52秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 一水会は、全国規模の有力公募展のひとつです(日展系)。近年は公募展ごとの個性がなくなってきたといわれるなかで、抽象画がなく、穏当な写実的傾向の絵が多くを占めるということです。ただし、何年か前に改組を行った際、それを不服とする道内の会員が多く脱退したため、いまは道内関連の会員や出品者はあまり多くありません。また、水光会というのは、一水会メンバーがつくった、道内の海外愛好者の集まりのようです。
 山川義夫「グリンディ湖とマッターホルン」
 一水会委員の山川さんは近年、アルプスに題材を得ています。明暗のはっきりしたタッチ、近景と遠景を画然と分離した構図などが特徴で、巨大な山容を迫力いっぱいに描いています。
 古屋五男「滞船」
 一水会会員、道展会員。いかにも小樽派らしい、冬の小樽運河の船を描写した作品。
 花田麗子「古道の風」「瀬音」
 水光会会員。いずれも縦構図の50号。アカデミズムを思わせる確かな描法ですが、光沢はなく、それほど平滑な塗りかたでもありません。とくに「古道の風」の、そびえる杉の木の幹の描写に着目しました。画面奥が少し明るくなっているあたりもうまいと思いました。
 岩崎正「春近し」
 水光会会員。近景に、横一線に並ぶ葉のない木々を配し、遠景にサイロなどを描いています。それ以外は雪野原と灰色の空という、ごくシンプルな構図ですが、静かに時が流れているような、独特の端正なたたずまいがあります。小品「冬の港」も、落ち着きが感じられました。
 細貝信子「夏の草花」「秋の頃」
 一水会会友。穏当な写実の多い出品作の中では異色の、粗い点描による大作。緑などの点や短い線の集積がびっしりと画面を覆っています。
 坂田紀久恵「静物」
 ドライフラワーを、丹念な絵の具の塗り重ねで描いています。
 長谷川良造「陽春」「工場(夏草)」
 いずれも小品ですが、あまり描きこみすぎない大まかなタッチは、戦前の大家の油彩を想起させ、心が和みます。

 ほかに、佐々木良子、尾川和彦、杉田秋夫、伊藤俊輔、玉置亘、坂元輝行、結城とみ子、平原郁子、川染聳子、井村郁子、相馬茂雄、伊藤裕の各氏も出品しています。
 雪景色をていねいに描写して近年入賞している北見の勝谷秋男さんの作品がないのが、残念でした。

3月29日-4月2日 
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 地図G) 月曜休み 原則10:00-17:00(最終日-16:00)


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