線翔庵日記



おまつり、民謡、三絃、名水、温泉、酒、そして音楽のこと…日々感じたことを綴ります。

企画展「高田瞽女最後の親方・杉本キクイ」

2013年09月22日 17時26分54秒 | 民謡
 今日は新潟県上越市の市立総合博物館で行われている企画展「高田瞽女最後の親方・杉本キクイ」を見に行ってきた。今年は没後30年になるということで、それを記念し、企画展が開催されたのだ。


 杉本キクイは明治31年、現在の上越市東中島で生まれる。6歳で麻疹により失明(その時は医師による誤診であったという)し、高田瞽女杉本家の養女となる。厳しい唄と三味線の稽古を受け、各地を廻る旅に明け暮れる生活になる。
 杉本家を継いだキクイは養女シズ、手引きの難波コトミとともに、最後の高田瞽女の家を守り通したということで知られ、昭和45年には「記録作成等を講ずべき無形文化財」選択となり、昭和48年に黄綬褒章を受章となる。

 展示はなかなかよかった。数多くの写真や資料が興味深い。高田瞽女は各地に出かけて行ったが、信州も上田や小諸、佐久まで来ていたそうだ。また、高田瞽女は弁財天を信仰する「妙音講」で知られるが、信州への旅の途中には、現在の信濃町の野尻湖では「弁天島」に向かって参拝するという件が何とも印象的であった。

 またキクイが縫ったという撥袋や80歳のときに縫った雑巾まで展示されていた。細かい縫目を見て、苦労と律義さを勝手に想像した。また、キクイが使っていた「褄折笠」が展示されていたが、何でも古くなってしまった笠の代わりに、ある瞽女宿の主人から贈られたものだという。それを「笠が傷まないように」と笠の上にビニールを被せて使っていたそうだ。こんなところにも慎ましやかさを感じてしまった。

 いろいろ見て回ったが、館内には瞽女唄がBGMとして流れていた。自分が上越市に住んでいた頃、市が発売した5枚組の「瞽女唄」CDを買ったのが初めてだったが、今回はCD付の博物館発行の冊子を買ってみた。


 また、記録映画「瞽女さんの唄が聞こえる」というDVDも思わず購入。


 民謡や邦楽に多大な影響を与えた瞽女唄。また、しばらくその音源を聴き続ける日々になりそうだ。


 
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