味噌汁の具のなかで異色なのは、なめこである。
何故かは今もって謎なのだが、なめこには高級感がある。
高級な寿司屋などでは、「このあたりで赤出しでもお出ししましょうか」
ということになって、なめこの味噌汁が出る。
味噌汁とは言わず「赤出し」と言う。
すると客はなぜか「おう、赤出し」と感激する。
大したことないんだよね、なめこって。
松茸みたいに血筋がいいわけでもなく、値段だってエノキと同程度の安物のたぐい。
なぜ人々は、なめこに高級感を抱くのか。
まず定食屋の味噌汁には登場しない。
社食や学校給食の味噌汁にも出席しない。
そうしておいて高級寿司屋には積極的に出る。
出たら出たで秘伝の戦略。
箸の先でつかもうてすると、ニョロリと逃げまわる。
ワザと。
ワザと逃げまわって相手の気を引く。
そうしておいて今度は一気にワッと寄ってくる。
なめこの味噌汁を飲もうとしてお椀を傾けたとたん、なめこたちが一斉にこっちに寄ってきたという経験は誰もが持つ。
箸の先でよけてもよけても集まってくる。
自分が急に、みんなの憧れ的の人気俳優になったような気がしてくる。
なめこで人気俳優の気分になれるのだから、こんな安上がりの方法は無いのではないか。
近づこうとすれば逃げ、逃げたと思わせておいて近寄ってくる。
昔から言われている遊女の秘伝ですなぁ。
なめこの原木栽培にチャレンジしています
収穫は夏を2シーズン超えたのち。
なので来年の秋ごろから始まるということですかね。
まさにスローフーズですが、自然栽培100パーセントのなめこが、我が家の朝の味噌汁の具になる日が早く来ないかなぁ。
などと、ささやかなお楽しみがあるのでした。