かつてはICU(集中治療室)などには縁がなかった。自分はもちろん、友人、知人でもICUに収容されていたりお見舞いに行くなどということがなかった。あるいは、仕事が忙しかったからかもしれない。それがここ数年、年を取ってきたせいなのだろう、ICUにお見舞いに行くことが頻繁だ。内臓からの大量出血で、脳溢血で、大動脈解離で、そして心疾患による呼吸不全で、と病因はさまざまだ。そのうち、最初の2名はそれから意識を回復することもなく間もなく亡くなってしまった。
昨日、友人が収容されているICUにお見舞いに行ってきた。入り口で入念に手洗いしてマスクをつける。厳重に隔離されたICUには入院患者が4-5名、一番奥に友人のベットがあった。友人の体にはさまざまな計測機器がつながれていて体の状態が刻々数字で表示されるようになっている。ICU内には数名の看護師が常駐しているから、何がか異変があれば警報がなってすぐに対応できるようになっているようだ。
呼吸不全の友人は、救急車で搬送された時の危機的な状態は脱したものの、まだ人工呼吸器を装着している。かつては気管切開もあったようだが、いまでは切開せず口から管を挿入するほうが一般的という。たしかに切開というようなことになれば回復にも時間がかかる。一週間ほど前の、入院直後の管よりは小型になっていて異物感は少なくなったということだったが話すことはできない。耳は聞こえているので、こちらの言うことは理解できるが、返事は何かに書いてもらうことになる。いわば片務的な筆談ということになる。横臥した状態で身動きができない中での手書き本当につらそうだった。それに、思ったことをすぐに文字にすることはなかなか難しい。友人にとってはフラストレーションの溜まる話。それでも20分程度、なんとか意思疎通ができた。
まだ読書ができるような状態ではなかった。一般病棟に移ってから、適当に本を見繕って差し入れしてみよう。
このところ庭をゆっくりと眺める余裕もなかったが、いつの間にかバラの咲く季節になっている。いくつか花瓶に挿したら一気に香り立った。
咲き始めのペティナ。
略150年前に作出されたハイブリットティーローズの第一号 ラ・フランス。ハイブリッドティーローズの第1号となった記念すべき品種