回顧と展望

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キタキツネ騒動

2023年05月15日 13時36分18秒 | 日記

定期的に様子を見に行っている札幌の空き家にキタキツネが住み着いているのではないか、という連絡があったのは先週の月曜日。向かいの家の奥様から夕方に突然の電話。親キツネと子キツネ2匹の4匹家族がその家の庭から我が物顔に出入りしている。閑静な住宅地であり、犬を連れての散歩や小さな子供がいる家庭もあって不安だと。しかし空き家とはいえ勝手に庭に入ることもできず、町内会で話し合った結果、まずは所有者の許可を得たうえで庭に入り「キツネ一家追い出し作戦」を実施したいということ。その前に区役所に相談したが、キタキツネは鳥獣保護管理法により保護される野生動物であるため住民といえども勝手に捕獲や駆除してはいけない。一方で行政としては公費での追い出し(自然の環境に返す)はやっていないという、役所体質丸出しの対応で役に立たない。

50年以上前から10年ほど前まで義母が住んでいた家であり近隣とは長い付き合いなので迷惑をかけることもできない。町内会長、向かい2軒と両隣の都合を確認したところ14日の日曜日午前、くだんの空き家の庭からのキタキツネ追い出し作戦を決行することになった。運よく快晴、自分も含めて総勢7人が作業着に手袋、熊手やスコップを手にした重装備で集合。向かいのご夫人からは、今朝、キツネ一家が勢ぞろいで道路際のごみ収集箱の上に並んでいたところを撮ったスマホの画面を見せてくれた。そしてそんな話をしていたさなかに庭の片隅でうごめくキツネを発見。写真を撮る間もなく草陰に姿を隠されてしまった。

とにかく初志貫徹と一行で空き家の庭に入ってみた。しかしキツネが巣を作りそうなくぼんだ場所や物陰をしらみつぶしに当たってみたがキツネの生活していたような跡は見当たらない。庭の端まで来てみると人間が一人すり抜けられそうな隙間がありそこからとなりの家の庭に入ることが出来た。そこの庭の片隅に古い木造の物置がありよく見ると土台の下にくぼみが出来ていた。お隣のご婦人はこれまで気が付かなかったということだが、キツネが出入りするには十分なくぼみで、竹の棒を入れてみると奥にはかなり大きな空洞があることが確かめられた。一同、こここそがキタキツネの巣ではないかと確信、しかし事前に人の気配を察してどこかに緊急避難でもしたのか、キツネの姿はどこにも見当たらない。たぶんいくつかある別の巣に移ってしまったのだろう。近くの小石を集め入り口を塞ぎ、念のためにあたりに木酢液をまいておいた。これでしばらくは戻ってこないだろうという期待を込めて。

いずれにしても自分の家はキツネの住処ではなかったから一安心。このために駆け付けた自分に対して町内会長は盛んに恐縮していたが空き家として長年無人だった家が住処としての第一候補に挙げられたのはやむをえないところだろう。

あのキツネ一家、幼い子キツネを連れてどこへ行ったのか、500mほど離れたところにある大きな公園に無事たどり着けたか。そういえばこちらがキツネを探していた間、すぐ近くの家の塀に止まった大柄なカラスが仲間でも呼ぶように大きな声で鳴いていた。このカラスはまだ小さな子キツネを狙っていたのか。

キタキツネと言えば1978年公開のドキュメンタリー映画「キタキツネ物語」(2013年にリニューアル版公開)を思い出す。たかがキタキツネの追い出し作戦。しかし人間と野生動物の共生、子供やペットへの危害の可能性、伝染病の恐れなど、考えれば考えるほどいろいろなテーマが浮かび上がってくる。

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