回顧と展望

思いついたことや趣味の写真などを備忘録風に

蜘蛛の糸

2021年07月15日 11時23分01秒 | 日記

暑くならないうちに一回りしてみようかと思って今朝早く庭にでてみると、栗の木の枝の下、3メートルくらいの高さの所に何かがぶら下がっているのが見えた。落ち葉か何かかと思って近づいてみると、蜘蛛の巣に絡み取られた小さな雀がさかさまになってもがいている。周りからは雀のさえずりがいつもより騒がしい。栗の枝の一つから車庫の方にめぐらされた蜘蛛の巣に引っかかっていたのだ。

大急ぎで車庫からちょうどいい長さの園芸用の支柱を持ってきて蜘蛛の巣を払ってみると、その雀が一旦アジサイの葉をクッションにして地面に落下、飛び立とうとするが、細い黄色い脚には蜘蛛の糸が何重にも絡みつき粘着していて、20センチほど動いた後、うずくまってしまった。大きく口をあけて、そこから赤みがかったのどまでが見える。そのうち、口をしっかり閉じてしまった。黒い点のように光る目は開いていてこちらを見ている。

どの程度の間、空中でもがいていたのか分からず、あるいはもがいているうちに骨折でもしたのかもしれないが、すぐには動けそうにもなかったので家の中にいったん戻り、脚が細いこともあるので、からんでいる蜘蛛の糸を取り除くにはピンセットしかないと思い百均で買ったピンセットを持って戻ってみると相変わらず大きく口を開けてうずくまっている。用心のため手袋をしてさっとその雀を手で包むように捕まえてみるとかすかに鼓動のようなものを感じる。

見ると黄色い針金のように細い脚にクモの糸が何重にも、ねばりつくように巻き付いている。脚を傷めないように慎重に蜘蛛の糸を外してやったが両脚ということで結構な時間がかかってしまった。やっと取り除いて、芝生の上にそっとおいたが、身動きしない。相変わらず口を開けたり閉じたりしている。口を閉じるといわゆるへの字、にみえる。

きっと体力を消耗したのだろうと思い、台所にあったプラスチック容器のふたに水をいれて雀の前に置いてみた。米粒なら食べるかもしれないとも思ったがまずは水で様子をみること。目の前においても自分からは飲もうとはしないので、口を開けた時を見計らって水を流し込んでみた、たまたま、口が大きく開いたときに数滴の水を飲んだように思う。そのあと、何度か喉のあたりが動いている。もう一度水を与えようとしたが、少し元気が出たのか羽をばたつかせて30センチほど移動。脚に加えて羽の方にもダメージがあったり、ひょっとするともう助からないのかも、しかし、この庭には猫や犬などの天敵が入ってくることも無いので、とりあえずぶどう棚や柿の木の様子を見ようとその場所を離れた。

10分くらいだろうか、戻ってみるとその雀の姿が見えない。何か争ったような形跡、例えば羽の一部が落ちているようなこともない。念のためその辺りの物陰になるようなところ見てみたが姿が見えない。水差しにした蓋がぽつんと残っているだけだ。きっと少し元気を取り戻して飛んで行ったに違いない・・・

朝食をとっていると窓の外から雀の鳴き声がにぎやかに聞こえてきた。あの中にいたのだろうか。

この時期、朝庭に出て蜘蛛の巣に引っ掛かることもたまにある。人間だって顔にクモの糸が当たったら不快なことこの上ない。ただ鳥が蜘蛛の巣に引っかかっているのを見るのは珍しい。あの雀は、小さいのに加えて逃げる間もなく足に絡みついてしまったのであんなことになったのだろうか。

昔小さかった頃、母親から、朝の蜘蛛を殺してはいけない、といわれた。それもあって朝の蜘蛛はいい蜘蛛なのだという思い込みがある。今朝、この巣を張った蜘蛛はもがいていた雀を見ていたのか、自分の巣が殺生をすることになることをどう思っていたのか。幸い、雀は助けられ、(たぶん)再び飛ぶことが出来るようになったからよかったものの、自分が見つけなければ・・・

ささやかな今朝の出来事。

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2 コメント

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Unknown (michi)
2021-07-25 04:13:26
Harborside さま
お話最後まで読んでほっとしました、、、。harborside さまの優しい対応に、雀に代わり、感謝です!
蜘蛛に纏わる話、フランスでは逆なんですが、、、いつも対応に困ります。朝にするか、夜に退治するか、、、笑
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Unknown (harborside)
2021-07-26 17:51:18
michiさま
長すぎた!話に最後までお付き合いいただきありがとうございました。歳のせいか?、このところ小さな生き物にはすぐに情が移ってしまうようです。

たしかフランスでは夜の蜘蛛は縁起が良い、ということで見つけたら逃がしてあげる、と聞きました。縁起がいいと言っても逃がすまでが大変ですよね。

一方で、蜘蛛は良く言えば用心深く、悪く言えば陰険。至るところに網を張って、引っかかった獲物は食べてしまうので,権謀術数に長けたルイ11世のあだ名だったというのも良く分かります。きっとフランスでも苦手の人は多いと思います・・・。
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