回顧と展望

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テレワーク

2020年05月04日 07時42分14秒 | 日記

組織運営上の重要な留意点として、職場でのセクシュアルハラスメントと差別の防止がある。いずれもひとたび事案が発生したら、組織の士気への甚大な悪影響と風評上の不利益をもたらす。このため組織は大変な努力をするのだが、人間の本性なのか、結局いつまでたってもその発生を完全には防ぐことが出来ない。今般、コロナウイルス感染拡大防止のため接触機会削減を実現することが至上命題となり、テレワークを導入したところは多い。実際には、テレビ電話会議システムを使って会議を開催し、職場の代替とするものだ。このシステムには必ず録画機能も備わっている。このシステムを通した発言はすべて記録されるし、そのことが分かっているから人は自然と発言に慎重になる。さらに、目の届かない密室に異性とこもってしまうということ自体あり得ない。そのため、体に触れられるといったようなセクシュアルハラスメントは起きようがない。

差別的な発言についても記録が残るから事実関係で曖昧なことにはならない。このようにテレワークは人事上の問題となる事案の発生に防止効果があるとともに、一方でいわれのないセクシュアルハラスメントや差別の申し立ても防ぐことが出来る。実際、このような冤罪ともいうべきケースは多く発生している。

先日、イギリスの法律事務所を舞台にしたTVシリーズ(SiLK)を観ていたら、男性上司(癌で余命いくばくもない、ただし、公表はしていない)からセクシュアルハラスメントを受けたとして所内の査問委員会で審査されるという場面があった。被害を訴えた若い女性弁護士見習いは、「上司が膝に手を置いて「昇格したら、その見返りをしてもらう」と言った。これは明らかに性的な見返りを意味しており、深刻な精神的苦痛を受けた」と主張。一方、上司は「膝に手を置いたことはない、見返りをしてもらう、と言ったのは、昇格したら給料が多くなるので見合った仕事をして事務所収入に貢献してもらいたい。という趣旨で性的な見返りを暗示したものではない」と反論。被害者側についた弁護人は、「膝に手を置いてのやり取りであり、上司に性的な見返りを求める意図があったのは明らかだ」と主張。上司側の弁護人は「そのやり取りがあってから、申し立てまで2週間も経過していた、その間に、彼女が相談した相手はその上司に対して恨みを持った人物であり、そこからの影響があったと考えられ、被害者の主張には疑念が残る」と反論。そばで見ていたという女性の同僚が証人として証言し、「膝に手を置いたかもしれないが、少なくとも性的な意味は感じられなかった」と発言(彼女は直前に上司の病気を知った)。最終的にはセクシュアルハラスメントは認定されなかった。この場面の、経緯や結果の是非についてはドラマでもあり議論があるのは当然だが、問題の核心となった「膝に手を置く」についてはテレワークであれば発生していなかった・・・

もちろん、テレワークになっても新たな形でのセクシュアルハラスメントや差別が発生することは間違いない。しかし、少なくとも今までのようなものはある程度防止できるのではないか、これも、テレワークのもたらすメリットの一つだろう。

満開のモクレンとモクレン越しに見たエゾヤマザクラ。

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