回顧と展望

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Support Bubble

2020年06月11日 11時13分51秒 | 日記

コロナウイルスによる死者の数が4万人を超え、世界第二位となるなか、厳しい都市封鎖(ロックダウン)の続くイギリスで、今月13日から一部が緩和され、一定の条件の下で単身ないし18歳以下の子供のいる世帯が、他の世帯と面会するあるいは一つの部屋にいることや、宿泊することが出来るようになる(こうしてできた一つの小さなグループが Support Bubble )。すなわち、あたかも一つの世帯として認められることになり、この場合には2メートルの距離制限(Social Distancing)の対象にもならない。また、この中では、身体的な接触例えばハグなども許容される。しかし、このSupport Bubbleは一旦相手を選んだあとは変更することはできない。

この制度の目的は、例えば独居老人が自分の成人の息子あるいは娘家族の家をおとずれ、孫を抱くことができるという、ロックダウン開始以来禁止されてきたことが可能になるものである。あるいは、離婚してシングルペアレンツになった二人が子供の養育義務を果たすために、相手方とこのSupport Bubbleを組むことが出来る。ただし、いずれも英国内に居住していることが条件であり、外国との間でのSupport Bubbleの制度適用は認められない。

さらに、双方が一人で住んでいるのであれば、一緒に住んでいないカップルがお互いに訪問したり滞在したりすることが出来るようにもなる。ロックダウンが長期化して、孤立している独居老人や子供に会うための相互訪問が出来なかったシングルペアレンツの問題が深刻化してきたことが背景にあり、また、一定の範囲内での接触を認めることは感染拡大防止との比較衡量した場合、メリットの方が大きいと判断したものだろう。前述のとおり複数の相手(家庭)とこのSupport Bubble を組成することはできない。すなわち、この制度は、この趣旨に該当しない、資格のない人が他の人と相手方の家の中で会うことを認めるものではでは全くない。こういったことは依然として違法である。

日本では最近、いわゆる夜の街や昼のカラオケ店での感染拡大(と言っても絶対数は世界的にみれば小さいが)が新聞に取り上げられている。しかし、他国ではまだまだ次元の違う規制が行われているということで、日本からみればこの程度、という規制緩和でもジョンソン首相自らが大々的に発表するという、彼我の違いの大きさを改めて実感させられる話だ。

イギリスでは年老いた親を子供が介護するとか面倒を見るという常識はない。子供と言えども一旦成人してしまえば別個の人格として、家族としての区切りをつける。親は可能な限り自分で生活し、どうしてもそれが叶わなくなったらホスピスのようなところで余生を過ごす、ということになる。だから、子供たちが孫でも連れてたまに面会にきてくれるというのが極めて大切だ。また、離婚してからも(離婚自体が極めて多い。それは、イギリス王室の中でもあれだけ離婚が多いことからも推察できる)親として子供の養育を共同して続けるというのが一般的だ。そういうイギリス社会だからこそ、こういったSupport Bubble のような仕組みが必要になる。

この制度は長引くロックダウンにより精神的に危機的な状況にある国民に対応しようというもので全面的なロックダウンの解除ではない。なお、Support Bubbleの制度には、それを監視するシステムは特になく、あくまで良識や良心に訴えるというもの。この制度を悪用するようなものが出てこないとは言い切れないが全国民が不自由な生活を強いられている中、さすがにこの趣旨を逸脱することははばかられるのではないか。Support Bubbleなる聞きなれない言葉が出てくるほどに、このウイルスの脅威は深刻だ。

去年ロンドンで撮りためた花の写真をいくつか。

 

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