回顧と展望

思いついたことや趣味の写真などを備忘録風に

2020年12月18日 18時09分31秒 | 日記

夢と言うものはたいてい荒唐無稽、あるいは支離滅裂なものだと言っていい。普通、醒めたその瞬間は鮮明に覚えているつもりでも、虹があっと言う間に空の色に同化して跡形もなく消えてしまうようにその筋書きは思い出せないものだ。まだ幼かったころ、何か怖い夢を見た時には、母親の布団にもぐり込んで、背中の下に手を差し込み、その重さを感じているときには母親に守られていると思えてその夢の怖さから逃れることが出来た。少し大きくなってからはさすがにそんなことは出来ないようになったし、また、怖い夢や嫌な夢を見た時には、ああ夢で良かった、と思うことにして、むしろ安堵したりするようになってきた。多分この辺りは誰でも同じようなものだと思う。

ところで、昨夜見た夢は、久しぶりに筋の通った(?)、そしてよく覚えている夢だった。

今から30年以上前のことと思われる、自分はまだ20代の頃の時代設定で、イギリスのある地方都市で大きなプロジェクトの関わり、そこの駅を拠点にして仕事をしている。駅を集合場所にしたり、会議をしたり(この点で少しおかしいと言えばおかしいが)、毎日のようにかなりの時間をその駅構内で過ごしている。そのうちに仕事が一段落し、ロンドンに戻ることになった。荷物をまとめて、最後にいくつかクレジットカードで買い物をし、切符を買おうとして窓口に行ってみるとそこにいる若い綺麗な駅員がやたらと愛想が良い。多分、自分たちが駅で活動していたのを見ていたのだろう。

切符を買おうとして料金を払う段になり、財布を見るとクレジットカードが見つからない。さっき買い物をしたときに財布に戻さずにどこかのポケットにしまい込んだのだろうと思い、慌ててあちこち探していると彼女は愛くるしい笑顔を見せて待っている。そのうち、彼女は、自分は買い物のためにちょっと席を外しますといって、切符売り場の横の土産物屋に入り、何やら紙包みを持って戻ってきた。こちらはどうしてもクレジットカードが見つからず、やむなく財布にあった紙幣を渡して支払おうとすると、いえ、この代金が私が持ちますから、という。それでは困ると言ったその時にロンドン行きの列車の到着の放送があった。これは乗り遅れる、と思ったところ、彼女は、大丈夫、私に任せて、秘密の通路がありますから、と言ってその紙包みをもって地下道のようなところをずんずんと進んでゆく。そして一つの扉を開けるとそこは列車のホームになっている。

そしてそこには何人かの老紳士、老婦人が列車を待っている。なるほど、秘密の通路とは特別の客に与えられる特権のようなものだと合点して、そこで、彼女はとみると艶然としたほほえみを浮かべて、これをあなたにお渡ししたかった、と言うなり今来た通路をさっと去って行ってしまった。聞き返す間もなく彼女の後姿だけがが見えた。と、そこに列車が滑り込んできて一斉に乗客が乗り始める。乗り遅れては大変と、慌てて最後に乗り込むとすぐにドアが閉まった。見回すとかなり混んではいるが窓際に席が一つ空いている。

そこに腰かけて一息ついて辺りを見るとあの駅員がくれた紙包みが見当たらない。慌てて乗ったのでホームにでも置き忘れてきてしまったのだ。ロンドンに着いて、忘れ物として届けようにも、中身が判らないからどうしようもないか。

本来ならものを確かめた後、きちんとお礼をしなければならない。ひょっとして何か短い手紙でも入っていたのかもしれない。駅で自分を見ているうちに、ひょっとして彼女は(まだ若い)自分に一目ぼれでもしたのかも、などと言う勝手に甘美な思いこみに浸っていると同時に、お礼もしないとすると、ずいぶん失礼な人だと思われるだろう。

何だか取り返しのつかないことになったように思えてきてぼんやりと窓から外に拡がる風景をみていた。その時、隣の線路に反対方向からの電車がやってきて、窓の外が一瞬暗くなって鏡のように自分の顔が映し出された。そこには、くたびれた、白髪の、まさに老人と言うしかない自分の顔が写っていた・・・・。

そうだ、自分はもう老人だったのだ。あの駅員は、老人がクレジットカードを探すのに難儀するのを見かねて、多分鉄道会社のマニュアルにでも沿ったのだろう、運賃のサービスと何か簡単なお土産の用意をしたのに違いない。秘密の通路とかを通ってホームに着いた時に回りに老人がいたのはそのせいだったのだ!

そこで何もかもが判ったような感じがしたところで、目が覚めてしまった。自分でも全く不思議なことに、この夢は実に今でも明瞭に記憶に残っている。楽しい夢ではないがかといって怖い、と言うのとも少し違う。あるいはあっという間に歳を取ってしまった、と言うことでは本当は怖い夢だったのかもしれない。

夢のことなど長々と書くのはどうかとも思うが、今まであまりこう言った夢は見たことがない。これから見ることはあるのだろうか・・・

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4 コメント

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Unknown (ra9gaki_do)
2020-12-18 19:00:07
こんばんは(^-^)
温かいリアクション
ありがとうございます😊😊😊
いよいよ歳の暮れですね。
お体くれぐれも大切に
元気にお過ごし下さいませ。
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Unknown (popra)
2020-12-19 08:45:24
夢をこんな風に描写できることってそうないですから、ナイスジョブ⁉️
子供の時に見た夢のいくつかはよく覚えていますが、最近のはあっという間に虹のように消えますね✨
でもパターンみたいなのはあって、私は、どこかに旅行、合宿などで宿泊して、そこで荷物の一部が見つけられない、みたいなのが多いです😆
ユング?でしたっけ?心理学で説明してほしいです😆😆😆
夢でもロンドンなんて素敵ですね!
ハリー・ポッターのように展開するのかなと思いながら拝読しました!
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Unknown (harborside)
2020-12-19 13:42:43
ra9gaki_doさま
コメントありがとうございます。
絵手紙教室年末年始はお忙しいのでしょうね。
張り子に絵を描くなど勉強になります。
知人が新潟県村上市の出身で、葡萄羊羹の写真興味深く拝見しました。
寒い日が続いています。
風邪などひかれぬようご自愛ください。
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Unknown (harborside)
2020-12-19 13:53:00
popraさま
コメントありがとうございます。
ユングの名前をうかがって、キーナ・ナイトレイが主演した映画「危険なメソッド」を思い出しました。史実とは違うかもしれませんが、ユングとフロイトの関係が描かれているのと、夢について(少し怖いですが)の描写がなかなか刺激的な映画でした。
因みに今回はロンドン自体は夢に出てきませんでした・・・
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