難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

難聴者のエンパワメントはクリーム入りドーナツ

2006年09月20日 21時59分40秒 | エンパワメント
060728_0846~001.jpgサンフランシスコの風さんからです

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メールをいただいて、エンパワメントについていろいろと考えました。
おそらくこの用語はアメリカよりも日本で定着した感じがありますが(ビジネス関係に多い?)、英語では、Empowerment だけでなく、Self-advocacy (自分の権利を理にかなった方で主張する)、 Assertiveness(理に叶った説得力のある主張をする能力)、Self-esteem(的確で健全な自己イメージ、自分を大事にする能力)など、様々な類似用語が飛び交い一定しませんが、いずれも個人主義アメリカで生まれた基本的人権を支える重要な概念です。
日本では、まずある程度個人主義(自分勝手という意味ではなく、周りにも調和した理にかなった個人の主張)をある程度築いてから(というか同時に)、「自己能力開発支援(エンパワメント)サービス」をやっていかないと、砂上の楼閣になってしまう気がします。

さて、エンパワメントの社会福祉制度化は難聴個人の自己啓発援助サービス(カウンセリング)と同時なら非常に効果が高いと思います。というか、エンパワメント社会福祉制度化のモデルは、個人対象のカウンセリングと、セルフヘルプグループのようなグループモデルが共存するのが理想です。
おっしゃるとおり、中途失聴・難聴者の手話講習会は、他に代わる枠組みがないところでは、大いにエンパワメントのグループモデルを提供していると思います。
ただし、リーダー層が個人カウンセリングの基本的知識と経験がないままこのグループを統率しようとするのは非常に危険ですね。せめてピアカウンセリングの講習を受けるとかある程度資格化をきちんとすることが重要でしょう。こうすべき、こうあるべきという、「べき」とか「すまじき」というような押し付けの言葉を使う人は、たとえそれが経験則に基づく善意のアドバイスであってもカウンセリングをしているとはいえません。
まあ、こうすべき、とずばっ、いわれないとカウンセリングに行った気がしないと思う人がいるかも知れません。他者依存、協調志向の強い日本人だからというのはありえます。
その場合でもその難聴来談者の様子をみながら違った応答が使い分けられるのがいいカウンセラーですね。

(続く)





聴覚障害者の胃部X線検査の無料検診実施中

2006年09月20日 20時54分49秒 | 生活

夜の花2聴覚障害者は、医師や看護士、受付、薬局などでコミュニケーションの問題のため、なかなか診察に行きたがらない。特に、顔も見えない個室で行われるX線検査は鬼門だ。

東京都中途失聴・難聴者協会は、昭和大学医学部高橋英孝教授と日立製作所の聴覚障害者向け胃部X線検査システムの開発に、2002年からアンケートやモニター、被検査など積極的に協力して来た。同年11月24日には「東京都中途失聴・難聴者の集い」にて、始めてこのシステムを搭載した移動検診車による検診が行われた。


http://www.tonancyo.org/info/iryou.html
http://www.fukushi.com/news/2003/04/030402-a.html
http://www.englink21.com/i-eng/column2/clm058/clm000.html

同システムを導入した、東京予防医学協会の御好意で無料検診を行っている。
2005年11月、12月、2006年10月、11月。
http://tonancyoinfo.seesaa.net/article/21794440.html
http://tonancyoinfo.seesaa.net/article/9385237.html

実際に検診した方の中から、かなり重要な病気が発見されており、聴覚障害者の早期検査が重要なことが示されている。
企業の検診や自治体による検診でもこの聴覚障害者向け検査システムを導入したり、このシステムのあるところで受診できるようにして欲しい。

ラビット 記



難聴者のエンパワメント

2006年09月20日 11時25分45秒 | エンパワメント

ソメイヨシノ2
ソメイヨシノ1サンフランシスコの風 様

聞こえの支援の社会学という、一文を書こうと思っているんですが、エンパワメントというのは、最近の聴覚障害者サポートの中では、どのように使われているのでしょうか。
久保耕造さんのエンパワメントという言葉の紹介があります。
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n193/n193_037.htm

また、別途「中途失聴・難聴者のリハビリテーション」というコラムを書く(320字)のですが、その中にもエンパワメントという言葉を使います。
私は、自己能力開発みたいな意味でとらえていますが、これを社会的につまり社会福祉の制度としてサポートする仕組みが必要だと思います。
中途失聴・難聴者のリハビリテーションには、バリアフリーな環境整備、自己能力開発支援(エンパワメント)サービス、相談支援(コンサルティング)が必要です。中途失聴・難聴者の手話講習会は、この一部を代行しているとは考えられませんか。

エンパワメントの専門性を考えると疑問かもしれませんが、中途失聴・難聴者向け手話講習会は、
1)手話の学習(自己表現としてのコミュニケーション手段の獲得)
2)同じ障害者との交流(障害認識、障害受容の前提)
3)中途失聴・難聴者のコミュニケーション問題、聴覚障害、各種支援サービス等社会福祉制度の学習(自立のための知識獲得)
の要素があり、全体として、エンパワメントの場となっています。
ただ、手話指導者がそうした意味を十分理解していないの場合、お友達や先輩感覚でその人の自立や手話の可能性を摘んでいるかもしれない危惧はあります(こうしたいけれどもどうかしら→それはまだ無理よ、ちょっと待った方が良いわ)。

エンパワメントについて、高山亨太氏が的確な説明をしていると思いました。経歴を見ると聴覚障害者の精神保健福祉士です。今年の9月から、ギャローデッド大学に留学されています。
http://takayama.alohashore.com/?eid=119418
(このブログは、昔のマックのファインダー風なデザインですね)
このブログの推薦書に「Inner Lives of Deaf Children: Interviews and Analysis」が出ていますが、難聴者のソーシャルワークのための本が読みたいです。

ラビット 記

写真は通勤途上のソメイヨシノです