安全問題研究会(旧・人生チャレンジ20000km)~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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●安全問題研究会が、JRグループ再国有化をめざし日本鉄道公団法案を決定!

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こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

【書評】東芝不正会計 底なしの闇(今沢真・著、毎日新聞出版)

2016-09-04 22:54:38 | 書評・本の紹介
入院中に読んだ3冊目。東芝での不正会計問題について追ったドキュメントである。著者は毎日新聞論説委員、毎日新聞ウェブサイトの「経済プレミア」編集長兼論説委員であり、「経済プレミア」の立ち上げに関わった人物でもある。

アマゾンのブックレビューなどでは、「今沢氏の自分語りがウザい」「経済本としては食い足りない」という評価が目についた。当ブログとしては、今沢氏の自分語りについては別にウザいと思わないが(そもそも「本」とは自分語りをするための媒体でもある)、気になったのはこの本の中途半端さだ。どのような層を読者として想定しているかが今ひとつ見えにくいのである。

財務諸表が読め、日本経済新聞の記事も難なく読みこなすような人たちにとって、本書による解説は食い足りない、掘り下げが足りないと映るであろうし、逆に「日経の記事なんて読むだけで頭痛がしてくる」という層の人たちからは、もう少し詳細な説明が欲しいと思われるだろう。「経済プレミア」を、経済が専門でない人々にフォーカスした媒体にしたいと考えているのであれば、せめて「減損処理とは、企業の事業廃止や縮小に伴って不良資産となった固定資産の帳簿価格を、実勢価格に合わせて引き下げるとともに、差額を評価損とする会計処理」のことである、という程度の説明は必要だろう。今のままでは、経済プレミア自体「帯に短したすきに長し」の状態で中途半端になるのではないか。そんな懸念がわき上がってくる。

とはいえ、この間、毎日新聞や「経済プレミア」が報道してきた東芝不正会計問題を、1冊の本にまとめ、経過を追いやすくしたことは評価できる。東芝の不正経理問題に関心を持っているものの、インターネットで個別の記事を検索し、まとめる作業をこれから行うだけの労力を割きたくないと考える人たちにとって、この本は悪くない選択だと思う。ただ、そうした努力も、東芝の不正経理問題が完全決着していない2016年1月段階で第1刷が刊行されたため、中途半端なものに留まっている。

今沢氏には、ぜひ、この問題を最終決着まで取材していただくとともに、この本の続編としてまとめていただけるよう希望する。東芝の不正経理問題の全貌を明らかにする仕事は、それによって初めて完成したといえるだろう。

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