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【尼崎事故】山崎正夫・JR西日本前社長の公判始まる

2010-12-21 23:13:17 | 鉄道・公共交通/安全問題
山崎前社長が無罪主張 尼崎JR脱線初公判(神戸新聞)

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 乗客106人と運転士が死亡した2005年の尼崎JR脱線事故で、業務上過失致死傷罪に問われ在宅起訴されたJR西日本前社長、山崎正夫被告(67)の初公判が21日、神戸地裁(岡田信(まこと)裁判長)で開かれた。山崎被告は「事実と全く異なる」と起訴内容を否認し、無罪を主張した。

 鉄道事故で会社幹部の刑事責任が問われるのは極めて異例。脱線したカーブに自動列車停止装置(ATS)が設置されていなかったことをめぐり、被告が事故を予測できたかどうかが争われる。

 午前10時に開廷。神戸地検は起訴状朗読で約30分かけて、全死傷者599人(地検調べ)の名前を読み上げた。

 罪状認否で山崎被告は被害者に謝罪した上で、「ATS設置の必要性に気付くことができる場面がなかったのか自問自答を重ねたが、当時私の立場で気付くことはできなかった」と予見可能性を明確に否定。「裁判で潔白を明らかにしたい」と述べた。

 続いて検察側が冒頭陳述。「部下から、カーブで速度超過することの危険性について指摘を受けていた」とした。休廷を挟んで午後も続行し、弁護側も冒頭陳述を行う。

 地裁はこれまでに、被告人質問や量刑について意見陳述できる「被害者参加」を、遺族・負傷者51人に認めた。この日は、被害者参加人として検察官の後ろに遺族ら2人が座り、40席用意された優先傍聴席にも遺族・負傷者が並んで審理を見守った。神戸地検は毎回の公判終了後、被害者説明会を開く。

 公判は、来年9月末まで計29回の期日が決まっており、検察側、弁護側合わせて30人の証人尋問が予定されている。

 山崎被告は昨年7月に在宅起訴。起訴状によると、1996年6月~98年6月、安全対策を担当する鉄道本部長だった際、同社が現場カーブを急角度に付け替える工事やダイヤ改正を行い、ATSを設置すれば脱線を防げることを認識していたにもかかわらず、指示しなかったとされる。

 一方、この事故では、地検が不起訴とした井手正敬元会長(75)、南谷昌二郎前会長(69)、垣内剛元社長(66)‐の歴代社長3人について、検察審査会の起訴議決を受け、指定弁護士が今年4月、強制起訴している。

 【尼崎JR脱線事故】 2005年4月25日朝、尼崎市のJR宝塚線塚口‐尼崎駅間のカーブで快速電車が脱線。線路脇のマンションに衝突し、乗客と運転士計107人が死亡、493人が重軽傷(神戸地検調べ)を負った。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委)は、大幅な速度超過が事故の主原因と断定。兵庫県警は08年9月、業務上過失致死傷容疑で、山崎正夫前社長ら計10人を書類送検。井手正敬元会長ら歴代社長3人も告訴されたが地検は09年7月、山崎前社長を業務上過失致死傷罪で在宅起訴した。

 【自動列車停止装置(ATS)】 所定の速度を超えて通過しようとすると自動的にブレーキがかかり、減速・停止させる装置。線路上に設置される「地上子」と列車搭載の「車上子」からなる。宝塚線は2003年9月に設置方針が決まったが、脱線事故時はまだ設置されていなかった。事故現場を含む尼崎‐新三田間は05年6月から稼働。同線全体への設置は09年2月に完了した。
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山崎前社長の公判がついに始まった。予想通り、山崎前社長は無罪を主張して全面的に争う構えのようだ。

もちろん、裁判で無罪を主張する権利は誰にもあるから、当ブログはその権利を否定するものではない。しかし、これだけ多くの乗客が犠牲になりながら、誰ひとり罪を問われることがないなんて不条理が許されていいはずがない。

この裁判は、公共交通を初め、製品の安全、食の安全などあらゆる立場で安全を仕事にしている人たちが注視している。裁判はまだ緒に就いたばかりだが、来年春から始まる予定の歴代3社長の裁判に少しでもよい影響を与えるものにするとともに、事故の再発防止につなげていかなければならない。

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