小田急電鉄の普通入場券

菅沼天虎様のブログ「菅沼天虎の紙屑談義」1月27日エントリーの「小田急電鉄のシンコー印刷券~4」のなかに普通入場券が紹介されておりますが、手元にありました、昭和57年に記念発売された「全駅入場券」を眺めていて気づいたことがあります。

この「全駅入場券」は開業55周年だかで記念発売されたもので、通信販売で売られておりました。おそらく、各駅に在庫を持たないようにするため、本社一括の発売方法が採られたのではないかと思います。すべてが井口印刷の券を使用し、活字の内容は通常の券と同一ですが、逆に違うところは、PJRの地紋があるという点です。

images

まずは参宮橋駅のものです。通常の券はシンコー印刷のものが使われておりますが、「セットもの」では井口印刷のものが入っておりました。おそらく、参宮橋駅の井口印刷製の入場券は、これ以外には存在しないと思われます。そして、なぜか参宮橋分のみに「赤一条」の横線が入っています。
菅沼天虎様がブログの中で書かれておりますように、確かにシンコー製の小田急の入場券には「赤一条」がはいっておりますが、井口印刷製を使ったこのセットにおいて、わざわざ「赤一条」を入れた理由は定かではありません。

images

次は祖師ヶ谷大蔵駅のものです。駅名6文字が等間隔のバランス良い特活が使われております。

images  images

ところが、すべての駅で等間隔の特活が使われているわけではなく、左の世田谷代田駅のものは、「世田谷」の部分は特活で「代田」の部分がバラ活字を組み合わせているように見えます。
逆に、右の成城学園前駅のものは、「成城」の部分はバラ活字で「学園前」の部分が特活を組み合わせているように見えます。このパターンは同じような活字の並びである玉川学園前駅のものも同一でした。

images

小田急相模原駅のものは、確かに6文字すべてが特活ですが、なぜか「小田急」と「相模原」2つの特活を組み合わせているようです。

images

小田急多摩センター駅のものになりますと、特活は全く使用されず、すべてがバラ活字でくまれており、駅名欄が2段というイデタチになっています。

images

昔の小田急の乗車券を見てみますと、この「世田谷代田」の活字が、今回のものの活字とよく似ています。どうやら、特活とバラ活字を組み合わせる手法が、かなり以前から使用されていたように思われます。

この記事は、菅沼天虎様の「菅沼天虎の紙屑談義」1月27日エントリーの「小田急電鉄のシンコー印刷券~4」にトラックバックさせていただきました。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

小田急電鉄の不思議な硬券回数券

小田急電鉄には大変不思議な硬券の回数券が存在しました。

images(表) images(裏)

これは狛江駅発行の新宿ゆきの回数乗車券です。「井口印刷」製のB型硬券11枚で構成されておりました。
以前、小田急の回数券は他社と同様、常備および補充の軟券が11枚綴られた回数券でしたが、現在はやはり他社同様、乗車券券売機にてA型の券が11枚発行される様式に変更されております。
ところが、その過渡期になんと硬券の回数券が発行されていたのでした。恐らく、回数券を硬券で発行した例は、日本中の国鉄・JR・私鉄各社局を見ても、ここだけではないでしょうか?これを知ったとき、それは驚きでいっぱいでした
「目が点」という言葉がぴったりの状況です。

硬券回数券の発行にあたっては、軟券の回数券とはちょっと違う取り扱いがありました。通常、回数券には表紙に「発売日」をゴム印にて捺印し、その他に「有効期限」を各券片にゴム印にて捺印しますが、硬券回数券の場合は「有効期限」の捺印はせず、「発売日」のみダッチングを入れます。有効期限については「発売日から2箇月間有効」の文言だけで済まされています。ですから、今回ご紹介いたしましたものの場合、平成4年6月2日から2箇月後の平成4年8月1日が有効期限ということになります。

有効期限の表示が無いのは利用者にとっても駅係員にとってもいちいち「いつだ~っ?」って計算しなければならないのでちょっと不親切な気がしますが、発売するときに11枚の硬券にダッチングを入れるのも大変そうです

この様式がいつからあって、いつ廃止されたのか、また、狛江の他にも存在したのかは不明ですが、恐らく「珍券」にあたるのではないかと思います。

コメント ( 7 ) | Trackback ( 0 )