明治神宮初詣関係の臨発券 ~その2

前回に引き続き、明治神宮初詣関係の臨発券の話題です。
今回は国鉄末期に発行された券を御紹介いたします。

images(大人用) images(小児用)

これはごくありふれた、東京印刷場製の金額式券です。120円が当時の最短区間の券でした。
確か、ホームを向いて右側(改札側)にキレート式の券売機が何台か設置されており、左側に窓口がいくつか並んでいました。基本的に窓口は券売機対応区間外の遠距離と近郊私鉄連絡券の発売とされていたようですが、券売機に設備されている近距離きっぷも硬券で設備されていました。そして、比較的近距離の券については、大人専用券と小児専用券で設備されていました。

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200円区間以上になると小児専用券の設備はあるものの、大人専用券の設備は無く、大人小児用券で設備されておりました。これは、高額券は発売枚数が少なくなるので、小児用の印刷枚数も抑えてあり、口座落ちしたときにはどちらの発売にも対応できるようにしたものと思われます。

また、ここには、恐らく国鉄で最後まで残ったと思われる、大量印刷をするために考案された「集中印刷」方式の券が、昭和61年まで残存しておりました。

images(表) images(裏)

通常であれば、硬券の印刷は券紙をきっぷのサイズに裁断してから印刷する方法が採られるのですが、集中印刷方式では印刷をしてから券紙を裁断する方法が採られていました。東京印刷場以外で集中印刷方式の券を見たことはありませんので、需要の多い、東京独自の印刷方法だったかもしれません。
金額式の集中印刷券の特徴として、発駅を示す矢印が長く、発駅の記載位置が中心に寄っています。また、裏面は券番が片側しかなく、字体も小さいのも特徴です。
この方式は同一の券を大量に印刷するのに優れておりましたが、硬券の需要の減少とともに、昭和60年ごろには廃止されたと思われます。

ここにはひとつ、とても不思議な口座がありました。それは下の券です。

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一見何の変哲もない、渋谷から東急線への連絡券ですが、なぜこれが設備されていたかが不思議です。
なぜなら、臨時ホームは外回りの新宿・池袋方面行き専用の乗場であり、内回りの渋谷・目黒方面へは行けません。また、この出札口でこの券を購入しても、明治神宮の参道を10分近く歩いて行かねば内回り方面行き乗場でへ行くことが出来ませんし、「ここから渋谷・目黒方面への電車には乗れません」という案内看板のある臨時出札口で、わざわざ普通の利用客がきっぷを購入することは皆無に等しいと思われるからです。
(東京近郊区間ですから、山手線を一周して渋谷に行ってもよろしいのですが…)
そういう理由なのか、やはりこの券は売れることなく券箱に残り続け、通常であれば代官山や三軒茶屋など需要の多い区間と思われますが、券番は0001でした

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