嵯峨駅発行 追徴切符

昭和8年6月に山陰本線嵯峨(現・嵯峨嵐山)駅で発行された追徴切符です。


 


   



青色GJRてつだうしゃう地紋の軟券式補充券です。京都→東京間の燕号の特急券として発行されています。
恐らく、同駅には京都~東京間の特急券の常備券の設備がなかったために補充券対応となったのでしょう。



特急「燕」は昭和5年に東京~神戸間に登場した特急列車で、全行程を9時間で結ぶ駿足ぶりから「超特急」と呼ばれた名列車です。
全区間をC51型蒸気機関車が牽引し、当初は東京~名古屋間をノンストップで運転したことから給水ができず、補助水槽車を連結していましたが、昭和7年には補助水槽車の連結は中止され、静岡駅で給水のための停車をするようになっています。今回ご紹介の券は昭和8年のものですので、補助水槽車の連結が中止された後のものとなります。



追徴切符は駅での精算用のきっぷであり、現在の出札および改札補充券にあたるものです。追徴切符に対し、車内で発行される現在の車内補充券に当たるものは概算切符というものでした。
これらは昭和20年にそれぞれ特殊(種)補充券・車内補充券と改称されています。



券を上から見ていきますと、現在の第1種補充券類は事由欄が左上にあるのが普通ですが、当時は真ん中に配置されていました。その横にある「〇大」は大阪鉄道局(後の大阪鉄道管理局)を表す符号であり、册番と券番が記載されています。


次いで、原券欄および徴収・変更欄があり、右横に金額記載欄となります。時代によっては金額を漢数字で縦書きするものもありましたが、これはアラビア数字の横書きです。
そして、人員欄や記事欄、差引金額記入欄などがあります。


この時代の概算および追徴切符にある特徴として、「驛(駅) 申告 發(発)見」という言葉があり、「追徴」という言葉と共に、発券されること自体が少々後ろめたいような錯覚に陥るような雰囲気の漂う様式です。


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