趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
中野車掌区発行 2等車内乗換券
中野車掌区乗務員によって発行されました、2等車内乗換券です。
青色国鉄地紋の券で、駅名式となっています。
現在の中央線の普通列車にはグリーン車の連結はありませんが、戦後になって、中央線・総武線・山手線・京浜線の各線には進駐軍の進駐によって連合軍専用の2等車(当時は3等級制)が連結されていた時代があり、昭和24年に接収が解除された後も2等車が連結されていました。
その後、昭和32年6月には東海道線と横須賀線を除く国電区間の2等車が廃止され、それ以降は特別車両の連結はありません。
この券が発券された時期は不明ですが、昭和24年の国鉄発足以降、昭和32年の中央線の2等車廃止までの8年間に発行されたものと思われます。
さらに絞り込むと、地紋が国鉄地紋に切り替えられたのが国鉄発足後11カ月後の昭和25年5月であり、また、従来の1.2等料金の通行税が「税込」であったものから「税2割共」に切り替えられたのが昭和29年4月であることから、昭和29年から32年までの間に発行された可能性が高いと考えます。
駅名式で、上りと下りのそれぞれに穴を開けるようになっており、穴のある列で上り列車用なのか下り列車用なのか分かるようになっています。当初上り列車の中野駅~四ツ谷駅間用として穴をあけられていますが、発行時に間違って次の券も重ねて開けてしまったのでしょうか、訂正印で区間を訂正の上発券されています。金額さえ変更しなければ、廃札にせず、こんなことをしても良かったのでしょうか?
パンチ穴の部分が完全に開いていなかったために塞がってしまっていますが、上り列車用の八王子駅~三鷹駅間用として改めて穴が開けられています。
一番下に記載されていますように、車内での2等車への「お直り」には手数料として10円が加算されており、特別車両が今の普通列車のグリーン車のように手軽なものでは無かった時代、それでも2等車へ乗り換える需要があったことが伺えます。