趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
三河島駅発行 準常備連続乗車券
前回および前々回において準常備連続乗車券(準連)の見本券を御紹介して参りましたので、今回は実際に発行されたものを御紹介致しましょう。
1985(昭和60)年12月に常磐線三河島駅で発行された、友部ゆきの準常備連続乗車券です。青色こくてつ地紋のC型大人専用券で、東京印刷場で調製されたものです。
「(甲の1)」片は三河島駅から特定都区市内(東京山手線内)の入口駅である日暮里駅までとなり、「(甲の2)」片は、東京山手線内の中心駅である東京駅から友部駅までの営業キロ104.6kmの区間になります。
当時の旅客営業規則では、東京~友部間は100kmを超え、かつ常磐線の大都市近郊区間は日暮里~土浦間であり、乗車券の有効期間は2日でしたから、三河島駅~日暮里駅間の有効期間1日を加算した3日間となり、発売額は三河島~日暮里間の120円と東京山手線内~友部間の1,700円を合算した1,820円になります。
裏面です。「東京山手線内途中下車禁止」の文言があります。
ところで、国鉄の旅客営業取扱基準規程の第205条に「準常備連続乗車券の発売方」という項目がありますが、第1項の⑴に、
『発行日付印は、第187条の規程により甲の1及び甲の2の両片の表面に押す。ただし、甲の1片については、右端に押すこともできる。』
とあります。
硬券は通常ダッチングによって日付を打印しておりましたが、C型券の場合、「(甲の2)」片についてはそのまま捺すことができますが、「(甲の1)」片については右端に「(甲の2)」片が繋がっているため、捺すことができません。そこで、「右端に押すこともできる」となるわけです。
となると、殆どの発行例が三河島駅のものと同じく「(甲の1)」片の下部に捺されていますが、正確に言えば打印場所は規程通りとは言えないかも知れません。
手元に1枚、吉祥寺駅で発行された準連があります。管理人のコレクションのなかで唯一「(甲の1)」片の日付の位置が他の券と異なっているのですが、規程通りに考えればこのようになるかと思われます。
ちなみに、準常備往復乗車券の場合、国鉄の旅客営業取扱基準規程の第202条「準常備往復乗車券の発売方」の⑴に
『発行日付印は、第187条の規程により往復両片の表面に押す。ただし、復片は、左端に押すこともできる。』
とありますので、現場において準常備連続乗車券と準常備往復乗車券の発行方について混同されていた可能性があります。