安房天津駅発行 東京山手線内ゆき片道乗車券

1976(昭和51)年9月に外房線安房天津駅で発行された、東京山手線内ゆきの片道乗車券です。


   

青色こくてつ地紋のA型一般式大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
様式的には特段珍しくない、当時の国鉄の長距離用硬券乗車券ですが、経由欄の表記が珍しかったのでご紹介いたしました。


安房天津駅は外房線と内房線が合体して双方の終着駅となる安房鴨川駅のひとつ手前の駅になります。

この券での現在の乗車経路は、安房天津~(外房線)~千葉~(総武本線)~東京もしくは蘇我~東京間を京葉線経由とする安房天津~(外房線)~蘇我~(京葉線)~東京という営業キロ126.9kmのルートか、安房天津~(外房線)~千葉~(総武本線)~秋葉原~(東北本線)~東京という営業キロ127.5kmのルートが一般的かと思われます。
前者の126.9kmという営業キロは総武本線を経由した営業キロですが、蘇我~東京間には外房線・総武本線との間に「経路特定区間」が設定されているため、この区間を経由する場合は外房線・総武本線経由で運賃計算を行い、乗車券が101km以上で、かつ東京近郊区間相互発着ではない乗車券において途中下車も可能とする規則があるため、どちらの経路を利用しても良く、営業キロは同じ126.9kmということになります。これは、列車の運転形態による旅客の利便性と、かつて総武快速線が開業する以前の総武本線の列車が、総武快速線の経路外である両国から発車していたことが理由ではないかと推測します。
以上のことから考えますと、この券の経由は「外房線」と記載されておりますので、上記3つの乗車経路のうち、当時はまだ開業していなかった京葉ルートを除く2つが考えられることになります。

以上のことは当該区間を通過する他駅の乗車券でも同じであるので「珍しい」ということではないのですが、管理人としては経由の記載方法に違和感を感じたまでです。
というのは、国鉄(JR)の乗車券の経由表記は、一般的に路線名もしくは駅名を記載し、路線名の場合、その線名と同じ名称の駅名が存在する場合は「〇〇線」と記載しますが、そうでない場合は「線」の文字を省略するからです。
例えば東海道本線の場合は「東海道」という駅がありませんから「東海道」と記載しますが、鹿児島本線の場合は「鹿児島」という駅がありますので「鹿児島線」と記載します。
この法則に則った場合、外房線については「外房」という駅がありませんので、「外房」と記載するのが一般的なわけです。

どのような理由で「外房線」としたのかは不明ですが、急行「外房」号に乗車して安房鴨川を経由し、内房線に乗車した旅客の、「ちゃんと外房に乗ったやないか」という言いがかり的な「屁理屈」クレームを防止するためという究極な理由であったかも知れません(笑)

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