日立駅発行 ひたち12号特急券

1984(昭和59)年4月に常磐線日立駅で発行された、ひたち12号の上野までの特急券です。


   

若草色こくてつ地紋のD型大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
乗車区間を始め、列車名・発時刻等がすべて予め印刷されている完全常備券と呼ばれるもので、列車ごとにそれぞれ券を設備しなければならず、在庫過多の問題から比較的需要のある駅にしか設備ができないわけですが、そのような駅は大抵マルス端末が充実していて硬券の特急券を使用することは少ないことから、その希少性によって特急券を蒐集しているコレクターに特に人気の高い様式です。

日立駅は常磐線の特急停車駅で、日立製作所の創業の地である企業城下町として繁栄した町の中心駅です。さらには、同駅は特急ひたち号の停車駅だけではなく、列車によっては当駅始発の列車も存在するほどの駅ではありますが、不思議なことに、この駅には硬券の特急券や急行券が多く残されていました。
しかも、日立製作所は国鉄時代より使用されているマルスシステムを開発したメーカーでもあり、このような会社のお膝下でもある駅で、昭和50年代末期になってもマルス端末ではなく、敢えて硬券の特急券が多用されていたことに疑問を感じたものです。


そのような日立駅の特急券発売事情ではありましたが、気づいたころには硬券での特急券の発券は行われなくなり、他駅同様にマルス端末での発券になっています。

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