JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
JR東日本 小田原駅発行 区間変更券 ~その2
前回エントリーの「JR東日本 小田原駅発行 区間変更券 ~その1」で同駅発行の在来線用の区間変更券を御紹介いたしましたが、同駅では長距離用の区間変更券も設備されておりましたので御紹介致しましょう。
廃札券になりますが、同駅発行の新幹線を経由する区間変更券です。青色JRE地紋のA型一般式大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
同駅は東海道新幹線停車駅ですので、新幹線への乗換改札口には精算窓口がありますので区間変更券は通年発売されておりますが、同精算窓口はJR東海が運営しており、通年発売のJR東日本の区間変更券はありませんでした。様式的には在来線用のものと同一ですが、「新幹線経由」という経由表記と、民営化してしばらくしてから採用された新幹線経由を示す経由欄したのアンダーラインに特徴があります。
裏面です。
御紹介の券は福岡市内ゆきですので姪浜・下山門・今宿および周船寺駅を除く福岡市内各駅下車前途無効である旨の他、区間変更券独特のものになりますが、“券面に「(コ)○○円」と表示した場合は、表記金額から差し引く額です。”という文言が記載されています。
御紹介の券は福岡市内ゆきですが、他にも名古屋市内・京都市内・大阪市内などの常備券がいくつかあり、常備券の無い区間については入鋏式の特別補充券での対応であったと記憶しています。
新幹線経由の長距離用券となりますと、本来のキセル乗車対策という趣旨から外れてしまいますが、これから新幹線に乗車する旅客から精算を申し出られた場合、「新幹線は先の精算所で」という案内は出来ませんので、ここでの精算をせざるを得なかったという事情があったと考えられます。
また、区間変更の収入配分については追徴金額に拠りますが、一旦旅客が旅行を開始した旅客鉄道会社(JR東日本小田原駅)の収入となり、その後一般的に3000円未満の追徴額については精算をしたJR東日本の収入に組み入れされ、それ以上については営業キロで配分するという運賃配分のルールがあることと、御紹介の券のように全くJR東日本の営業キロが存在しない乗車券を発売しても、JR東海やJR西日本の運賃を収受することで、他社に対する販売手数料収入を得ることができるというJRの内部事情によって、積極的に精算業務が行われていたということもあろうかと思います。
同駅での硬券式区間変更券の取扱いがいつまで行われていたのかは確認しておりませんが、JR東日本では平成初期に硬券を廃止しておりますので、その頃には終了していたのではないかと思われます。また、2003(平成15)年には東西自由通路が開通し、JRと小田急および箱根登山鉄道の改札が分離されており、現在は特別改札そのものが行われることは無いものと思われます。