趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
新見駅発行 硬券入場券
昭和54年3月に発行された、伯備線・姫新線に属する新見駅の硬券入場券です。
白色無地紋のB型硬券で、広島印刷場にて調製されたものです。
国鉄の入場料金が80円であった時代は昭和53年7月8日から100円に値上げされた昭和54年5月8日までの11か月余りと短い期間でしたので、この券は運賃改定から8カ月くらいの時に発行されていますが、この券が発行されてから約1か月後には料金改定となってしまっているということになります。
良く見ますと、本来であれば駅名と「普通入場券 80円」との間の行間にアンダーラインが入る筈なのですが、印刷場で版を組む際に何らかのミスがあったのでしょう、「普通入場券」の下にアンダーラインが引かれてしまっています。広島印刷場の80円券においては他に鴨方駅や南岩国駅のものも同じ印刷ミスのあるものが確認されていますので、おそらく、アンダーラインのミスに気づかないまま、駅名部分のみ活字を交換して印刷が進められてしまったものと考えられ、他にも同じミスを犯してしまった券が存在していることが考えられます。
京王電鉄 新宿駅乗換改札に於ける乗車券の発売終了 ~その4
3回に亘り京王電鉄新宿駅乗換改札発行の乗車券についてエントリーさせていただきましたが、あと1回だけおつきあいください。
昭和50年代には精算機による区間変更券の発券等という芸当は技術的にはまだまだの時代であり、区間変更については窓口において精算窓口掛員が都度計算をするのが一般的でした。そのようなときには手書きもしくは駅名式の改札補充券で区間変更券を発行するわけですが、どういうわけか、そんなに区間変更をする需要があったものかと疑いたくなりますが、需要の多いものについては硬券で常備式のものが設備されていました。
昭和50年9月に発行された、区間変更券です。桃色こくてつ地紋のB型券で、東京印刷場にて調製されたものです。
前回まで御紹介いたしました券売機券のものと同じ用途のものですが、当時は「区間変更券」ではなく、社線への連絡乗車に関連する区間変更については「連絡区間変更券」という名称でした。昭和50年代後半には連絡乗車に関連するものも「区間変更券」に改められています。
本来であれは改札補充券で発券すべきものですが、需要のあるものはこのような常備式の硬券が設備されており、硬券ではありますが、硬券式の改札補充券に分類されます。
この券は精算口でコレクション用として特別に出して頂いたものなので60円まるまる支払っていますが、本来の発売方法としては差額の徴収に用いられ、領収額欄に実際に領収された差額分の金額を記載して発券されます。
裏面です。
一番下に「〇K」と「〇社」の符号があります。「〇社」は社線発行であることを示していますが、「〇K」は社線が多数ある新宿駅ですので、発行事業者を明確にするために京王(KEIO)のKの意味なのではないかと推察されます。
その上にある「6/6」は券面の運賃を表し、ここでは60円の額面のうち、領収額が60円であることを表しています。
この例であると少々分かりづらいかも知れませんが、もっと需要のある口座になりますと領収額が空欄ではなく印刷されているものもあり、例えば領収額が10円である時専用として表面の領収額に10円と当初から印刷されているものであれば、「5/6」となり、60円の額面のうち、50円が原券過剰額分であったため、「60円-50円」の差引10円を領収したという意味になります。
京王電鉄 新宿駅乗換改札に於ける乗車券の発売終了 ~その3
前回エントリーで新宿駅乗換改札にある精算機で発券された区間変更券を御紹介いたしましたが、その1代前にあった精算機で発券された区間変更券が出て参りましたので御紹介いたしましょう。
経年で大変薄くなってしまっていますが、平成18年2月に発行された区間変更券です。桃色PJRてつどう地紋のA型券です。
あいにく写真を撮影していませんでしたが、この当時の精算機は京王電鉄の機械が使用されており、券紙も京王電鉄が提供しています。SuicaやPASMOが使用できない機種ですが、今でも地方私鉄では券売機として使用されている機種です。
当時は券紙はPJRでつどう様式であったものの、フォントの感じはJRのものに似ており、大変特徴のあるものでしたが、この券が発行された時期から1年もしない間に先代の精算機に代替されています。
先代の券売機で発行されたものを再度掲載します。
様式はほぼ同じですが、社名表記が「(京王)」から「(京王電鉄)」に変更され、一番下に発行駅名の表記が追記されています。
そして、なぜか発駅横の三角矢印が単なる矢印に変更されており、矢印から三角矢印に切り替わるのが一般的である日本の乗車券の世界のなかで、敢えて逆をゆくアウトローな存在の券でした。
京王電鉄 新宿駅乗換改札に於ける乗車券の発売終了 ~その2
9月29日エントリーの「京王電鉄 新宿駅乗換改札に於ける乗車券の発売終了 ~その1」で新宿駅乗換改札に設置されていた精算機で発券された乗車券を御紹介いたしました。
この精算機には乗車変更の機能が入っており、区間変更券を発行することもできます。
平成19年7月に発行された区間変更券です。経年により印字が薄くなってきていますが、桃色JRE地紋の券売機用券紙が使用されています。
この区間変更券は当初渋谷駅から池袋まで行く予定で乗車券を購入しましたが、予定変更となって新宿で乗換え、幡ヶ谷駅までの乗車券に変更したものです。渋谷~池袋間が160円で渋谷~新宿間が150円ですから、差額である10円を京王電鉄の乗車券に充てたもので、110円の追加支払いで京王線120円区間ゆきの乗車券が発券されています。
そのため、乗車券にはありませんでしたが、区間変更券には右上に領収額である110円の表記が追記され、「(京王電鉄)」と発駅の間に「区間変更券」の表記があります。
現在は精算機の代替となり、精算機でこのような券を発券することはできなくなりました。また、真偽のところは定かではありませんが、ある改札係員氏によりますと、今回の精算機の代替により、区間変更の取り扱いができなくなったとのことです。
三陸鉄道 硬券入場券の新旧比較
前回エントリーで三陸鉄道久慈駅の硬券入場券を新旧2種類御紹介いたしました。
様式は同じものですが、細かく見ると結構字体が違っていたりします。三陸鉄道だけではなく、日本交通印刷で調製された汎用の硬券入場券に共通に言えることですので、細かく比べてみましょう。
(新)
(旧)
まずは全体像の比較です。上が新様式(現行券)で下が旧様式です。
まずは駅名部分です。上が新様式、下が旧様式です。
大きさ(ポイント)は一緒ですが、文字の太さが違います。新様式の方が若干太めです。
次は「普通入場券」の題字部分です。上が新様式、下が旧様式です。明らかに「普」の字体が異なります。次に違うのは「券」の字でしょうか?「刀」の部分のカーブの具合がかなり違います。
次は「発売当日~」の部分です。上が新様式、下が旧様式です。どの文字も微妙に異なりますが、特にひらがなの「り」の膨らみ具合が明らかです。
最後は「旅客車内~」の部分です。上が新様式、下が旧様式です。活版の文字は漢字が何となく細めで、ひらがなの「ん」の文字がたいぶ異なるようです。
このように見ていきますと、日本交通印刷の入場券は、新様式と旧様式でかなり雰囲気が異なります。この現象は他の事業者のものにも共通であり、順次新券に切り替えられていくものと思われます。
こうなってくると、これらの券を同じものと見るか、全く別の様式のものと見るか、きっぷ蒐集家にとっては悩みどころです。
あまちゃん最終回!!
9月27日土曜日、NHKの人気連続テレビ小説「あまちゃん」がとうとうフィナーレを迎えました。男性諸氏の仲間うちでは「アキちゃん派」か「ユイちゃん派」かといった話題もありましたが、ここでは北三陸駅の話題といたしましょう。
あまちゃんに出てくる北三陸鉄道(北鉄)は三陸鉄道を利用しており、大吉駅長のいる北三陸駅は久慈駅を舞台としています。
よくドラマの中で北鉄の北三陸駅事務所の場面になると出札口が映し出され、そこには黄緑色の乗車券箱が登場し、その中には多数の硬券が挿されているのが気になって仕方がなかった方も多かったのではないでしょうか?ダッチングも探しましたが、ダッチングは見つけられませんでした。
そんなこったで、本物の久慈駅の入場券です。
現行の券で、B型無地紋の硬券で、日本交通印刷にて調製されたものです。
この券は比較的最近のもので、日本交通印刷が活版印刷から切り替わった後の様式となります。他の地方私鉄でも見られる、日本交通印刷では汎用の様式となります。
社名および発行箇所名は裏面に記載されており、表面だけでは駅名を見なければどこの会社の入場券なのか判別できません。
昭和62年に購入した、活版印刷時代の入場券です。活版印刷のものはとても味があるので個人的に好みなのですが、何となく字体がひょろっとしていて、力強さがありませんね。
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