JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
頸城鉄道自動車 鉄道往復車内券
新潟県上越市にある「くびき野レールパーク」で年に数回開催される公開イベントへ行って参りました。
くびき野レールパークは、頸城鉄道が廃止されてから30年以上経過していますが、奇跡的に兵庫県六甲山中に保存されていた頸城鉄道の車両を移設して保存されている場所です。
※ 頸城鉄道ホジ3型気動車(左側)とDC92型ディーゼル機関車
頸城鉄道は、かつて頸城鉄道(後の頸城鉄道自動車、現・頸城自動車)が新潟県直江津市の新黒井駅と東頸城郡浦川原村(いづれも現在の上越市)の浦川原駅を結んでいた軽便規格の鉄道路線でした。地元では「〇」の中にアルファベットの「K」があしらわれた社紋に因んで「まるけい」と呼ばれて親しまれていましたが、昭和43年に新黒井~百間町間および飯室~浦川原間を部分廃止して国鉄との連絡駅の無い孤立した路線となります。それが旅客離れに拍車をかけ、昭和46年に全面廃止されてしまっています。
頸城鉄道は管理人が中学生時代に鉄道雑誌の写真で初めて見た時、個性の強い車両群の虜となり、それ以来軽便鉄道に興味を持つようになった思い入れのある路線であるだけに、エンジンこそ当時のものではないものの、それらの車両が実際に動き、しかも乗車できるというこの夢のようなイベントに念願かなって訪問することができました。
ここで頸城自動車の記念品販売ブースに思いもよらないものが売られていましたので、即購入です。
同鉄道で使用されていた、鉄道往復車内券というものです。
これは往復用の車内補充券であり、車掌が携帯して発売していました。頸城自動車の方によりますと昭和30年代に使用されていたもので、50年以上経った今、本社の書庫を整理していて出てきたものだそうです。
鉄道往復車内券の表紙です。
右上に册番が表記され、中央下に頸城鉄道自動車の社名があります。
券は3片制になっており、上から「報告片」「往路券」「復路券」となっています。
「口報」と記載された1枚目の券で、報告片となるものです。わら半紙のような紙質で、册番のみ赤字で印刷されています。社内完結の往復乗車券でありますので、「頸城鉄道(往復)車内券」と表記されています。そして、予め通用期間は2日に設定されています。
中央部に駅名が列記された駅名式で、上段が発駅、下段が着駅となっており、駅名は発駅欄のみに記載されていますので、発駅として駅名欄にパンチを入れ、着駅は「着」の欄に入れて発券したそうです。
2枚目は「口往」と表記された往路用の券です。
青色のツルツルした大変薄い紙質となっており、特別補充券の控片に使用されるようなペラ紙で、かつて郵便局で書留郵便物を差し出すと渡されたノンカーボンとなる前の引受証のような用紙です。
車内発売して下車時にすぐ回収してしまうからでしょうか、できるだけ簡素に作成されたようで、かなりペラペラで、扱いが悪いとすぐに破けてしまいそうです。
3枚目は「口復」と表記された券で、復路用の券です。
これは桃色JPRてつどう地紋の券で、往路用とは違って上質紙となっています。復路用ではありますが、駅名表記は往路用のものと同じ順序となっており、発券はパンチで穴を開けて区間の表示をしますので、発駅と着駅の表記が実際に乗車するのと逆の表記になってしまいます。