先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

「怒りで震える」道内関係者 日テレ、アイヌ民族差別

2021-03-13 | アイヌ民族関連
北海道新聞 03/13 05:00
 日本テレビ系列の情報番組「スッキリ」で12日、アイヌ民族への差別表現があったことを受け、アイヌ民族や研究者たちから批判や再発防止を求める声が相次いだ。
 アイヌ民族の復権運動に取り組む民族団体「コタンの会」代表の清水裕二さん(79)=江別市在住=は「私は小学3年で初めて差別された。同級生に言われたのがまさに今回の問題発言だった。母親に話したら、半狂乱になったことを覚えている。それを今、全国放送するとは怒りで体が震える。この発言が差別になることを知らなかったとしても許される問題ではない」と憤る。
 北大アイヌ・先住民研究センター長の加藤博文教授は同日午後、日テレに対して「看過できない重大な問題だ」とメールで抗議した。胆振管内白老町にアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」が昨年開業したことを踏まえ、加藤教授は「アイヌやウポポイという言葉自体はある程度、社会に浸透したが、なぜこうした施策が必要なのか、国の周知と国民の理解はまだまだ不十分だ」と指摘する。
 北大大学院のジェフ・ゲーマン教授(先住民族教育)は「再発防止策として、監督官庁の総務省がアイヌ民族の歴史や差別の問題を理解するよう放送局を啓発することが考えられる。根本的には、政府が同化政策や植民地政策の歴史的な問題をアイヌ民族に謝罪し、反省に立ってアイヌ施策を広く展開していくことが求められる」と話している。(中村康利、田鍋里奈)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/521098

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日テレ、アイヌ民族差別 「番組で不適切表現」謝罪

2021-03-13 | アイヌ民族関連
北海道新聞 03/12 23:20
 日本テレビ系列の朝の情報番組「スッキリ」で12日、アイヌ民族に対する差別表現があり、会員制交流サイト(SNS)などで多数の批判の声が上がった。同局は、同日夕方のニュース番組などで「アイヌの方たちを傷つける不適切な表現だった」と謝罪した。
 問題の発言があったのは番組終盤、アイヌ民族を描いたドキュメンタリー「Future is MINE ―アイヌ、私の声―」を紹介した直後。お笑い芸人が「この作品とかけまして、動物を見つけた時と解く」と謎かけをし「あ、犬」と続けた。放送では発言に「アイヌ」とふりがなを付けたテロップが出た。
 番組放送後、ツイッターでは「差別は無知から生まれることを体現している」など、批判や抗議が相次いだ。発言は事前に収録されたとみられ、そのまま放送した同局の体制や責任を問う声も多く投稿された。
 北海道アイヌ協会の大川勝理事長は「こんな発言が全国放送の番組で流れるなんて、誠に残念だ」と憤った。「テレビ局がいまだにこうした表現を使うことは国民の正しい理解を妨げる」とし、13日にも協会幹部が対応を協議する方針。
 日本テレビは「担当者に差別に当たるという認識が不足し、放送前の確認も不十分だった。速やかに再発防止に努める」とコメントした。
 道内で「スッキリ」を放送する札幌テレビ放送(STV)は「大変遺憾であり、日本テレビへはその旨申し入れた。再発防止を厳しく求めていきます」とした。
(原田隆幸、田鍋里奈)
 ■「Future is MINE ―アイヌ、私の声―」 女性向けウェブマガジンなどを手掛ける制作会社「3ミニッツ」(東京)の作品で、2020年にオンライン配信した。日高管内平取町在住のアイヌ民族の萱野りえさんが、自身の半生やアイヌ文化伝承の取り組みについて、米国フロリダ州の先住民族セミノールを訪ねる旅を交え語る。動画配信サービス「Hulu(フールー)」で特別版を8日から配信中。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/521093

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アイヌの方傷つけたと謝罪 日本テレビの情報番組

2021-03-13 | アイヌ民族関連
北海道新聞 03/12 20:49
 日本テレビは12日午前、情報番組「スッキリ」でアイヌ民族の女性を取り上げたドキュメンタリー番組を紹介した際、「放送内容に、アイヌの方たちを傷つける不適切な表現があった」として、同日夕方のニュース番組や、「スッキリ」の公式サイトで謝罪した。
 午前中に放送した「スッキリ」で、インターネットで配信されているドキュメンタリー番組を紹介した後、出演者が披露した謎かけの中にアイヌ民族を差別する言い回しがあったとして、視聴者から「許されない」など批判の声が上がっていた。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/521034

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日テレ「スッキリ」アイヌ民族への不適切表現…藤井アナが夕方ニュースで謝罪 頭下げる

2021-03-13 | アイヌ民族関連
デイリー 2021/03/12 19:20
 日本テレビが12日、同日の情報番組「スッキリ」で、アイヌ民族に対する不適切な表現があったとして、夕方ニュース「news every.」で経緯を伝え、謝罪した。
 「news every.」でキャスターの藤井貴彦アナウンサーが「情報番組『スッキリ』からお詫びを申し上げます」として、「今日放送した情報番組『スッキリ』の中でアイヌ民族の女性をテーマにしたドキュメンタリー作品を紹介しました。それを受けての放送内容において、アイヌの方たちを傷つける不適切な表現がありました」と説明した。
 「日本テレビではアイヌの皆様、関係者の皆様に深くお詫び申し上げるとともに、今後、再発防止につとめてまいります」と謝罪し、最後に藤井アナが「申し訳ありませんでした」と頭を深く下げた。
https://news.goo.ne.jp/article/dailysports/entertainment/20210312142.html

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日テレ、「スッキリ」の放送内容で謝罪「アイヌの方を傷つけた」

2021-03-13 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2021/3/12 21:06(最終更新 3/12 23:07) 429文字
 日本テレビは12日、情報番組「スッキリ」で、アイヌ民族を傷つける不適切な表現があったとして、同日夕方のニュース番組でおわびした。
 日本テレビによると、同日午前放送の「スッキリ」内で、アイヌ民族の女性をテーマにしたドキュメンタリー作品を紹介。これを受けて、お笑い芸人の脳みそ夫さんが「この作品とかけまして動物を見つけたととく。その心は、あ、犬」と謎かけを披露した。番組終了後、視聴者から「アイヌ民族を犬とかけるのは不適切だ」などと批判が寄せられたという。
 日本テレビは「当該コーナーの担当者にこの表現が差別に当たるという認識が不足しており、放送前の確認も不十分でした。その結果、正しい判断ができないまま、アイヌ民族の方々を傷つける不適切な表現で放送してしまいました」としたうえで、「アイヌ民族の皆様、ならびに関係者の皆様に深くおわび申し上げるとともに、速やかに事例を社内に周知・検証し、研修を通じて再発防止に努めてまいります」とコメントを出した。【大沢瑞季】
https://mainichi.jp/articles/20210312/k00/00m/040/289000c

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「スッキリ」放送で日本テレビ謝罪 アイヌ民族めぐり不適切表現

2021-03-13 | アイヌ民族関連
FNN 3/12(金) 19:06
日本テレビが放送で、アイヌ民族を傷つける表現があったとして、謝罪した。
日本テレビは12日、情報番組「スッキリ」で、アイヌ民族の女性をテーマにしたドキュメンタリーを紹介したが、12日午後、「それを受けての放送内容において、アイヌの方たちを傷つける不適切な表現があった」と、夕方のニュース番組内で謝罪した。
日本テレビは、「アイヌの皆さま、関係者の皆さまに深くおわび申し上げるとともに、今後、再発防止に努めてまいります」としている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a3c9ebf22e3ec443763a07501ac4c6b566d44418

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アイヌの方傷つけたと謝罪 日本テレビの情報番組

2021-03-13 | アイヌ民族関連
共同通信2021/03/12 20:24
 日本テレビは12日午前、情報番組「スッキリ」でアイヌ民族の女性を取り上げたドキュメンタリー番組を紹介した際、「放送内容に、アイヌの方たちを傷つける不適切な表現があった」として、同日夕方のニュース番組や、「スッキリ」の公式サイトで謝罪した。
 午前中に放送した「スッキリ」で、インターネットで配信されているドキュメンタリー番組を紹介した後、出演者が披露した謎かけの中にアイヌ民族を差別する言い回しがあったとして、視聴者から「許されない」など批判の声が上がっていた。
https://news.goo.ne.jp/article/kyodo_nor/entertainment/

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東京五輪組織委・芳賀新理事「アイヌ文化の発信に尽力したい」 北海道

2021-03-13 | アイヌ民族関連
HBC2021/03/12 15:55
 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の新しい理事に選ばれた、登別市の芳賀美津枝(はが・みつえ)さんが、12日、胆振総合振興局を訪れ、理事としての決意を述べました。
 新しい理事に選ばれた芳賀美津枝(はが・みつえ)さんは、登別市のアイヌ刺繍団体「登別アシリの会」の代表を務めています。
 「ジェンダー問題や差別問題などが取り上げられておりますので、私たちが今まで培った経験で、1つ、2つ、3つと案を上げていければいい」(組織委員会の新理事・芳賀美津枝さん)
 12日、道の胆振総合振興局を訪問した芳賀さんは、組織委員会が理念に掲げる男女平等や多様性の実現、アイヌ文化の発信に力を尽くしたいと決意を述べました。芳賀さんは、新理事として、22日に東京で開かれる理事会に臨みます。
https://news.goo.ne.jp/article/hbc/region/hbc-8ea24c0a4ad384d2983f9e191bbaf804.html

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【島を歩く 日本を見る】船が運んだ入植者たちの夢 利尻島(北海道利尻町、利尻富士町)

2021-03-13 | アイヌ民族関連
産経新聞2021/03/12 09:04
 真冬に、日本最北端の稚内(わっかない)市から船で約1時間40分かけて利尻(りしり)島へ向かった。日本の有人国境離島の一つだ。「利尻富士」の愛称で親しまれる標高1721メートルの利尻山が島の中央にそびえ、一面白銀の世界は神秘的に映った。
 利尻山は、かつて先住民であるアイヌの信仰対象でもあった。島の語源はアイヌ語の「リイシリ」。「リイ」は高い、「シリ」が島という意味で、“高い山の島”を指す。
 島の基幹産業は漁業だ。とくに「利尻昆布」は高級品として名高く、京都をはじめとする全国の料亭などで重宝されている。島の特産品であるエゾバフンウニやキタムラサキウニも人気があり、毎年夏に開催される「北海島まつり」や「うにうにフェスティバル」では大勢の観光客が足を運ぶ(昨年は新型コロナウイルス禍により中止)。
 利尻島は、17世紀半ば頃から松前藩などによって本格的に開拓が始まった。ニシンや昆布、アワビなどの海産物が豊富に獲(と)れることで、幕末から明治にかけては、東北地方や日本海沿岸地域から多くの人が漁場を求めて利尻島に入植した。
 江戸時代の商人、河村瑞賢(ずいけん)が見いだした日本海西回り航路を往来していた北前船(きたまえぶね)は、大量のニシンを小樽や松前へ運んだ。その後、本州各地へと送られたニシンは食料としてだけでなく、畑の肥料にする「〆粕(しめかす)」にも利用され、日本の農業も支えていた。 
 徳川家康からアイヌ民族との独占交易権を認められていた松前藩は、「運上金」の納入を条件に、商人に交易権を委託して漁場の経営を請け負わせた。アイヌ民族の人たちは、漁場の働き手として厳しい労働に従事させられていたという。
 明治末期から昭和30年頃まで、ニシン漁で島の景気は隆盛を極めたが、ニシンが不漁となってからは、利尻昆布やウニなどが島の漁業を支えるようになり、現在に至る。
 入植者たちの故郷の伝統や行事、信仰、方言などは、今も島の集落に根付いている。例えば鬼脇(おにわき)地区の「南浜獅子神楽(みなみはまししかぐら)」。富山の越中衆によって越中獅子舞が持ち込まれたもので、町の無形民俗文化財にも指定されている。
 かくも厳しい自然の中に切り開かれた集落や漁場、神社などを歩くと、入植者たちの果てない夢が南北の海道を渡り、幾つもの年を重ねて稀有(けう)な島を形作っていったのだと感じる。
 ■アクセス 稚内港からフェリーで向かう航路のほか、新千歳空港や札幌丘珠(おかだま)空港からの空路もある。
 ■プロフィル こばやし・のぞみ 昭和57年生まれ、東京都出身。元編集者。出版社を退社し、世界放浪の旅へ。1年後に帰国して、『恋する旅女、世界をゆく−29歳、会社を辞めて旅に出た』(幻冬舎文庫)で作家に転身。主に旅、島、猫をテーマに執筆およびフォトグラファーとして活動している。これまで世界60カ国、日本の離島は100島をめぐった。令和元年、日本旅客船協会の船旅アンバサダーに就任。新著は『今こそもっと自由に、気軽に行きたい! 海外テーマ旅』(幻冬舎)。
https://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/sankei-trv2103120001.html

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【漫画家・安彦良和×坂本龍一】日本はどこで間違えたのか?歴史から見えるもの

2021-03-13 | アイヌ民族関連
婦人画報3/12(金) 20:50
人違いじゃないのか? 今回ご登場いただく漫画家の安彦良和さんは、坂本龍一さんから、この対談のオファーを受けたとき、そう思われたそうです。安彦さんは1970年代から『機動戦士ガンダム』『宇宙戦艦ヤマト』など多くのアニメ作品に携わり、不動の人気アニメーターの地位を確立されたのち、1989年以降は漫画家に転身。日本史の史実を独自の歴史観で読み解く作品を多数生み出し、人気を博してきました。
坂本さんは、最近偶然、安彦さんの漫画と出合い、短期間でその作品の多くに触れ、感銘を受けたといいます。直接話を聞いてみたい。坂本さんのそんな思いから、今回の対談オファーとなりました。
自己紹介から始まった対話は、日本古代史、近現代史、漫画、アニメーション、そしてトランプ政権以降の世界の話まで、ふたりの興味と知識を紡いでいくように延々と続いていきました。「このままだと一日中話をしてしまいそうですね」と、思わず口にした坂本さん。「コロナが収束したら、次回はぜひ直接お会いしましょう」。5歳違いの呼応するふたり、対話はまだまだ続いていくようです。
[特別対談]安彦良和さん × 坂本龍一さん 漫画家と音楽家が語る、歴史とこれからをつなぐもの
坂本龍一(以下、坂本) 日本と東アジアの古代史と近現代史を描かれるきっかけは何だったんですか?
安彦良和(以下、安彦) 僕はアニメーターを20年ほどやって、それから漫画を描き始めました。漫画家になって30年くらいです。アニメと違い、漫画はそこそこ売れれば食べていける世界なので、漫画家になったとき、「もう何を描いてもいいんだ!」という気持ちになりました(笑)。そこで当時から興味を持っていた日本と東アジアの繋がりを描きながら探ってみようと近現代史と古代史に関する作品を同時に描き始めました。
日本はどこで間違えたのか?という共通の問題意識
坂本 日本帝国主義による朝鮮半島と満州への進出にも以前から関心があったんですか?
安彦 僕は坂本さんの5歳上で田舎の大学生で、ちょうど学生運動の最盛期でした。そのころ、高校生の坂本さんは東京でもっとラジカルなことをやっておられた。だから5年の隔たりはあるけれども同じような青春時代を生きていたと思います。私と坂本さんの問題意識はそのあたりから繋がっていると推測できますね。僕の作品は「日本はどこで間違えてしまったんだろう?」ということがテーマになっています。それを遡るために描いたのが満州時代をテーマにした『虹色のトロツキー』[*1] でした。満州国がどうしてダメだったのか。まさに『ラストエンペラー』の時代です。
坂本 旧満州には行かれましたか?
安彦 1991年にハルピンから大連に下って、舞台になる内モンゴルの通遼(つうりょ)市にも取材で行きました。
坂本 僕は1986年に『ラストエンペラー』の撮影で大連と長春に行きました。日本が造った街並みや建物が当時のまま残っていて、また旧満州映画協会の音楽スタジオがまだ存在していて、そこで現地の演奏家と録音をしました。そのすべてが非常に忘れがたい体験でした。それもあって安彦先生の近代史3部作に興味を持ち、また若いころからアイヌ文化にとても関心が強かったこともあって『王道の狗』から読み始めました。
<写真>『王道の狗(いぬ)』(安彦良和著 中公文庫コミック版 720円)
明治22年、北海道開拓に使役させられた若いふたりの囚人が脱獄を決意し蝦夷の地を逃走する。彼らは自由民権運動に関与したため過酷な懲役労働を課せられていたのだった。本書は、明治時代の東アジア史を背景に、王道を求めて横溢する若者の姿が描かれる。1998年から2000年に講談社刊『ミスターマガジン』で連載、2004年に白泉社より加筆・修正された完全版が発売された。第4回文化庁メディア芸術祭のマンガ部門優秀賞を受賞。明治後期『天の血脈』、昭和初期『虹色のトロツキー』に並ぶ、安彦近代史シリーズの一つでもある。
安彦 満州を描いて、昭和だけを見てもダメだと思い、明治まで一気に下ってみたんです。秩父事件[*2]が僕の気持ちのどこかに引っ掛かっていて。最低限、自由民権運動の挫折から見ていかなきゃダメかなという気がして、今はまだその繋がりを追いかけていて、連載中の『乾と巽―ザバイカル戦記―』[*3]は大正時代のシベリア出兵を描いています。これで最初に持っていた問題意識にひとつの繋がりができたかなと思っています。
坂本 当時、日本中で自由民権運動は盛んでしたが、その後、運動家たちの多くは逮捕されて、その大半は北海道の極寒の中で強制労働をさせられ、随分亡くなったそうですね。
安彦 『王道の狗』の主人公もそのひとりです。僕は北海道の網走地方出身でして、描いたのは、和人で入植していたのは囚人ぐらいという開拓期の走りの時期です。そこにも自分なりの接点を感じて、秩父事件の若い囚人がそこでアイヌに助けられるというイントロを考えました。
そのころ、土佐の民権活動家の徳弘正輝[*4]が入植していたり、北海道の先駆者にはそういうタイプが多いです。
坂本 安彦さんのご先祖はどこから?
安彦 僕の先祖は福島の鉱山から平民屯田で入植したらしいですが、国からもらった田畑を失くして、開墾を重ねた明治の落ちこぼれ組だったみたいです。
坂本 昔の北海道では、近くに住む和人とアイヌ人の交流は多かったようですね。作曲家の伊福部昭もアイヌ語が話せたという話を聞きました。
安彦 徳弘の奥さんがアイヌ人で、『王道の狗』にも出てくる実在する方です。
『王道の狗』ではその妹さんが主人公と微妙な仲になるフィクションを拵えています。史実を借りてきて、ちょっといじるというのが僕は好きなものですから。
安彦 ちょっと話が逸れるのですが、『勇者ライディーン』[*5]というアニメはご存じだったんですか?
坂本 はい、知っています。
安彦 YMOの『RYDEEN』がなんで同じ“ライディーン”なんだろう?とずっと引っ掛かっていまして、今回、勇気を出して検索したのですが、関係がちょっぴりあるんですね。
坂本 安彦さんと同い年の細野晴臣が漫画好きでそういうカルチャーに詳しく、彼が最初“雷電”というコンセプトを提案したと記憶しています。
安彦 『勇者ライディーン』のロボットのデザインは僕なんです。ですから、当時、世界のYMOと僕ら貧乏スタジオのアニメが関係あるわけはないとずっと思っていました(笑)。
坂本 古代史の興味はいつごろから?
安彦 古田武彦さん[*6]の本で邪馬台国論争を少し理解したのが最初でした。その後読んだ原田常治さん[*7]の『古代日本正史』がすごく面白くて、それを読んだころに「古事記を描かないか?」と言われて、原田説で描いちゃおうと思ったんです。
簡単に言ってしまえば、神社に伝わる伝承を辿っていくと日本の始まりが見えてくるという神社伝承の話です。そのころはまだ神社を真面目に語っている方は少なくて、とても興味深く新鮮に感じていました。
坂本 安彦先生が紹介されていた『古代日本正史』に触発されて、コロナ禍の前に奈良に行きまして、石上神宮から始めて出雲系の遺跡を2日かけて回りました。
安彦  それはすごい。かなり距離がありますよ。當麻寺も行かれました?
坂本  いえ、行けませんでした。
安彦 実は死者の魂が降臨して女性と交感するという三輪山の箸墓の由来みたいなことを今の連載が終わったら、描いてみたいと思っているんですよ。
坂本 出雲系の一番の神様であるスサノオ[*8]は描かれないんですか?
安彦 原田さんがその分野が大変お好きな方で、すべてスサノオに行き着くような書き方をされているのですが、僕はひねくれたところもあって、「じゃあ、僕は別な方向から描いてやろう」と思い、大国主から入ったんです。本当はスサノオから入るのが正解だと思いますが(笑)。原田さんはスサノオのことを出雲の平田の人だと言っているんですよね 。
さらにもとを辿ると渡来人です。平田へ行ってみて、なるほどと思うのですが、日本海の方へ抜けるためには峠を越えないといけないのに、平田だけは峠がなくて、宍道湖の方へすっと入って 来られるんです。ですから、平田というのは出雲の内海の沿岸でも特殊な場所だったんだと思います。とにかく朝鮮半島との繋がりは、日本の古代史の中では圧倒的だったという気がしますね 。
坂本 僕は諏訪の先住民族、守矢とその神であるミシャクジ[*9]にとても興味があります。諏訪は非常に特殊な場所で、先住民と出雲系とそれを追いかけてきた大和系の三層の部族の痕跡が何千年の歴史を経て、未だに目に見える形で残っている素晴らしい場所ですね。僕が18歳ごろから古代史に興味を持ち始めたのは、直感的に日本人が単一民族であることは絶対に誤りだと感じたからでした。日本列島は地理的にみて、さまざまな時代を通して多くの人々が北、西、南から入って来ていて、非常に多様性に満ちていると思ったからです 。
安彦 僕の一番新しい古代史シリーズは『ヤマトタケル』なのですが、ヤマトタケルを描くときに面白いと思ったのが、ヤマトタケルは東北まで遠征に行った帰りに諏訪湖の方へ向かうのですが、なぜか諏訪湖の手前で大回りをして、秩父へ抜けて、尾張の方へ帰ります。諏訪湖周辺はそれほど非常にミステリアスなゾーンだったんだと思います。縄文から始まって、タケミナカタ(諏訪大社の祭神)の怨念も含め、重層的に何かが籠もっていて、それをヤマトタケルも感じて、敢えて難コースを取ったのではないかと僕は勘ぐっています。
一度立ち止まることで見えてくるものがある
坂本 古代の人たちは自分たちが征服した民の怨念というものを非常に恐れますね。それが故に征服した部族の神に対する礼も尽くします。
安彦 確かになぜ出雲が聖地か?というと、被征服民、あるいは先住民の怨念の籠もる場所だからだと僕は思います。
坂本 被征服民と、その神に対する畏れとリスペクトを古代史では強く感じます。現代の権力者たちが自分らの敵に対するリスペクトをどれだけ持っているのか? トランプなんかを見ていると疑問を持ってしまいますね。
安彦 別の論点になりますが、僕もトランプは大嫌いです。しかしアメリカの保護主義の大本にはグローバリズムの矛盾があります。これからグローバリズムの諸問題が相対的に小さく扱われていくのではないかなと危惧しています。
坂本 確かにむしろ次の政権になって、新しい形でのグローバリズムが加速することも考えられますね。
安彦 エマニュエル・トッド[*10]は、「トランプは大嫌いだけども、大統領選挙ではトランプを心の中で応援している」と言っていました。ある意味で理解できます。
アメリカはグローバリズムの恩恵を受けて、いい夢を見てきたけれども、それがどうもいいことばかりじゃなくなったとき、トランプが出てきたから。
坂本 リベラリズムの側からそういう論調が見られますね。トランプは人格的にひどいという個人の問題は別にして、大局的に見るとブッシュやオバマの方が政策的には悪い。だからバイデンがオバマ政策を引き継ぐとしたら非常に問題だと。しかし、そうは言ってもトランプは史上最悪の米大統領ですよ。
安彦 リベラルの側の人たちがもう一回立ち止まって、「リベラルとはなんだ」というようなことを考える契機になればいいなと思います。完全に行き詰まっている古代史研究の世界でも、古代史を神社伝承から考えようと言うと、リベラルの人たちはものすごく嫌います。しかし、リベラルで合理的な視点だけでは、どうしても見えてこないものが、この世の中にいっぱいあるんだという感じがしますね。
安彦良和●1947年北海道生まれ。漫画家。弘前大学除籍後アニメーターとして活動。『宇宙戦艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』 などを手掛け、1989年、専業の漫画家に転身。著書に『アリオン』『ナムジ 大國主』 など。昨年末、過去に手掛けてきた「全仕事」を30時間を超える超ロングインタビューで語り下ろした『安彦良和 マイ・バック・ページズ』 を出版。1990年、『ナムジ』により第19回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞。2000年、『王道の狗』により第4回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞。2021年、第44回日本アカデミー賞協会特別賞を受賞。
*1 昭和初期の満州を、自らの過去やアイデンティティを探る青年の視点で描いた。著者自身が歴史的記録を掘り起こし、満州国のユダヤ人問題にも触れながら、史実と創作を融合させた作品。
*2 財政政策によるデフレや市場の暴落や増税によって困窮を極めた埼玉県秩父郡の農民が、明治17年に政府に対して負債の延納などを求めて起こした武装蜂起事件。最大で約一万人が参加。
*3 大正時代のシベリア出兵を舞台に、陸軍軍曹と新聞記者の青年ふたりがロシアの戦場を生き抜く姿を描いた。『月刊アフタヌーン』(講談社)にて連載中。現在四巻まで発売されている。
*4 1887年生まれ(1936年没)。土佐藩出身の郷士。明治15年、アイヌ人集落の北海道・上湧別町へ開拓に入った最初の日本人であり、畑作物の栽培に献身し、アイヌの父とも言われた。
*5 1975年から約1年間、NETテレビ系列で放送されたロボットアニメ。監督は全50回中、前半を富野由悠季氏が、後半を長浜忠夫氏が担当した。安彦氏が初めてキャラクターデザインを手掛けた作品でもある。
*6 1926年、福島県生まれ(2015年没)。古代史研究家。東北大学卒業後、高校教諭などを経て、昭和薬科大学教授に就任。著書『「邪馬台国」はなかった』『失われた九州王朝』『盗まれた神話』など。
*7 1903年千葉県生まれ(77年没)。日本大学卒業後、講談社『講談倶楽部』編集長を務める。その後、のちの婦人生活社である同志社を創立。神社を巡り古代史の研究を続け、『古代日本正史』『上代日本正史』などを上梓。
*8 日本神話に登場する神。諸説あるが、原田常治によれば、出雲の古代王者であり、九州の邪馬台国を征服した。現在は、厄払いの神として信仰され、埼玉県の氷川神社などが主祭神としている。
*9 長野県の諏訪地域に古代から伝わる神または精霊であるが、呼び名や諏訪大社との関係性、正体ついて諸説あり未だ謎が多い。
*10 1951年生まれ。フランスの歴史人口学者、家族人類学者。ケンブリッジ大学にて博士号取得。緻密な統計調査を基に現代社会を分析し、問題提起する。著書『最後の転落』『帝国以後』など。
『婦人画報』2021年3月号より
撮影= zakkubalan 構成・文= 伊藤総研
https://news.yahoo.co.jp/articles/6efe3170d0dc2a7d05f4598c54c4b39f74df3384

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