北海道新聞 03/27 05:00

【苫小牧】苫小牧市勇払地区の海岸で1月から2月にかけ、アイヌ民族がかつて交易などに使っていた丸木舟に似た形状の舟2隻が、見つかっていたことが分かった。いずれも一部に破損があるが、ほぼ原形をとどめているという。市美術博物館によると、丸木舟による交易は1600年代から明治期まで行われており、「丸木舟が形状を維持した状態で発見されるのは珍しい」と説明。同館は今後、建造方法や年代などの詳しい調査を進めていく。
丸木舟は1月末、同市勇払の弁天海岸で、散歩中の市民が1隻が浜辺に打ち上がっているのを発見。情報提供を受けた同館職員らが2月上旬に海岸を訪れ、約1・3キロ離れた場所でさらに別の1隻を確認した。
最初に発見された丸木舟は、長さ6・1メートル、幅64センチ、高さ22センチで、別の1隻は、長さ約4・1メートル、幅45センチ、高さ10センチ。いずれも舷側に波よけの板を取り付けるための穴が開いており、アイヌ民族が外洋の航海に使った「板綴舟(いたつづりぶね)(イタオマチプ)」とみられる。1隻目は大きな破損はなく、2隻目は右舷側(げんそく)やへさきに破損が見られるが、形状は保っているという。
苫小牧市内では1966年にも勇払川河岸で5隻が発掘され、道の有形文化財に指定されている。今後は、市美術博物館がアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」(胆振管内白老町)の国立アイヌ民族博物館と協力し、詳しい調査を進める。市美術博物館の武田正哉館長は「苫小牧がアイヌ民族の交通の要衝であったことを裏付ける貴重な史料になる」と話している。(木村みなみ)
※「イタオマチプ」の「プ」は小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/526401

【苫小牧】苫小牧市勇払地区の海岸で1月から2月にかけ、アイヌ民族がかつて交易などに使っていた丸木舟に似た形状の舟2隻が、見つかっていたことが分かった。いずれも一部に破損があるが、ほぼ原形をとどめているという。市美術博物館によると、丸木舟による交易は1600年代から明治期まで行われており、「丸木舟が形状を維持した状態で発見されるのは珍しい」と説明。同館は今後、建造方法や年代などの詳しい調査を進めていく。
丸木舟は1月末、同市勇払の弁天海岸で、散歩中の市民が1隻が浜辺に打ち上がっているのを発見。情報提供を受けた同館職員らが2月上旬に海岸を訪れ、約1・3キロ離れた場所でさらに別の1隻を確認した。
最初に発見された丸木舟は、長さ6・1メートル、幅64センチ、高さ22センチで、別の1隻は、長さ約4・1メートル、幅45センチ、高さ10センチ。いずれも舷側に波よけの板を取り付けるための穴が開いており、アイヌ民族が外洋の航海に使った「板綴舟(いたつづりぶね)(イタオマチプ)」とみられる。1隻目は大きな破損はなく、2隻目は右舷側(げんそく)やへさきに破損が見られるが、形状は保っているという。
苫小牧市内では1966年にも勇払川河岸で5隻が発掘され、道の有形文化財に指定されている。今後は、市美術博物館がアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」(胆振管内白老町)の国立アイヌ民族博物館と協力し、詳しい調査を進める。市美術博物館の武田正哉館長は「苫小牧がアイヌ民族の交通の要衝であったことを裏付ける貴重な史料になる」と話している。(木村みなみ)
※「イタオマチプ」の「プ」は小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/526401