北海道新聞2024年11月6日 4:00
【催し】
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■10日(日)■
釧路 私設資料館「なつかし館蔵」開放 午後1~5時、なつかし館蔵釧路駅前店(北大通13)。中野吉次館長の貴重な収集品を見学できる。毎週日曜開館。1階アイヌ資料館は無料、2階昭和ロマン館は200円。竹内さん090・8709・3451
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北海道新聞2024年11月6日 4:00
【催し】
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■10日(日)■
釧路 私設資料館「なつかし館蔵」開放 午後1~5時、なつかし館蔵釧路駅前店(北大通13)。中野吉次館長の貴重な収集品を見学できる。毎週日曜開館。1階アイヌ資料館は無料、2階昭和ロマン館は200円。竹内さん090・8709・3451
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北海道新聞2024年11月5日 21:50
ししゃも祭りに合わせ、豊漁を願い行われたカムイノミ(大島拓人撮影)
【白糠】アイヌ民族の伝統行事「ししゃも祭り」(白糠アイヌ協会主催)が3日、町のアイヌ文化拠点施設ウレシパチセと茶路川河畔広場で開かれた。同支部や道内各地の会員ら90人ほどが参加した。
今回で45回目。10月末に始まったシシャモ漁の時期に合わせ、安全操業と豊漁を祈ることが目的。ウレシパチセでは同協会の天内重樹会長が祭司を務めた。シシャモなどを焼く煙が室内を立ちこめる中、参加者は神々へ祈りをささげるカムイノミを行った。その後茶路川河畔広場に移動し、古式舞踊を奉納した。
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※ウレシパチセのシは小さい字
北海道新聞2024年11月5日 19:47(11月5日 20:28更新)
帯広百年記念館(緑ケ丘2)は24日まで、特別企画展「アイヌ工芸品展 アットゥシと太布(たふ)-糸がつなぐ文化」を開いている。靭皮(じんぴ=樹木の内皮)から作られた道具や衣服約100点が並ぶ。同じく靭皮から作る四国の阿波太布も合わせて展示し、二つの製作過程や歴史、実際の衣服を紹介している。
同展は、公益財団法人アイヌ民族文化財団が主催するアイヌ工芸品展として開かれ、徳島県でも巡回展示を予定する。
アットゥシも太布も、木綿が普及する前に多く作られた。アットゥシは靭皮から糸を作り、・・・・・
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観覧無料。月曜休館。企画展期間中、同館のロビーではパネルでより深くアイヌ文化を紹介する「アイヌ文化ロビー展」を開催。24日午後2時からは、釧路市立博物館の学芸員を招き、講座「道東のアットゥシ 製作・歴史と展望」も行う。参加無料。申し込みは12日から百年記念館、電話0155・24・5352へ。
※アットゥシのシは小さい字
北海道新聞2024年11月5日 19:39(11月5日 20:28更新)
帯広カムイトウウポポ保存会の酒井奈々子会長(左)の指導を受け「ポネオハウ」作りに挑戦する螺湾小児童
【足寄】螺湾小(竹島浩校長、14人)の児童が1日、アイヌ民族の伝統料理の豚肉を使ったポネオハウ(骨の汁物)づくりに挑戦した。
道教委が指定する「北海道ふるさと教育・観光教育等推進事業」の実践校としての取り組み。アイヌ民族の生活や文化について幅広く知ってもらおうと企画した。
町内の多目的施設で行われた調理体験には、保護者を含む25人が参加。帯広カムイトウウポポ保存会・酒井奈々子会長が講師を務め、・・・・・
北海道新聞2024年11月5日 19:02(11月5日 19:47更新)
【平取】景観保護に取り組む自治体や個人で構成する全国文化的景観地区連絡協議会の大会が、道内で初めて平取町内で開かれた。同町は道内自治体で唯一、国の「重要文化的景観」の選定地域がある。地元の代表者が景観保護の取り組みを紹介したほか、道外からの出席者が事例を報告して課題や対策を共有した。
大会は各地の情報交換と交流を目的に毎年開催。今回は10月24日に沙流川歴史館で実施し、加盟自治体の職員や一般町民ら約100人が参加した。
冒頭、重要文化的景観の選定に向けて同町と協力している北大観光学高等研究センターの西山徳明教授(建築・都市計画学)が基調講演した。西山教授は2007年の沙流川流域の選定を皮切りに16、18年に追加選定された経緯を解説。さらなる追加選定の実現へ「アイヌ民族は沙流川を単なる水路ではなく、生き物のような存在として見ていた。そうした世界を文化的景観として捉え、誰にでも分かるよう示していく」と述べた。
事例報告では沖縄県今帰仁村(なきじんそん)と、長野県の集落「小菅(こすげ)の里」の景観保護担当者らが発表。今帰仁村の担当者は、地域行事の担い手不足などの課題を挙げ「地元の人々は目の前にある価値に気づきにくい面がある。広報紙で毎月、集落の景観や伝統芸能の魅力を伝えていく」と述べた。
大会ではこのほか、二風谷小の遠山昌志校長が同校独自のアイヌ文化学習について説明し、児童12人がアイヌ語で童謡と校歌を歌った。最後は平取アイヌ文化保存会が伝統舞踊を披露した。
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オルタナ 2024/11/05 萩原哲郎
「環境・持続社会」研究センターなど国内外の環境NGO5団体は、SOMPOホールディングスの大株主である金融機関50社に気候変動対策や先住民族の権利尊重についてのエンゲージメントを求める要請書を送付し5社から回答があり、金融機関はネットゼロ達成に向けてさらなる働きかけに意欲を示した。また先住民族の権利尊重について方針がないことを問題視する声もあった。(オルタナ編集部=萩原 哲郎)
要請を送付したのは「環境・持続社会」研究センターのほかに、国際環境NGO FoE Japan、メコン・ウォッチ、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、Insure Our Futureの5団体。
要請書のなかでは「パリ協定の1.5度目標に整合する保険引受方針を策定」、「リオ・グランデLNG事業を含む新規化石燃料事業の保険引受を停止」、「FPICを含む先住民族の権利の尊重を方針化」の3点についてのエンゲージメントを求めた。
エンゲージメントとは機関投資家が投資先企業との、企業価値の向上や持続的な成長を促すための建設的な「目的を持った対話」のこと。金融庁が示すスチュワードシップ・コードでも、こうした対話を通じて、「投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべき」だとする。
5団体はいずれの取り組みについても不十分であったり、方針が策定されていないと指摘する。SOMPOの保険引受方針はパリ協定の1.5度目標に整合しておらず、石油・ガスに関する方針についても取り組みは限定的だとする。欧州の大手保険会社では、石油・ガスの保険引受の停止対象を上流から中流(石油・ガスの輸送)、下流(発電)に拡大している。
またSOMPOでは、先住民族の権利に関する国際連合宣言で求められているFPIC(自由意志による、事前の、十分な情報に基づく同意)に関する方針が策定されていない。保険引受を行うリオ・グランデLNG事業の事業者は現地先住民族との協議会を一度も開催していないと指摘する。
5団体はこうした状況を踏まえて、SOMPOとの要請を継続するとともに、今回の要請書に回答しなかった金融機関に対してはエンゲージメントを行うよう要請するという。
アイデアス フォーグッド 11月 05, 2024 by 古川 紋
カナダには、160万人以上の先住民が暮らしているといわれる。カナダの先住民は大きく3つのグループに分かれ、北米インディアンのファースト・ネーションズと、先住民とヨーロッパ人の間に生まれた子孫であるメティス、そしてカナダ北部に住む先住民のイヌイットだ。
それらカナダ先住民のうちの半数以上を占めるファースト・ネーションズは、数が最も多いことから、カナダ先住民のシンボルになっている。カナダには630を超えるファースト・ネーションズのコミュニティが存在しており、約80%がカナダ西部、特にブリティッシュコロンビア州、アルバータ州、サスカチュワン州、マニトバ州、そしてオンタリオ州に住んでいる。
彼らは数千年にわたりカナダの大地に根付いて生活してきた。狩猟、漁業、採集を通して自然と調和した暮らしを営み、川や森といった自然環境は彼らの日常に不可欠な存在であった。しかし、19世紀にヨーロッパ人の植民が進むと、多くのファースト・ネーションズは住んでいた土地を追われ、文化や伝統は抑圧されるようになった。
1960年代から70年代には、先住民族の権利回復を求める運動が活発化し、自己決定権の拡大が進められた。ようやく1982年にはカナダ憲法が改正され、先住民族の権利が正式に保障されるようになった。それでも、土地の所有権、教育や医療へのアクセスの格差といった課題は現在も続いており、先住民とカナダ政府の間ではこれらの問題に対する取り組みが進められている。
そんなファースト・ネーションズを始めとするカナダ先住民は、18世紀から20世紀初頭に結ばれた条約によって、狩猟および漁業の権利を保障されている。これらの権利は、食糧供給や文化・伝統の維持に欠かせない要素である。
彼らは非先住民とは異なる条件で活動でき、季節や場所の制限を受けずに年中狩猟が認められる場合もある。さらにエルクやムース、サーモンなどの狩猟・漁業は法律で優遇されるケースがあるのだ。また儀式的な狩猟や地域社会のための食糧確保といった文化的・社会的な目的のために許可される活動も多く存在する。これにより、ファースト・ネーションズは、自らの文化と伝統を維持しながら、自然との共生を続けている。
今回は、ファースト・ネーションズの血を引く、トロイ・カンニングハム氏の狩猟に同行しながら行ったインタビューをお届けする。
話者プロフィール:トロイ・カンニングハム氏
カナダ・プリンスジョージ在住。母方にファースト・ネーションズの一種であるクリー族の血を引き、父方はクロアチア系のルーツを持つ。10代の頃から狩猟を始める。職業は、”Foreman of Street and Water” と呼ばれる市や自治体の公共インフラを管理・監督する役職で、休みの日に狩猟へ出かける。
ファースト・ネーションズの狩人、トロイ氏の狩猟に5日間同行
トロイ氏が住んでいるのは、プリンスジョージという町である。カナダの南西部に位置する第三の都市バンクーバーから北へ陸路で約780キロメートル離れている。そのプリンスジョージからさらに東のロッキーマウンテンの方向に車で約3時間ほどの距離にあるエリアに、彼はキャンピングカーを設置した。そこに5日間滞在しながらトロイ氏の狩猟を間近で見せてもらった。Wi-Fiも届かない森の中での体験だった。
5日間泊まったトロイ氏のキャンピングカーと彼の家族や親戚
トロイ氏が狙っていたのは、大型のシカ科の動物であるムースとエルクだ。彼の経験から、動物が潜むであろういくつかのスポットに毎日出向いた。朝5時に起き、日が暮れるまで狩猟に没頭した。
動物が潜むであろう場所までは「サイドバイサイド」という2人以上が並んで座れる車両を度々利用した。ドライバーと乗客が並んで座れることが特徴で、荒れた山道や砂地、森林の中などでの走行が可能だ。
両サイドに窓はなく、正面のみに窓ガラスがある。細く険しい道を走るたび、車両は大きく揺れ、枝葉が窓に叩きつけられる。その道を抜けたときに見えてくるロッキーマウンテンの景色は、まるで映画のワンシーンのような美しさだった。
時折、大きな水たまりを勢いよく突き抜け、泥水が跳ね上がってフロントガラスを覆い隠す。だが、その一瞬さえも冒険の一部に感じられ、泥にまみれた風景すら特別な瞬間だった。
動物が潜むであろうスポットの近辺に着くと車から降り、トロイは「elk bugle call」というエルクの雄の鳴き声を真似ることができる道具を使った。彼が鳴らす音は本物そっくりで、非常に独特で印象的だ。
最初は低く「ギューン」と腹から響く音で始まり、そこから音程が高く上がり「ウィーーー」と伸び、最後に笛のような甲高い音が「ヒョロロロロ……」と残響のように消える。力強さと寂しさが混ざったような、自然の壮大さを感じさせる音だ。
エルクやムースの鳴き声とそっくりの音を鳴らしながら動物を呼ぶトロイ氏と彼の息子
トロイ氏が音を鳴らした直後は、動物の気配や音を感じるのを息を潜めて待った。くしゃみや咳をすることはもちろん、落ち葉一枚踏んで音を立てることも厳禁であり、現場には緊張感が漂っていた。この5日間で何百回とそれを繰り返した。
車の運転中にエルクやムースを見つける瞬間もあったが、すでにこちらの存在に気づかれていた上に、私たちも銃を撃つ準備が整っていなかったため、何度かチャンスを逃してしまった。結局、私が滞在した5日間で一頭も獲ることはできなかった。
しかし、私が去った翌日の6日目にトロイ氏から連絡があり、ついにムースを一頭狩ったとのことだった。その後、トロイ氏は自ら動物をさばき、肉を小分けにして紙で包み、自宅の冷凍庫や冷蔵庫で保存したり、家族や親戚に分け与えたそうだ。
5日間の同行を通じて、一頭の動物を狩るためにはこれほどの工程、経験値、時間、そして体力が必要であることを体感した。
トロイ氏へのインタビュー「狩猟は、歴史と切り離すことのできない重要な営み」
狩猟をする上で、ファースト・ネーションズの中にはある絶対的な掟が存在しているという。一体、それはどのような掟なのだろうか。
「食べるなら狩る、食べないなら狩らない」
彼の答えはとてもシンプルだった。
「この考え方は、動物を狩ることが命のサイクルの一部であるとする理念に基づいています。狩猟にはサスティナビリティの観念が根付き、これは必要以上に狩りを行わず、命を無駄にしないという考え方から来ているのです」
この旅に一日だけ参加していたトロイ氏の孫が夕飯を残したとき、彼は「食べ物があるのは当たり前のことではない。無駄にするな」と何度も強く伝えていた。その姿は印象的で、狩猟文化が身近であるトロイ氏だからこそ、命を食すという感覚と、食べ物への敬意や感謝の念が深く根付いていることを感じさせた。
ファースト・ネーションズには、狩猟権に限らず、特定の税免除、教育のサポート、専用の医療福祉プログラム、土地所有権などのさまざまな「特権」がある。しかしトロイ氏は、それでもなお十分とは言えないほど、過去にカナダ政府がファースト・ネーションズに行ってきた数々の酷い行為があったことは否定できないと話す。
19世紀から1996年まで、政府は親から子どもたちを強制的に引き離し、政府とキリスト教会が運営する寄宿学校に送った。先住民の言語や文化を抹消し、欧州系カナダ社会に同化させるためだ。そこでは多くの子どもが身体的・精神的虐待を受け、十分な食事や医療が与えられず、命を落とした事例も多数報告されている。2021年には学校敷地から無名の215人の子どもたちの遺骨が発見された(カナダ政府は2008年に正式に、この同化政策について先住民に謝罪している)。
現在から未来に向けた大きな変革を実現するためには、第七世代まで考慮する必要があり、過去のトラウマや傷が完全に癒えるまでには7世代分の時間がかかると言われている。
狩猟権は、ファースト・ネーションズの文化と伝統を守るための不可欠な権利だとトロイ氏は言う。
「なぜなら我々にとって狩猟は、単なる食料の調達でだけはなくて、文化的、精神的な深い意義があり、歴史と切り離すことのできない重要な営みであるからです。
ブリティッシュコロンビア州は、狩りをするのに最適な環境として知られており、狩猟シーズンには世界各国から多くのハンターが大金を支払って訪れます。しかし、彼らには狩猟ライセンスやシーズン、頭数に関する厳しい規制が設けられているのです。そうした規制がない中で、ファースト・ネーションズの狩猟にあなたが同行し、その様子を直接見ることができるのはとてもラッキーですよ」
トロイ氏へのインタビューの中で、カナダ政府とファースト・ネーションズの悲しい歴史に触れる彼の眼差しは非常に印象的であり、彼らの人生にはいまだに過去の傷が色濃く残っていることを感じさせた。
取材後記
ファースト・ネーションズの狩猟文化を通して、「食べることは命をいただくということ」を改めて痛感した。スーパーで気軽に購入している肉や魚の命の尊さ、食品を無駄にしないという意識が強くなるきっかけとなった。そして狩猟のイメージが大きく変わった。
動物への搾取を避け、生命を尊重するために、そもそも動物を狩らない・食べないという方法もある。しかし、動物の命に感謝してそれをいただくこともまた、食の本質的な尊さを感じる大切な瞬間になるのではないだろうか。
またファースト・ネーションズにとって、狩猟は単なる食料の確保にとどまらず、深い文化的・精神的な価値を持つ重要な営みであることも学んだ。彼らは自然との調和を大切にし、持続可能な狩猟文化を未来の世代に伝えていこうと尽力しているのである。観光としての狩猟体験ではなく、彼らの歴史と伝統に根ざした「狩猟の旅」に同行したからこそ得られた気づきだった。
Edited by Erika Tomiyama
サイエンスポータルアジアパシフィック 2024/11/05
オーストラリア国家計量機関(NMI)は9月9日、ニュージーランドの計量標準研究所(MSL)との間で、協力に関する新たな取り決め(arrangement)に合意した。
今回の取り決めは2007年に初めて締結された了解覚書(MoU)に続くものであり、次のような分野における両国間の科学的連携を継続するための枠組みを提供している。
NMIとMSLはこの取り決めの下で、計量学における相互の合意により決定したプロジェクトに協力して取り組み、知識を交換する。推進される協力活動の種類には、インド太平洋および太平洋地域の支援や先住民族およびマオリとの関係構築を目的とした活動も含まれている。
今回の更新は、国際協力を通じて科学的卓越性とイノベーションを促進するという両機関の強い意志を表している。この取り決めは今後5年間有効となる。
NMIとMSLは豪州とニュージーランドの計量における最高機関であり、NMIはオーストラリア産業・科学・資源省(Department of Industry, Science and Resources)、MSLはニュージーランド政府の研究機関キャラハンイノベーション(Callaghan Innovation)の傘下に置かれている。
BE-PAL. 11/5(火) 8:05
日本の魅力を知ったうえで、海外に目を向けるとさらなる発見があるはず! ここではヨーロッパのユニークなキャンプ事情をご紹介します。
【写真13枚】イギリスではピクニックの延長としてキャンプそのものを楽しむ。ヨーロッパのキャンプの様子を写真で見る
北欧ならでは!「自然享受権」を満喫
◆スウェーデン
数多のアウトドアブランドを生み出しているスウェーデンだが、そのルーツを追うと必ずラップランドの自然に辿り着く。それは先住民族のサーミ人たちが暮らしてきたスカンジナビア半島の北部地域の総称。特にスウェーデン北部には、クングスレーデン(王様の散歩道)と呼ばれる風光明媚なロングトレイルが存在する。今回はそのハイライトである110㎞の道のりを5日かけて歩き、北極圏の自然と文化を堪能してきた。
そんな北欧の自然と人々の関係を語るうえで欠かせないのが「自然享受権」だ。これは土地の所有者に損害を与えない限り、誰もが他人の土地への立ち入りや、自然環境を享受する権利を認めるというもの。つまり自然はみんなのものだから、どこを歩いても良いし、実った果物を食べるのも自由だし、好きな場所でキャンプしてもOK! 世界広しといえど、こんなに寛容で、贅沢な野外体験ができる場所はほかにないだろう。
王様の散歩道を堪能する、人気のトレイルイベント「フェールラーベン・クラシック」に参加。今年も世界中から2,000人が集った。
標高1,000m以下でも森林限界となるため視界が開けて壮大な一方、悪天時は吹き曝しに。そのため同国のテントは堅牢な作りで、インナーがアウターに吊り下がった、雨天設営がラクなものが多い。
世界一臭い食べ物と言われるシュールストレミングは、屋内での開封は違法。実際に道中で食し、その理由がよくわかった。
・実際に行ってきました!
ライター 鈴木純平
ロングトレイル初挑戦の軟弱アウトドアライター。旅の前半は雨に泣きながら、白いポンチョで自ら"てるてる坊主"になって晴天を祈願した。
グランピング発祥の国!
◆イギリス
欧米ではアクティビティーや旅の宿泊手段としてキャンプが行なわれることが多いが、イギリスではピクニックの延長としてキャンプそのものを楽しむ。グランピングを生んだのもイギリスで、サファリキャンプを思わせる豪華な雰囲気が投影されている。
「ラーヴ」でのキャンプが定番
◆フィンランド
スカンジナビア北部のサーミ族の住居に由来する、ラーヴという無料の小屋が森の中に点在。キャンパーやハイカーがテント代わりに利用している。
キャンピングカードで自由な旅を
◆アイスランド
国内約40か所のキャンプ場が定額で利用できる、キャンピングカードを使った車旅が人気。国を一周する国道1号線を通って大自然を堪能しよう!
※構成/鈴木純平
(BE-PAL 2024年10月号より)
https://news.yahoo.co.jp/articles/63d3e4a22a4b9b52927c66e46da8a9e066e6bf6c
日経xwoman2024.11.05
話題のNetflixドラマ「地面師たち」オープンニングの
ハリソン山中演じる豊川悦司さんのハンティングシーンを観て、1987年に出版された『愛と幻想のファシズム』(著:村上龍/講談社)を思い出した。
黄金のエルクを追い求めるハンター・鈴原冬二と出会った芸術家気質の実業家・ゼロが、「狩猟社」という政治結社を立ち上げて冬二をカリスマに仕立てあげ、暴力を肯定し、社会的ダーウィニズムを実行する近未来政治小説である。
一方、ハリソン山中の方は、何も築き上げず、自己の快楽と愉悦のために生きているだけだが、彼の振る舞いや、独特の哲学と矜持に、なんとなく、両者共通の匂いや世界観を感じたわけである。
でっ、その世界観に重要な色付けを担っていたシーンの監修者が苫小牧に移住されていることを知ってびっくり仰天し、さっそく、お話を聞きに行ってみたのですー。
その人とは、昨年8月に
『獲る 食べる 生きる』(小学館)を初出版された
黒田未来推さん。
職業、狩猟家。
であるが、もとは東京ご出身。三菱商事→NHKディレクター、「ダーウィンが来た」などのドキュメンタリーを手がけるうちに北米先住民との出会いから、その世界に魅了され、にゃんと!去年退職されて苫小牧に移住したという、異色すぎる経歴の持ち主。狩猟と自然の魅力に取り憑かれたその人生は、まるで物語そのものじゃないですの、奥さま!
大自然王国・北海道は、本州の方よりも、野生動物や狩猟との距離が近いのではと思う。
たとえば、ご近所や知人友人づてから、「うちの畑で採れたお裾分けよ」と言わんばかりに、仕留めた肉のお裾分けをいただいたことは何度もあるし、銃砲免許を持つ人も本州より多いのではないだろうか。
かくいうわたくしも、勤め先の上司からこんこんと狩猟の魅力を聞かされ、21歳の時に1度、免許を取得したことがある。
ただ、やはり、実際の狩猟には、気力体力と、なによりも覚悟がいる。そこまでの根性もなかったわたくしは、なんとなく射撃をやったら満足し、継続せずに、そのまま失効したが、まあそれで良かったと思っている。
黒田さんが狩猟家に転身するきっかけとなった、アーティストであり、語り部であり、ハンターである北米先住民族・キースとの運命の僥倖。そして、日本と北米との圧倒的なスケールの違いが、その場の息づかいと共に脳裏に再現されるほど克明に語られるヘラジカ狩りのエピソード。
黒田さんの言葉には、命と真摯に向き合う狩猟家としての覚悟がにじみ出ていて、生半可な気持ちで狩猟はむずかしいという想いはますます強まった。特に、親子熊を撃った時のお話は胸に深く突き刺さる。
『獲る 食べる 生きる』を読み返しながら、黒田さんのお話を思い起こし反芻している。絵本のように読みやすく、言葉がきらめいている本です。移住先に苫小牧を選択くださったのが嬉しく誇らしい気持ちに。
先日、「都会と地方の一番大きな格差は、”可能性”の格差だ!」なーんて書きましたが、前言撤回します、しゅみません。可能性の宝庫でちた。
そして、この出会いを導いてくれたのが「地面師たち」のハリソン山中だなんて、なんとも奇妙で面白い。
感謝、ハリソン山中!
◎黒田未来推さん・公式Webページ
https://huntermikio.com/
獲物たちの皮が展示。熊はモフモフ、アライグマはとっても美味しいのだそうな
https://woman.nikkei.com/atcltrc/blog/nitadoriyoko/post/d7d39b61c46a4ae8939b61c46afae879/
VOI 05 November 2024, 20:55
デザイナーのメルディ・シホンビングコレクションのフライングクロス(ドク。メルディ・シホンビング)
ジャカルタ-ジャカルタのインドネシア国立博物館は、2024年11月11日から24日まで開催されるフライングクロスを通じて、テキスタイルおよびファッションデザイナーのメルディシホンビングの旅を祝う舞台になります。
文化省、インドネシア遺産庁、インドネシア国立博物館が主催するこのイベントは、インドネシアのさまざまな場所で25年間コミュニティのエンパワーメントを構築するためのメルディの闘争を祝います。
「この展覧会は、作品の美しさを展示するイベントであるだけでなく、ファッションの見方を変えるための強力な第一歩でもあります。このイベントのすべての作品には、私の25年間の長い旅、群島のさまざまなコーナーを探索し、独自の文化遺産から生き、発展するコミュニティを構築することに関する物語とメッセージが含まれています」とメルディはVOIが受け取った公式声明で述べました。
メルディはインドネシアを旅し、隠された遠隔地を探索し、先住民族と一緒に暮らし、価値に富んだ織りの伝統を復活させました。メルディ・シホンビン財団とエコファッション・インドネシアとの長い旅を通して、彼は地元の人々のライフスタイルと作品が人間と自然の調和を反映していることを目の当たりにしました。この経験は、文化遺産と持続可能性の原則は評価され、次世代に転嫁される必要があるというメルディの信念を強めます。
「若い世代は変化をもたらす大きな力を持っており、このイベントは彼らが始める機会でもあり、私が国の隅々で見つけたエンパワーメントと持続可能性の精神に触発されています」と彼は言いました。
自然との調和を保つことに忠実なバンテンのバドゥイ族のユニークさから、色の美しさを放つアロールの水中チャームまで、フライングクロスショーは、メルディコレクション、時間を横切る文化の美しさについてのビジュアルストーリーを通して、国の隅々まで訪問者を連れて行きます。
メルディは「来て、すべての生地が私たちを先祖とどのように結びつけることができるか、そして今日のファッションオプションが私たちと将来の世代のためにより良い未来をどのように創造できるかを自分で目撃してください」とアドバイスします。
持続可能な伝統を編む
ガラレセプションとファッションショーでオープンすることに加えて、フライングクロスは2週間、さまざまなワークショップ、セミナー、クリエイティブトークによって着色されます。この一連のイベントは、一般の人々が持続可能なファッションの概念を探求する機会を提供します。
提起されたトピックには、自然カラーリング教育、ファーストファッション業界が気候変動に与える影響、意味のあるウロスへの民族学的デザインパターン、ファッション映画、ファッション写真が含まれます。関係するスピーカーには、メルディ・シホンビング、エリエク・N・ジュラガン、フェリー・ズルフリザー、ブラムスキー、ジャカルタ・アーツ研究所の実務家、スパークス・ファッション・アカデミー、ビナ・ヌサンタラ大学のファッション・プログラムなどが含まれていました。
フライングクロスはまた、バタックカロの伝統的な結婚式や満月の光の下でのホンダンショーを通して、忘れられない文化的経験を提示するゲルダンシマルングン、ゴルダンサンビラン、ゴンダンサバワン鳥羽をフィーチャーした魔法の雰囲気を盛り上げます。
この祝賀会を補完するのは、インドネシア各地からのメルディの25年間の視覚的旅の物語を伝えるインスタレーション展です。このインスタレーションプロジェクトには、アーティストのヘリ・ペマドがアートディレクターとして、イグナティア・ニルがキュレーターとして参加します。
SB 2024.11.04
会期を1日延長し、昼夜を徹して議論を続けたにもかかわらず、主要項目を採択する前に時間切れとなり休会したCBD-COP16(コロンビア・カリ)
10月21日からコロンビアのカリで開かれていた、国連生物多様性条約16回締約国会議(CBD-COP16)は、2030年までに生物多様性の損失を止め反転させるための世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」の実施加速に向けた具体の議論を巡って、各国が合意に至る前に時間切れとなり、閉幕予定日を1日過ぎた11月2日に採択ができないままに休会(Suspend)する異例の展開となった。主要な論点の中で、各国の生物多様性保全の取り組みを評価する指標案はほぼ固まったが、生物多様性の資金ギャップを埋めるための「資源動員」などを巡って議論が難航した。
一方で、公式サイトによると、ホスト国のコロンビアが力を入れる、先住民地域共同体(Indegenous People and Local Communities)による自然を守る取り組みに対する役割の強化と、生物のデジタル遺伝情報から得られる利益を共有するための新たな多国間メカニズムに関しては“画期的な合意”がなされたという。(廣末智子)
取り組み指標はほぼ決定も……「休会」で一旦宙に
今回のCOP16は、2022年12月にカナダのモントリオールで開かれたCBD-COP15で、GBFが採択されてから初めての会議。2030年までに世界の陸域と海域の30%以上を保全する30by30(サーティ・バイ・サーティ)など23項目に及ぶGBFのターゲットの達成に向けた各国の取り組みや今後の進め方を明確化することが求められていた。
このうち、各項目の取り組み状況などを測る指標を巡っては、作業部会で議論が行われ、30by30などについては生物多様性が良好に保たれている地域の割合などで評価し、数値的に成果を示しにくい部分についてはバイナリー(選択解答式)指標で評価することなどがほぼ決定していた。今後は、気候変動枠組み条約において、締約国が5年ごとに温室効果ガスの排出量削減目標の提出を義務付けられているのと同じように、生物多様性条約においても2026年2月までに各国が国内での取り組みを国連に報告する方向で調整が進んでいるが、本会議の休会により、一旦宙に浮いた格好だ。
196の締約国のうち、これまでにGBFに基づく国家戦略や国家目標を提出しているのは日本を含む69国にとどまる。今回の作業部会では、国家目標を提出していない途上国から「目標はあくまでグローバルでの進展を図ることに主眼を置き、特定の国の進捗の遅さが批判されるような内容にはしてほしくない」といった意見が出ていたという。
また、生物多様性の資金ギャップを埋めるための努力を先進国に求める「あらゆる資源からの動員」については議論が難航し、途上国側が強く求めた「新基金」という言葉は議長テキストに盛り込まれなかった。
デジタル遺伝情報の利用から生じる恩恵は「全ユーザーの共有が望ましい」
一方で、今回のCOP16では、DSI(遺伝資源に関するデジタル配列情報)と呼ばれる、生物のデジタル遺伝情報の利用から生じる恩恵を公平に配分するための仕組みづくりに関しても世界の関心が集まっていた。これについては時間をかけて議論を行った結果、医薬品や化粧品などすでに商品化されているものに限らず、「すべてのDSIユーザーがその恩恵を共有することが望ましい」とする方向性を確認。具体的には、製薬会社などDSIを使って多大な利益を得る大企業に対し、利益や売り上げの一部を規模に応じて国際基金(カリファンド)に拠出することを求める内容で合意した。
悲願の「先住民地域共同体」の役割明文化に当事者共同体ら歓喜
さらに、今回、ホスト国のコロンビアは、「自然とともにある平和(Peace with Nature)」をテーマに掲げ、生物多様性保全における「先住民地域共同体」の役割の強化を焦点の一つとして力を入れていた。この結果、悲願であったCBD-COPにおける、先住民地域共同体の作業部会の常設化や、「アフリカ系コミュニティ(Afro-Descendant)」という用語を追加することなどを決定。国連自然保護連合日本委員会の事務局長、道家哲平氏のレポートによると、採択が決まった瞬間には、本会議場に詰めていた先住民地域共同体から歓喜の声が上がり、「歴史的な瞬間だ」とする声明も出された。アフリカ系コミュニティの貢献を明記したことに関しては、コロンビアとブラジルの両国から、喜びと感謝が聞かれたという。
国連事務次長 兼 国連環境計画事務局長のインガー・アンダーセン氏は、COP16の成果について、「各国の決意と『人民のCOP』のエネルギーのおかげで、大きな進歩を遂げることができた。地球規模の生物多様性枠組みを実現するための取り組みに、先住民族と地元の管理者の知識と役割を組み込むことを約束したのは重要な前進だ」などと総括。その上で、本会議が休会となったことを踏まえ、「もちろん、私たちは資源動員や監視枠組みの前進についてより多くの成果を達成したいと考えていたが、作業のペースを落とすつもりはない。2030年は急速に近づいており、行動を待つことはできない」とするコメントを発表している。
COPの事務局などによると、休会となったCOP16は今後、特別COP(Ex-COP)か、COP16-2といった形で開催される方向ではあるものの、11月4日時点で時期や会場は未定となっている。
https://www.sustainablebrands.jp/news/os/detail/1224900_1531.html
ニューズウィーク 2024/11/05
スピリチュアルなパワースポットとして人気が高まっている「Tjoritja/ ウェストマクドネル国立公園」。写真は「シンプソンズ ギャップ」(Credit:Tourism NT/Sean Scott)
オーストラリア中央部、アリス・スプリングの近郊に東西約644 kmに渡って連なる壮大な山脈「マクドネル山脈」。地球上で最も古い山脈のひとつとして知られるこの山脈は、約3億~3億5千万年前の地殻変動(造山運動)によってできたとされ、かつてオーストラリア中央部を覆っていた内海の痕跡がみられる貴重な場所でもある。山脈の一部は、約10億年前に形成され始めたとする研究もあるそうだ。
素晴らしいのは、太古の地球が造り上げた壮大な景観だけではない。遥か昔からこの山脈と共に暮らしてきた先住民の人々にとっては、重要な創造神話の中心でもあるため、そこかしこに先住民文化が色濃く残り、聖地とされる場所がいくつも点在している。
欧米人観光客の間では、この山脈を縦走する「ララピンタ トレイル」が「世界トップクラスのトレッキングコース」として人気が高まっていることもあり、この地域に点在する先住民の聖地がスピリチュアルなパワースポットとして注目されているのだ。
Tjoritja/ウェスト マクドネル国立公園
アリス・スプリングスの町の西側に広がる山脈部分は、アクセスが容易で見どころも多く、アリス スプリングスから日帰りでも十分楽しめる。
今回、数年ぶりに訪れて気になったのは、国立公園の名称だ。これまでは「ウェスト・マクドネル国立公園」として知られていたが、「Tjoritja(ジョリットジャ/ トジョリットジャ ※実際の発音はチョーイッジャに近い)」と記載されるようになっていた。これは、太古の時代からこの地で暮らしてきた先住民の人々が呼んできた名称なのだそうだ。
今のところ、併記されていることのほうが多い段階ではあるが、今後は完全に、もともと呼ばれていた地名「Tjoritja」になっていくのだろう。
太古の山脈に残る数々の神話/伝説
この山脈には、先住民の人々が伝えてきた「ドリームタイム」と呼ばれる神話/伝説がいくつも残っている。この地の先住民「アレンテ」の人々によると、この山脈は「イエペレニエ」と呼ばれる巨大な芋虫(毛虫)が這ってできたのだという。そして、地域内には特に重要な7つの聖地と文化的に重要な古代の樹木が登録されているのだそうだ。
絶景&癒しのおすすめパワースポット3選
先住民の人々が聖地として大切にしてきた場所は、大地のエネルギーに溢れ、癒やしや活力をもらえる場所ばかり。とりわけ、赤い岩肌と大地が夕焼けに紅く染まっていく様は、本当に美しく、眺めているだけで心が洗われていくようだ。
そこで、アリス・スプリングスから日帰りで行けるおすすめの「絶景パワースポット」ベスト3をご紹介!
1.スタンドレー キャズム Standley Chasm
山を貫く巨大な亀裂を引き起こした地殻変動によって形成されたという、息をのむような高さ80 メートルの岩の裂け目と青空のコントラストが美しい渓谷。岩の裂け目に立つと、人間の小ささを再認識させられ、岩肌から発せられるエネルギーに包み込まれていくような、不思議な感覚になる場所だ。
先住民アレンテの人々にとって、精神的信仰の基盤となっている重要な聖地のひとつ。彼らはこの峡谷を「水の裂け目」を意味する「アンケル アトワティエ」と呼び、女性の出産に関する重要な場所として位置づけられている。
スタンドレー キャズムは、地元の先住民によって運営されており、入口のカフェで入場料を支払って往復2.4km(約30分)を歩いて岩の裂け目まで行くトレイル(散策コース)になっている。さまざまな固有種の植物や野鳥を見ることができ、キャンプサイトが併設されているので、野趣あふれるキャンプもおすすめだ。
2.シンプソンズ ギャップ Simpsons Gap
ゆるやかに流れる小川「ロー クリーク」によって長い年月をかけて削られた渓谷で、赤い岩肌と澄んだ小川が創り出す絵画のような風景が見事な場所。
先住民アレンテの人々が「ルングットジルパ」と呼ぶ、重要な聖地のひとつ。彼らが祖先として崇める巨大なオオトカゲの住処であった物語をはじめ、数々のドリームタイム(神話)が伝わる神秘的な場所でもある。
40 種を超える希少植物など、この山脈特有の植生が手軽に見られるほか、朝夕には、岩場に生息する有袋類「クロアシイワワラビー」の姿が見られることも。アリス・スプリングの中心地から約20分と近いことから、地元の人たちのピクニックランチのスポットとしても人気の場所だ。
3.オーミストン ゴージ Ormiston Gorge
赤い岩肌がむき出しになった山脈と豊かな水の流れ、涼やかな木陰を作り出す緑など、大自然が織り成す美しい風景が広がっている壮大な渓谷。地質学的にも非常に興味深い場所なのだそうだ。
この峡谷もまた、先住民アレンテの人々が「クワルタトゥマ」と呼ぶ、重要な聖地のひとつ。ここに身を置くと、人生や価値観、内なる感情についてじっくりと考えることができ、本当の意味でのマインドフルネスを体験できる場所だと言う人もいるそうだ。
太古の時代には熱帯雨林が広がっていた痕跡でもある数々の古代植物のほか、有袋類「ロングテールダナート」などの小さな動物も生息している。聖なる泉や滝をめぐるコース、尾根に沿って歩くコースなど、いくつものウォーキングコースがあるので、お弁当(ランチ)を持参して、山脈の赤い岩肌が夕日に照らされて美しく染まるまで、丸一日楽しむのもいい。キャンプサイトも併設されているので、泊りがけで行くのもおすすめだ。
アリス・スプリングス近郊は、これ以外にも100以上の聖地が点在する、まさにパワースポットの宝庫。日本では観光地としての知名度はまだ低く、日本人観光客に出会うことはほとんどない。有名になって団体客が大挙して押し寄せる前に、ぜひ一度、訪れてみてほしい。〈了〉
▼Tjoritja/ウェスト マクドネル国立公園 Tjoritja / West MacDonnell National Park
※国立公園の入場には、パークパス(入場券)が必要です。詳細はこちら。
https://www.newsweekjapan.jp/worldvoice/hirano/2024/11/post-110.php
日本女性の摂取量は推奨量の6割、貧血のほか慢性疾患やメンタルヘルスにも影響
ナショナルジオグラフィック 2024.11.05
「貧血は母体罹病率を確実に高めます」とイグビノーサ氏は言う。「貧血がどの程度そのリスクに関わるかは、人種や民族によっても異なります」。母親の貧血はまた、死産、早産、低出生体重のほか、その後の神経発達の遅れとも関連している。
これまでの研究では、米国の黒人、ヒスパニック、先住民の女性は、ほかの人種の女性よりも貧血である割合が高く、妊娠中や出産後も貧血や合併症を抱える可能性が高いことが示されている。
その理由はまだ十分には解明されていないが、おそらくは女性たちが置かれている環境の違いや特定の婦人科疾患にかかりやすい素質、または居住地、収入、文化、健康的でバランスのいい食事へのアクセスといった、健康にまつわる社会的な決定要因によるものだろうとイグビノーサ氏は述べている。(参考記事:「米国、アフリカ系妊産婦の死亡率は白人の3倍」)
鉄分不足と心臓の健康
体が弱っている気がする、やけにだるい感じがするというだけでは、医師に診てもらうまでもないと思うかもしれないが、この問題を放置しておくと、後になって不必要な苦痛を味わうことになる。
こうした兆候を注意深く観察するのは極めて重要だと、米ベイラー医科大学教授のビケム・ボズカート氏は述べている。
糖尿病、高コレステロール、高血圧といった併存する病気と組み合わされた場合、鉄分不足は慢性疾患を発症するリスクをさらに高める。また、鉄分不足に似た症状、たとえば活力や運動・作業能力の低下は、心臓病の進行を示す目立った兆候の例でもある。(参考記事:「歩く速さは健康に長生きできるかどうかのサイン、保つ秘訣とは」)
「心臓はポンプとして血液を全身に送り出すだけでなく、心臓自体の筋肉にも血液を供給します」とボズカート氏は言う。「たとえば、血管に詰まりがある人が鉄分不足や貧血に陥ると、心筋への血液の供給が困難になります」
一般に、心血管系の健康状態を評価する際、医師は患者の最高酸素摂取量(ピークVO2)を測定する。ピークVO2とは、激しい運動時に体が利用できる酸素量のことだ。
体の中で使える鉄分の量は、その人が持つヘモグロビンの量に影響を与える。ヘモグロビンが多いほど、酸素はより効率的に体内に運ばれる。鉄欠乏性貧血はヘモグロビンの生成を妨げるため、ピークVO2の低下につながる可能性がある。
これらの数値はまた、将来的な心臓病の発症リスクを予測するうえでも役立つ。入院患者のピークVO2は、どのような種類の治療を受けたらよいかを評価する際に重要な役割を果たし、たとえば心臓移植などの高度な救命措置を受けられるかどうかの判断にも関わってくる。
ボズカート氏によると、貧血の有無にかかわらず、心不全患者の鉄分不足を治療すると、生活の質と再入院率の両方が改善される証拠が示されているという。
一方、現在自宅で軽度の鉄欠乏性貧血の症状に対処している人の場合、治療のプロセスははるかに単純だ。専門家は、鉄分のサプリメントを摂取するか、鉄分を豊富に含む食事を取れば、全体的な健康状態を改善できるとしている。ただし、薬を飲む必要があるかどうかを判断するうえでは、かかりつけ医と相談し、自分に合ったプランを決めるのが最善だろう。
文=Tatyana Woodall/訳=北村京子
ムビッチ 2024年11月2日
監督は、『山女』でTAMA映画祭最優秀新進監督賞を受賞、『SHOGUN 将軍』でも監督を務めるなど、国内外で高い評価を受けてきた福永壮志。 『アイヌモシㇼ』では、北海道・阿寒湖のアイヌコタンで暮らす少年の成長を通して、現代のアイヌ民族のリアルな姿を描き、2020年トライベッカ映画祭の審査員特別賞を受賞した。本作では、北海道・白糠町で生きるアイヌの家族に密着し、祖先から続くマレㇷ゚漁の技法や文化、信仰等を次世代に伝えていく等身大の姿を映し出し、自らのルーツを大事にしながら今を生きる彼らの姿に迫る。第29回釜山国際映画祭、そして現在開催中の第37回東京国際映画祭でも、その真摯な眼差しに絶賛の声が集まっている。
予告編では、マレㇷ゚漁を息子に教える父が「アイヌの考え方で言うと、自然界のいろんなものにカムイ(神様)が宿っていて…」と語り、実際に獲った魚に「ごめんねではなく、ありがとう」と息子に伝えるシーンも。また、笑顔溢れる日々の暮らしや、生き生きとした等身大の家族、仲間たちの姿が北海道の荘厳な大地と共に映し出されている。アイヌの伝統楽器トンコリ演奏の第一人者でもある、OKIが本作で映画音楽を手掛け、予告編でもその一部を聞くことができる。
ポスタービジュアルには、北海道・白糠町で生きる天内親子が並んで川に向かい、マレㇷ゚漁を実践する様子が写され、「今を生きる、ある親子の物語」というコピーが添えられている。
『アイヌプリ』
2024年12月14日 ユーロスペースほか全国順次ロードショー
監督・製作:福永壮志
出演:天内重樹 天内愛香 天内基輝 天内芳樹
配給:NAKACHIKA PICTURES
【作品概要】 北海道・白糠町で生きる天内重樹(シゲ)。現代人としての日々を過ごしながらも、彼のやり方でアイヌプリ(アイヌ式)を実践し、祖先から続くマレㇷ゚漁の技法や文化を息子の基樹に伝えている。シゲとその家族の日常を追い、自らのルーツを大事にしながら今を生きる彼らの姿に迫る、等身大の家族の物語。