先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

ウポポイ、京都でPR 白老町、ムックリや刺しゅう紹介

2024-11-23 | アイヌ民族関連

武内敦貴 有料記事

北海道新聞2024年11月22日 22:03(11月22日 22:41更新)

アイヌ文様の刺しゅう入りコースター作り体験の参加者ら(白老町提供)

 白老町はアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」と町の魅力を発信するイベントを、京都市内の地下街で開催した。町職員や白老アイヌ協会の会員、ウポポイ職員ら19人が現地を訪れ、ムックリ(口琴)を演奏したほか、アイヌ文様の刺しゅうのコースター作り体験などを実施した。

 ウポポイと白老の魅力を発信するPR事業は2021年度に始まり、これまで東京や仙台、大阪などで開催してきた。今回は多くの観光客が集まる京都で16、17の両日にイベントを実施し、町への誘客を図った。

 イベント会場ではムックリの演奏のほか、・・・・・・

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1091769/


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ムックリ産地・釧路の職人知って 市立博物館 鈴木さん3代の作品、歴史紹介

2024-11-23 | アイヌ民族関連

田鍋里奈 有料記事

北海道新聞2024年11月22日 21:54(11月22日 23:22更新)

釧路市内のムックリ職人の歴史などを伝える企画展

 アイヌ民族の伝統楽器ムックリ(口琴)を作る釧路市内の職人を紹介する企画展が、釧路市立博物館マンモスホールで24日まで行われている。同館学芸員によると、道内で販売されているムックリの9割は釧路市内で作成されており、文化の発信や伝承を支えている。

 企画展で紹介しているのは、市内大楽毛に工房を構える鈴木紀美代さんと、父の故秋辺福太郎さん、祖父の故秋辺福治さんの職人3代だ。

 ムックリは竹をマキリ(小刀)で削って、1本ずつ作る。展示では3人が製作したムックリの実物や、製作の工程、技術が受け継がれてきた歴史などをパネルで解説。釧路地域に伝わる昔話には、ザリガニのカムイ(神)がムックリをもたらしたとする伝説があることも紹介している。

 城石梨奈学芸員によると、・・・・・・

 入場無料。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1091759/


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「北海道ならでは」大集合

2024-11-23 | アイヌ民族関連

会員限定記事

北海道新聞2024年11月22日 5:00

 全国から移住者が集まる北海道では、本州ではみられないような風習や慣習が多くあります。道外から北海道に来て、あるいは道外に住んでみて初めてその違いに気付く。当たり前だと思っていたけれど、実は「北海道ならでは」のものを集めてみました。

(ライター・藤森祐子)

 あなたはおせち料理をいつから食べ始めますか? 元日? 大みそか?

おせちを大みそかの夜から食べる

 本州では、おせち料理を元旦(元日の朝)から雑煮と一緒に食べるのが一般的―と聞くと、驚く人がいるかもしれません。古くから道民は、おせちを大みそかの夜に年越しそばと一緒に食べていました。

 おせちは、奈良時代から宮廷で行われていた「節会(せちえ)」という行事に由来します。この宴で神様に供える「御節供(おせちく)」が江戸時代に大衆化され、黒豆や煮物、だて巻きなど日持ちのする正月料理のことを「おせち」と呼ぶようになりました。これは正月三が日は釜戸を守る荒神様を休ませるためとか、料理の際に出る「灰汁(あく)」は「悪」につながり縁起が悪いから新年の始まりは避けるためとか、諸説あるようです。

旧暦の頃は大みそかの夜からが新年

 では、なぜ北海道では大みそかから食べられるようになったのでしょう。北海道博物館学芸主査(民俗)の尾曲(おまがり)香織さんによると、「旧暦の頃は、時間の感覚が現在と違っており、日が暮れると翌日になると考えられていました。大みそかも暗くなったらもう翌年のお正月でした。新暦が使われるようになっても、大みそかの夜におせちを食べる風習が北海道に残ったのが通説」と言います。なぜ、その風習が残ったのかは謎だそうです。

 大みそかにおせちを食べる風習は、北海道のほか、東北、九州、四国の一部にあるそうです。ちなみに沖縄にはおせち料理はありません。

・・・・・・・

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1089465/


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「第15回ウレㇱパ・フェスタ」を開催します - 基調講演は香山リカ氏

2024-11-23 | アイヌ民族関連

札幌大学 2024年11月22日

一般社団法人札幌大学ウレシパクラブでは12月15日(日)に、「第15回ウレシパ・フェスタ」を本学プレアホールで開催します。
ウレシパ・フェスタとは、アイヌの学生と和人の学生がアイヌ文化を共に学ぶ 「ウレシパクラブ」による1年間の活動報告や、舞踊の披露などを通じてアイヌ文化を発信するイベントです。ウレシパクラブが発足した2010年から毎年継続して開催しています。

15回目の開催となる今年は、基調講演のゲストに香山リカ氏(むかわ町国民健康保険穂別診療所副所長/北洋大学客員教授)をお迎えし、「人権と差別について考える――マジョリティとして、精神科医として」をテーマにお話いただきます。なお、本講演は、令和6年度受託研究「アイヌ文化伝承に係る実践的研究」の一環として実施しますが、ウレシパ・フェスタの基調講演としても一般公開します。
そのほかに、学生によるアイヌ民族伝統芸能の披露や、動画での活動報告などのプログラムを予定しています。さらに展示スペースでは、アイヌ文化や同クラブの活動に関するさまざまな展示を行う予定です。

事前申し込み不要、入場無料ですので、ぜひご参加ください。

開催日時

2024年12月15日(日) 13:00~16:45(開場 12:00)

会場

札幌大学プレアホール(SUcole1F)

15回ウレシパ・フェスタ

問い合わせ先

学術支援課
TEL:011-852-9168

https://www.sapporo-u.ac.jp/news/lecture/2024/11220242.html


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大正13年(1924年)創業の呉服屋「田巻屋」、次の100年を見据えた記念事業、オリジナルアイヌ文様のブランド「AYNU to アイヌト ~アイヌト 清澄白河~」

2024-11-23 | アイヌ民族関連

2024年11月25日(月)発売

株式会社田巻屋 2024年11月22日 17時40分

呉服・デニム着物・和雑貨・祭り用品などを扱う、株式会社 田巻屋(本社:東京都江東区、代表:田巻雄太郎)は、

2024年11月1日(金)をもちまして、創業100周年を迎えました。

東京・深川と北海道深川市の繋がりから、100周年記念事業として2024年11月25日(月)より、オリジナルアイヌ文様商品 「AYNU to アイヌト ~アイヌト 清澄白河~」を、当社直営店及び当社ECサイトにて販売開始いたします。

今回は第1弾として様々なシーンで活用可能な帯(角帯・半幅帯)、和雑貨、デニムのラインナップを用意しています。

【URL】 田巻屋オフィシャルオンラインショップ 「AYNU to アイヌト」

 https://tamakiya-online.com/?mode=grp&gid=3032014

  • アイヌ文様と着物文化の融合 「 AYNU to アイヌト 」

北海道アイヌ民族に、古から代々脈々と受け継がれてきた「アイヌ文様」。 

アイヌの人々は、自然界のあらゆるものに神を感じ、共に生きてきました。

アイヌ文様は、病気や災いの神々などからの魔よけとして、衣服や装飾品に施されたものです。

そそこには、自然界の神との共生で育まれた、圧倒的な存在感があります。

アイヌ文様を使用した着物関連のモノは、これまでほとんど前例がありません。使用にあたり厳格な決まり事も多くあります。

北海道深川市と縁がある東京・深川(清澄白河を含む地域)で取り組めないかと数年思案していたところ、北海道釧路市の阿寒湖温泉を拠点に、アイヌ文化を正しく伝えるためのコンサルティングや認証事業を行っている一般社団法人アイヌコンサルン (https://note.com/akan_ainucon/n/na988d3eb212f)の方との出会いがあり、所属クリエーター床みどりさんに、田巻屋オリジナルのアイヌ文様を制作していただくこととなりました。

アイヌ文化と呉服屋で培った着物文化の融合したモノ、「 AYNU to アイヌト 」 を発信していきます。

  • オリジナルアイヌ文様商品  「 AYNU to アイヌト 」

■半幅帯・角帯

オリジナルアイヌ文様をリバーシブルで使用できる半幅帯、角帯。幅広い用途にご使用が可能です。半幅帯は、赤/黒、ピンク/ライトグレー、青/白の3パターン、角帯は赤/黒、青/白の2パターンの展開です。長さは様々な帯結びを楽しめる長さとなっています。

半幅帯

サイズ:160×420(cm)

価格:10,000円(税別)

色:赤/黒、ピンク/ライトグレー、青/白
・角帯

サイズ:100×380(cm)

価格:9,000円(税別)

色:赤/黒、青/白

■和雑貨

巾着、ポーチなど様々な種類を展開。

人気商品のラインナップを製作しました。赤、青の2タイプの展開です。
価格:1,200円~(税別)

色:赤、青

日本製

■デニム

田巻屋のメインアイテムでもあるデニムシリーズ。

シリーズ第一弾として、高品質な倉敷デニムを使ったショルダーバッグ、ランチバッグの2タイプを

製作しました。デザインはそれぞれ2タイプの展開です。
価格:3,400円(税別)(2タイプともに)

色:インディゴ

  • 約5年間の構想期間を経て、アイヌ文様を使用した「 AYNU to アイヌト 」を製品化

当社はこれまでに、発売以来5,000枚以上販売したデニム着物シリーズなど、「ありそうでないもの」の商品を展開してきました。東京・深川と北海道深川市の繋がり、これまで着物や帯としてほとんど商品化されてこなかったアイヌ文様の魅力を、なんとか当社商品で形にできないかと模索していた中で、北海道釧路市の阿寒湖温泉を拠点に、アイヌ文化を正しく伝えるためのコンサルティングや認証事業を行っている一般社団法人アイヌコンサルン (https://note.com/akan_ainucon/n/na988d3eb212f)の方との出会いがあり、約5年の構想期間を経て、創業100周年目の節目に、オリジナルのアイヌ文様で商品の製造が叶ったことを大変嬉しく感じています。日本の着物文化の継承に微力ながらも携わる身として、着物の楽しみ方を提案していきたいと考えています。

商品開発担当 コメント

「アイヌ文様には厳格なルールがあります。例えば、文様には必ず“起点”と“終点”のデザインがあることです。起点と終点がない状態で文様が途切れることは認められません。ところが、製造の過程で、商品の全てに、起点と終点を綺麗に出すということはかなり難しく、そのアイデアをメーカーの方と何ヶ月も試行錯誤しながら製品化してきました。それ以外にも、使用に際しては細かいルールがありますが、今回の製品化は、条件を満たしておりますので、正規のアイヌ文様商品として安心してご利用いただけます。」

【商品開発担当 田巻小百合】

  • 田巻屋でこれまでに展開してきた商品・サービス

前述の通り、当社では「ありそうでないもの」をモットーに商品を展開してきました。

これまでの商品・サービス例

・着物をもっと身近に!「デニム着物シリーズ」

デニム着物、羽織、袴、振袖、浴衣、子供用デニム着物・羽織・袴・被布、ペット用デニム着物 など

https://tamakiya-online.com/?mode=cate&cbid=2573601&csid=0

・セルフフォトスタジオstudio YAGURA

https://studio-yagura.com/

・オンライン着物レンタルサイト いろのわ着物サロンby 田巻屋

https://ironowa-kimono-salon.com/

・田巻屋オリジナル 鯉口シャツ

https://tamakiya-online.com/?pid=161593338

・田巻屋オリジナル 愛犬用袴

https://tamakiya-online.com/?pid=145664979

  • 株式会社 田巻屋 について

2024年11月1日に100周年を迎えた、大正13年創業の呉服屋。深川清澄白河本店、砂町銀座店の2 店舗で着物、浴衣、祭り用品、和雑貨等、多数の商品を取り扱う。発売以来5,000枚以上販売したデニム着物シリーズは着物・羽織・浴衣等を展開し、国内だけでなく国外の方にも大変好評。

また、2024年4月、深川清澄白河本店の隣にセルフフォトスタジオ「studio YAGURA」と、オンライン着物レンタルサイト「いろのわ着物サロンby田巻屋」をオープンし、新しい日本文化を世界に発信するとともに、日本人にも着物の素晴らしさの再認識に取り組んでいる。

ご挨拶

おかげさまで2024年11月1日をもちまして、田巻屋は創業100年を迎えました。

関東 大震災の翌年に祖父が開業して以来、東京大空襲で2度目の焼け野原になったこの深川の地で、街の変遷とともに、大正、昭和、平成、令和の時代を歩んで来ることが出来ました。

ひとひとえにお客様のお力添えあってのことでございます。   

時代とともに街は大きく変わり、寺町である清澄白河は新旧の様々な店が調和し、近年はカフェとアートの街として親しまれるようになりました。砂町銀座は日本有数の商店街であり続けています。

田巻屋はこの間一貫して、様々なお祝いのお手伝いをさせていただき、祭り用品を通して地元の皆様に密接なお付き合いをしていただいています。また現在は国内外問わず、

遠方より多くのお客様にお越しいただいており、東京の下町らしさを楽しんで

いただいています。

着物、祭りという日本の伝統文化を守っていくとともに、日々変化する環境の中でお客様に興味を持っていただける、面白いな、粋だな、可愛いなと思って貰える商品、サービスの提供をつねに心がけて参ります。

これからの100年も、いつも立ち寄る店ではないけれど、お祝い事、祭り、贈り物、お出かけの際等、何かあった時に思い出していただき、立ち寄って頂ける店であり続けたいと思っています。

代表取締役 田巻雄太郎

田巻屋

チャンネル登録者数 13人

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000150599.html


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台湾の先住民族選手「ギリギラウ」と紹介 要望受け原語に近い発音で 野球のプレミア12

2024-11-23 | 先住民族関連

産経新聞 2024/11/22 14:27

野球の国際大会「プレミア12」のベネズエラ戦で、試合前に紹介される台湾のギリギラウ(右)=21日、東京ドーム(ゲッティ=共同)

野球の国際大会「プレミア12」で22日、台湾代表の先住民族パイワン族の選手名が、先住民族団体の要望に沿う形で、テレビ中継や東京ドームでの場内アナウンスで原語の発音に近い「ギリギラウ」と紹介された。これまでの中継では、漢字表記を日本語の音で読んだ「キチリキキチロウ」とされていた。

台湾プロ野球の味全に所属し、昨年まで2年連続で本塁打王となったギリギラウ・コンクアン選手で、漢字では中国語読みの発音が近い「吉力吉撈鞏冠」となっている。台湾の団体「原住民族青年陣線」が21日までに「原住民族の選手とその命名文化」を尊重するため、呼び方の見直しを求めた。台湾紙、自由時報(電子版)によると、同選手本人も、日本語の音読みは誤った呼び方だとの認識を示した。

https://www.sankei.com/article/20241122-NIHHG4DFPJMTXHMHHXSTY77NF4/


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名前が話題の台湾野球選手、本来の読み方に想い  名前を取り戻してきた「台湾原住民族」の歴史

2024-11-23 | 先住民族関連

東洋経済 2024/11/22 14:00

許 仁碩 : 北海道大学メディア・コミュニケーション研究院助教

11月21日のベネズエラ戦で東京ドームに来たギリギラウ・コンクアン(giljegiljaw kungkuan)選手(写真:Getty Images)

11月16日、世界野球プレミア12予選グループBの日本対台湾の一戦は、3対1で日本が勝利した。この試合では日本の勝利だけでなく、台湾のある選手が日本の一部メディアやSNSで注目を集めた。

その選手とは代打で出場したギリギラウ・コンクアン(giljegiljaw kungkuan)選手だ。台湾で2年連続ホームラン王に輝いたことがあるギリギラウ選手は、台湾原住民族(台湾先住民※)のうち2番目に人口が多いパイワン族出身だ。

※台湾の先住民は後述するように「台湾原住民族」を自らの呼称として主張し、それが認められてきた経緯がある。本記事ではそれを尊重し、台湾先住民を指す際には原則として「台湾原住民」を用いる。

長年認められてこなかった自分たちの名前

ギリギラウ選手が注目を集めた理由は、日本語の実況やニュースで読み上げられた名前にある。彼の登録名は本来の名前の発音に漢字を当てた「吉力吉撈・鞏冠」と表記されている。そのため、一部の日本メディアは漢字表記をもとに「キチリキキチロウ・キョウカン」と発音した。日本の野球ファンにとって馴染みがない独特の響きが話題となり、一時SNS上でトレンド入りした。

ただ、「キチリキキチロウ」読みは名前の本来の発音から大きくかけ離れている。日本での反響は台湾メディアでも報じられた。それを受けて台湾の原住民族団体「台湾原住民族青年公共参与協会」などは20日に日本メディアへ公開書簡(声明)を送付した。声明では日本メディアにパイワン語の発音に沿った「ギリギラウ・コンクアン」での呼称を提案している。

台湾原住民族が名前やその発音について声明を出してまで理解を求めるのは、長い間氏名が尊重されてこなかった歴史的背景と、その状況を是正しようと氏名に関する権利の回復を目指して、それをようやく勝ち取ったという強い想いがあるからだ。

台湾原住民族は、フィリピンやインドネシアの先住民族と同じオーストロネシア語族(南島語族)に属する。従来は集落単位で暮らしていたので、「民族」という概念はなかった。日本植民統治時代以降、日本政府は平地と山地に住む人たちをそれぞれ「平埔族」と「高山族」(後ほど「高砂族」も用いられた)と呼称。さらに日本の人類学者によって、「高山族」を7民族に分類した。

よそ者に勝手につけられ、強要された名前

戦後、台湾を統治するようになった中華民国政府は「高砂族」の呼び方を「山地同胞」に変えた。ただ、民族名についてはおおむね日本政府のものを引き継いで用いた。そのため、当事者である原住民族は、日本や中国という外部から来た統治者によって勝手に「あなたたちは◯◯族だ」と決めつけられた状態が続いた。

さらに個人の氏名についても日本政府と中華民国政府はともに同化政策を推進したために各時代で日本名、漢族名を強要した。その結果、原住民族の人たちは漢字表記かつ「姓+名」の形式で戸籍を登録させられた。その中では役所の都合で本人も知らないうちに適当な名前につけられたことも多かった。

原住民族にとって名前は文化や社会に深く根付いている。例えば、台湾原住民族団体の声明によれば、パイワン族の場合に「ギリギラウ」は個人名、「コンクアン」は「家屋名」である。

「家屋名」は「家族が住んでいる『屋』の名前」である。もしギリギラウ選手は家族と一緒に暮らしていた「家屋」を離れて、自分の「家屋」を建てた場合、「ギリギラウ」の後ろにつく「コンクアン」も新たな「家屋名」に変わることになる。由緒が正しい「家屋名」を継ぐことは、パイワン族にとって非常に誇らしいことだ。

他にも父親または母親の名前を継ぐ連名制など、原住民族はそれぞれの想いを名前に込めている。しかし、日本植民統治時代から続いた同化政策によって、付けられた漢名を受け入れざるを得なくなり、伝統名に込められる伝統文化との絆も失いつつあった。

日本が第2次世界大戦で敗戦した後、台湾では1990年代まで中国から台湾に撤退した中国国民党による一党独裁体制が続いた。「山地同胞」と呼ばれる原住民族も、同化政策や経済格差、差別に苦しんだ。

民主化と同時に進んだ原住民族の権利回復運動

1980年代に台湾で民主化運動が本格化すると原住民族も奪われた権利を取り戻すために動き出した。自分たちの名前を取り戻そうとする「正名運動」をはじめ、台湾に本来居住していた先住民族としての権利を訴える先住権運動が広がった。

先住権運動を始めるにあたり、原住民族内では「山地同胞」に代わる自分たちの呼称を検討した。植民統治時代につけられた「高砂族」は論外とされたが、日本語由来の「先住民族」は候補に上がった。しかし、「先」が中国語では「すでに滅びた」ことを意味するために却下された。最後は「もとから住んでいる人々」という意味がある「原住民族」に決定。権利回復の訴えが徐々に認められた結果、1990年代の法改正によって「原住民族」は正式名称になった。

各部族名についても政府につけられた9つの族名ではなく、自分たちの本来の族名を回復する運動が広がった。現時点で公式に認定された民族数は16民族に増え、現在も族名の回復や認定手続きが続いている。

台湾原住民族の個人名も1994年から戸籍に伝統名を登録できるようになった。しかし、登録は中国語の漢字で登録しなければならないため、実際に登録されたのは伝統名の「当て字」にすぎなかった。

そのため、ギリギラウ選手も自分の名前を「吉力吉撈・鞏冠」という本来の発音とは異なる漢字で表記せざるを得なかった。原住民族は中国語の当て字ではなくアルファベットを用いて本来の正しい発音を登録できるようにも訴えて続けてきた。そして2024年5月の法改正によって、ようやく戸籍上に伝統名をアルファベットのみで登録できるようになった。

制度上は伝統名を回復できるようになったが、社会に浸透するにはなおも高い壁が立ちはだかる。台湾の政府統計によると、2012~2018年までに伝統名の回復を申請した人数は、原住民族の5%しかいなかった。差別を受ける恐れや周囲に迷惑をかけたくないとの気持ち、手続きが面倒、漢名に慣れてしまったなどの理由で、多くの原住民族は漢名のままで生活を送ることを選んでいる。

日本プロ野球でも活躍してきた郭源治氏、陽岱鋼氏、宋家豪氏、古林睿煬氏などの台湾出身選手も原住民族である。ただ、漢名であることもあり、日本では彼らが原住民族であることはあまり知られていない。そして彼らの伝統名は日本だけではなく、台湾でもほとんど知られていない。

【2024年11月22日19時08分追記】初出時の表記に誤認があったため、上記の通り修正しました。

社会の壁に立ち向かうギリギラウ選手

今の台湾社会でも伝統名を回復した原住民族はしばしば「変な名前」、「意識高い」という眼差しを浴びせられる。11月16日に行われた日台戦の翌日(17日)、台湾メディアはギリギラウ選手に名前が日本で話題になったことについて質問した。ギリギラウ選手はカメラに向けて明確に自身の名前の呼び方について「ギリギラウ・コンクアン(giljegiljaw kungkuan)」と2回発音した。

困惑気味になった記者は「もっと簡単な呼び方はないか」と聞いた。その質問を受けて、ギリギラウ選手は一瞬、眉をひそめてから、「ギラウ(giljaw)でもいいです」と答えた。

ただ、「ギラウ」は親しい友人や家族が呼ぶ名前で、本来は公式の場で用いるべき呼称ではない。つまり、台湾メディアの記者ですらギリギラウ選手の名前の正しい発音を視聴者に紹介するより「長い、珍しい、読みにくい名前」をネタとして扱っているとしか見えないやりとりだった。

ギリギラウ選手は、社会の壁に毅然と立ち向かっている。2012年からアメリカでプレーしていた際には、2019年にマイナーリーグでの登録名を「giljegiljaw kungkuan」に変更。アメリカでプレーした台湾原住民族選手の中で、初めて伝統名で登録したのはギリギラウ選手である。

そして2021年に台湾に帰国し、台湾プロ野球史上初の伝統名で登録する選手となった。台湾のプロ野球チームでの入団式では「(当て字である)漢字で登録しているが、パイワン語の発音で私を呼んでください」とファンにお願いしていた。

2023年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)予選でホームランを放って活躍した際に、台湾メディアも今回の日本社会と同様に「珍しい名前」、「読み方に困惑」と取り上げた。報道に対して、ギリギラウ選手の父親は「中国語の当て字ではなく、パイワン語で息子の名前を呼んでほしい。ギリギラウ・コンクアンは美しい名前ではないか、ぜひ母語で読んでほしい。いつもメディアの皆様にそうお願いしている」と訴えた。

ギリギラウ選手は決してひとりぼっちではない。彼が所属する台湾の味全ドラゴンズのチームメートの中にも、Villian Isnangkuan(ヴィリャン イスナンクァン)選手やMasegesege Abalrini(マスグスグ アバレイニ)選手、Namoh Iyang(ナモー イヤン)選手など、伝統名でプレーする原住民族選手は増えている。ありのままの伝統名を背負ってプレーする選手たちの姿は、多くの原住民族に勇気と誇りをもたらしているだろう。

https://toyokeizai.net/articles/-/841979?display=b


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「着実に政策進める」 伊東地方創生・アイヌ施策担当相 ウポポイを視察  白老

2024-11-23 | アイヌ民族関連

苫小牧民報2024/11/22配信

 伊東良孝地方創生・アイヌ施策担当相(75)が21日、就任後初めて白老町のアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」を訪れた。慰霊施設や国立アイヌ民族博物館などを視察し、来年7月に開設5周年を迎えるウポポイについて「内閣官房、国土交…

この続き:614文字

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https://www.tomamin.co.jp/article/news/area2/155504/


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国連COP29の行動宣言に、初めて観光産業が盛り込まれる、50か国以上が署名

2024-11-23 | 先住民族関連

トラベルボイス 2024年11月21日

アゼルバイジャンの首都バクーで開かれている第29回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP29)で、世界の観光産業をより環境に優しいものにするための行動宣言に50か国以上の政府が署名した。国連は、大きな成果であると評価している。

UNツーリズム(国連世界観光機関/UNWTO)のゾリツァ・ウロシェビッチ事務局長は記者会見で「COP29で、国連気候変動対策会議の行動アジェンダに初めて観光産業対策が盛り込まれるという歴史的な節目を達成した」と語った。

観光産業は世界の国内総生産(GDP)の3%を占め、温室効果ガス排出量の8.8%を占めているという。今回の「観光における気候変動対策強化に関するバクー宣言」に署名した国は、国が決定する貢献(NDC)などの気候変動対策を策定する際に、観光分野に配慮する必要性を認識することが求められる。

観光産業は、特に新興国では政府の外貨収入の大きな割合を占めることが多く、ハリケーン、熱波、干ばつなどの気象現象の影響を大きく受ける。

ホテル業界の国際団体「ワールド・サステナブル・ホスピタリティ・アライアンス」も、今回の宣言採択に際し、産業全体の温室効果ガス排出、水消費、廃棄物、エネルギー使用などのデータを測定・報告するための取り組みを提示した。

※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

https://www.travelvoice.jp/20241121-156695


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