先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

訪日客の関心はどこに 帯広で体験型観光セミナー

2024-11-16 | アイヌ民族関連

安達杏奈 有料記事

北海道新聞2024年11月15日 22:09(11月15日 23:06更新)

ツアーを組む時期や関心の高い観光について学んだアドベンチャートラベルのセミナー

 アドベンチャートラベル(体験型観光、AT)を学ぶセミナーが13日、帯広市内の帯広経済センタービルで行われ、訪日客の関心が高いツアーなどについて理解を深めた。

 北海道観光機構が主催し十勝管内の旅行会社社員ら計34人が参加した。

 北海道アドベンチャートラベル協議会の菊地敏孝事務局長(53)は、十勝では行政と民間をつなぐ中間的な団体が少なく、過去のATで広域周遊ルートを組むのが困難だったと指摘。訪日客が各地に植生する植物の違いからアイヌ民族の伝統家屋「チセ」を造る材料が違うことに興味を持った事例を紹介し「異文化の背景にある自然環境を学ぶのも重要」と話した。

・・・・・

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1088853/


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余市が生んだ名ドラマー回顧 高橋利克さんしのぶ展示会 町図書館にドラムセットや衣装など22点

2024-11-16 | アイヌ民族関連

伊藤圭三 有料記事

北海道新聞2024年11月15日 17:44(11月15日 18:22更新)

名ドラマーとして知られた高橋利克さんの展示会を企画した妻のゆかりさん

 【余市】沖縄の人気バンド「喜納昌吉&チャンプルーズ」の元ドラマーで、余市町で暮らし、2015年に交通事故で56歳の若さで亡くなった高橋利克さんをしのぶ展示会が、町図書館で開かれている。没後10年を前に、企画した遺族や音楽仲間は「音楽を通して、沖縄と北海道の架け橋となった名ドラマーがいたことを忘れないで」と来場を呼びかけている。

 高橋さんは余市出身。地元の高校卒業後に上京して音楽活動を始めた。その後、「ハイサイおじさん」などのヒット曲で知られる喜納昌吉さんのバンドに加入。喜納さんと一緒に沖縄で音楽活動を続け、1991年には「花~すべての人の心に花を」でNHKの紅白歌合戦に出場した。

 バンド脱退後、2013年に帰郷。実家の農業を継ぎ、音楽活動を続けていたが、15年3月に小樽市内の国道で事故に遭い、帰らぬ人となった。

 歌うようなドラムは多くの人の心を打ち、「北海道で新たな音楽を生み出したい」と誓った直後だったという。札幌在住の音楽家で、アイヌ文様の切り絵作家としても活躍するToyToy(トイトイ)さんは「事故の直前、自宅の納屋に機材を持ち込んで録音し、僕のアルバム『ramu(ラム)-想(おも)う-』に参加してくれた。最高の演奏を残してくれた」と、早すぎた死を惜しむ。

・・・・・・

 12月29日まで(毎週月曜、11月30日休館)。無料。問い合わせは同館、電話0135・22・6141へ。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1088630/


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<私の推し 藤戸竹喜の世界展から>④詩誌「フラジャイル」主宰・柴田望さん(48)は樹霊観音像=1969年 文化と技術、連鎖し昇華

2024-11-16 | アイヌ民族関連

菅沢由佳子 有料記事

北海道新聞2024年11月15日 10:18

樹霊観音像=1969年(露口啓二撮影)

 紀元1世紀ごろのインドで作られるようになったといわれる仏像と、アイヌ民族の木彫りという、時代も場所も全く異なる文化が出合ったような作品です。

 「樹霊観音像」を彫る際、藤戸さんは京都や奈良でたくさんの仏像を見て回り、目に焼き付けたそうです。その学びが、お父さんから受け継いだアイヌの技術に取り込まれ、作品の世界が広がっていったのでしょう。

 私は会社員として働きながら、旭川市を拠点とする詩人グループ「フラジャイル」を主宰しています。詩人が言葉を選ぶ時、それまで詩人が読んできた本と、その本が書かれる際に土台となった他の本の影響が無限に連鎖しています。観音像を契機とする藤戸さんの作品の広がりに、詩や文学が生まれる瞬間との共通点を感じました。

 ・・・・・・

(聞き手・菅沢由佳子)

=おわり=

 「藤戸竹喜の世界展」は道立旭川美術館で17日まで。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1088421/


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アイヌ文化と現代アートが交わる「阿寒アイヌアートウィーク」が開催

2024-11-16 | アイヌ民族関連

AXIS2024年11月15日

北海道の大自然があふれる阿寒湖を舞台に、アイヌの工芸と現代アートの融合を体感できる「阿寒アイヌアートウィーク」が、2024年11月23日(土・祝)から12月15日(日)まで開催される。

阿寒湖アイヌコタンは、約120人が暮らす北海道でも有数のコタン(集落)である。アイヌの「すべてのものに魂が宿る」という信仰のもと、北海道の雄大な自然と共存し、豊かで神秘的な精神世界を築いたアイヌの文化や歴史を受け継ぎながら、触れ合う・つくる・食べる・受け継ぐ・解き放つ・自然と生きるといった体験を提供している。

阿寒湖アイヌコタン

今回は、阿寒湖アイヌコタンや阿寒湖温泉を中心に、観光スポットや文化施設、屋外施設などを会場として展開。アートプラットフォーム「ガスアズインターフェイス」を率いる西野慎二郎がキュレーションした国内外の現代アーティストたちが、阿寒湖温泉・阿寒湖アイヌコタン周辺でのフィールドリサーチや滞在制作を経て制作した新作を発表する。

阿寒湖アイヌの歴史と物語に触れるステージプログラム
「満月のリㇺセ」

「阿寒ユーカラロストカムイ」

「古式舞踊」

自然散策とものづくり体験でアイヌ文化を体感するガイドツアー
「Anytime, Ainutime!」

さらに、先祖やカムイ(神格をもつ霊的存在)への敬意を表す木彫や刺繍、古式舞踊など、アイヌの伝統と進化を紹介し、アーティストたちの新作を披露するほか、自然散策による体験ツアーや舞台芸術など、盛りだくさんのプログラムを用意する。

野草や野菜を混ぜ合わせるアイヌの郷土料理「ラタㇱケㇷ゚」のように、創り手の魂と魂、伝統芸術とアートの交流を楽しむ阿寒アイヌアートウィークは、創り手どうしの新たな交流を生み出し、伝統と文化を次の100年へと繋ぐ貴重なイベントになるだろう。

阿寒アイヌアートウィーク

会期 2024年11月23日(土・祝)~12月15日(日)

入場 無料

会場 北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉 阿寒湖アイヌコタン周辺

出展アーティスト

秋辺日出男、井上綾子、岡田 実、郷右近富貴子、斉藤政輝、下倉洋之、平良秀晴、瀧口健吾、床州生、西田香代子、平間 覚、Pete Toshi、簗瀬秀夫、渡辺澄夫(50音順)

文化交流プログラム参加アーティスト

磯崎道佳、加々見太地、MSHR、山口みいな+木下真紀(50音順)

詳細 https://akan-ainu-artweek.jp/

https://www.axismag.jp/posts/2024/11/619174.html


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メタバースでツナガル北海道「EZONE(エゾーン)」12/14(土)開催!

2024-11-16 | アイヌ民族関連

北海道がお届けするメタバース交流イベント。第2回目の今回は、WINTER EVENT!冬の北海道を体感できる空間の登場など、第1回時よりもグレードアップした新感覚ワールドに!

The360株式会社 2024年11月15日 15時00分

北海道では、12月14日(土)に、メタバースを利用したバーチャル空間での交流イベント『メタバースでツナガル北海道「EZONE(エゾーン)」~WINTER EVENT』(全2回中第2回)を開催します。

今回は「北海道×エンタメ!」をテーマに、ゲストトークショーには、札幌出身のタレントで元ファイターズガールの滝谷美夢さんをお迎えします。イベントのMCを務めるのは、エスコンフィールドスタジアムDJでもあるエバンズ・マラカイさん。トークショーを含め、1日イベントを盛り上げていただきます。

メタバース空間では、夏季の第1回開催時から、スキー滑走体験ができるZONEを新設。アイヌ文化や北方領土等を体感できるZONEもグレードアップして登場します。また、熊本県からは3Dくまモンが友情出演予定。

概要

●主催:

北海道 総合政策部 地域創生局 地域政策課

●イベント名:

メタバースでツナガル北海道 「EZONE(エゾーン)」

第2回 ~WINTER EVENT

●開催日時:

2024年12月14日(土) 

14:00~16:30(入退出自由)

●テーマ:

HOKKAIDO × エンタメ!

●開催場所:

メタバース空間(PC・スマホから利用可)

3D仮想空間プラットフォーム「Spatial」を利用します。

当日は、お申し込み後に送付する参加者用ページより、

会場となる空間へアクセスいただけます。

●参加料:

無料

詳細・申込はこちら

https://connect.pref.hokkaido.lg.jp/?utm_source=prtimes&utm_medium=referral&utm_campaign=ezone02

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000067790.html


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北海道の食材と食文化を、驚きのバリエーションで体感

2024-11-16 | アイヌ民族関連

poroco11/15(金)12:35

フランスやイタリアなどの海外で経験を積み、国内外で北海道の魅力を発信してきた塚田宏幸シェフが、’24年9月に自身のお店をオープン。札幌出身の塚田シェフは25歳で渡欧し、農家に住み込み食文化を学びました。帰国後は「テッラマードレ」参加や在ベルリン日本大使館等での調理を経験。「バルコ札幌」「coron」シェフを経て現オーナーシェフに。 アイヌ語の「ヨモギ」に由来した店名は、「先入観にとらわれることなく北海道の文化と自然に向き合いたい」という思いからだそう。        シェフとの距離が近いカウンター8席、メニューはおまかせコースのみの一斉スタートスタイル。でも、塚田シェフの持つやわらかな雰囲気で、まるでシェフの家に遊びに来たような心地よさの中、食事を楽しめます。今月のひと皿「赤平火をどりの炭火焼き」は、味噌の上澄みとフォンドヴォーをまとわせ、じっくりと焼き上げた地鶏『火をどり』と、アイヌのお酒「トノト」をモチーフに発酵させた稗(ひえ)のソースを合わせたメニュー。少し酸味のあるソースが、香ばしい『火をどり』の旨味をやさしく包み込み、深く忘れられない味わいに。コースの終盤に出てくる「季節のオハウ」。この時期はたっぷりの天然キノコ、イノシシやヒグマなどのジビエを合わせた鍋。アクセントに蝦夷山椒を。 アイヌ料理にも造詣が深い塚田シェフは、ジビエなどの力強い北海道食材だけでなく、随所に北海道の食文化まで表現。さらに欧州各国のエッセンスも自由に散りばめ、コースの間中、次に「何が」「どんな風に」出てくるのか、期待と驚きに満ちた体験ができます。おまかせコースは12,000円のみ(要予約)。合わせるワインは、ナチュラルワインを中心にしたペアリングセットもあり、ノンアルコールもひと捻りした品揃え。11月からはソムリエの池戸丈暁さんも加入して、ペアリングも楽しめます。ぜひ季節ごとに通いたい一軒です。円山公園駅から徒歩6分ほどにある路面店。店内には奥様の亜紗子さんが焼く自家製自然酵母使用のパン店「ASAO」がオープン。コースではこちらのパンも味わえます。

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/tjn_poroco/region/tjn_poroco-https_www.poroco.co.jp_newsreport_2952_


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「ゴールデンカムイ」杉元、谷垣、月島、鯉登の美しき肉体をご覧あれッ!! “スチェンカ”シーンがフィギュア化

2024-11-16 | アイヌ民族関連

アニメ!アニメ!11/15(金)18:30

『ゴールデンカムイ』プチラマDX ゴールデンカムイ スチェンカ!!(C)野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会

TVアニメ『ゴールデンカムイ』の名シーンを再現した、メガハウスによるスタチューフィギュア「プチラマDX ゴールデンカムイ スチェンカ!!」が登場。杉元佐一・谷垣源次郎・月島軍曹・鯉登少尉の4人を立体化したもので、プレミアムバンダイ、ジャンプキャラクターストア、あみあみ、アニメイトほかにて予約受付中だ。
『ゴールデンカムイ』は、「週刊ヤングジャンプ」にて連載された野田サトルによる大ヒットマンガを原作とするTVアニメだ。「不死身の杉元」の異名を持つ日露戦争の英雄・杉元佐一とその相棒となったアイヌの少女・アシ(リ)パを中心に、アイヌから奪われた金塊を巡る生存競争サバイバルを描く。
原作は「マンガ大賞2016」や「第22回手塚治虫文化賞」のマンガ大賞に輝き、既刊のコミックス全31巻でシリーズ累計部数は2,700万部を突破。足かけ8年にわたる連載が終了した今もなお多くのファンの心をつかみ続ける。TVアニメは2018年4月より放送された第1期を皮切りにシリーズ展開しており、実写映画化も果たした。2024年10月より実写映画の続編にあたるドラマシリーズ版第1弾が放送され、TVアニメは計4期を経ての最終章を控える。
このたびの「プチラマDX ゴールデンカムイ スチェンカ!!」はそんな本作の名シーンを再現した、全高約112mmのハイクオリティなスタチューフィギュアだ。漢たちの意地と力がぶつかり合う格闘技“スチェンカ”に挑む、杉元佐一・谷垣源次郎・月島軍曹・鯉登少尉の4人が立体化された。
正面からはもちろん、360度どこから見ても迫力満点でその圧倒的存在感を楽しめる。風を切る拳に鍛え上げられた肉体、闘志昂る咆哮と、『ゴールデンカムイ』の魅力的な登場人物が結集された。作中の熱気まで伝わるこだわり抜かれた造形を、ぜひ手元でじっくりと堪能してみたい。
価格は税込みで9,900円で、2025年2月の発売が予定されている。お求めはプレミアムバンダイ、ジャンプキャラクターストア、あみあみ、アニメイトほかにて。
「プチラマDX ゴールデンカムイ スチェンカ!!」
ラインアップ:全1種
セット内容:彩色済みスタチューフィギュア
本体サイズ:全高約112mm
発売日:2025年2月発売予定
価格:9,900円(税込)/9,000円(税抜)
プレミアムバンダイ、ジャンプキャラクターストア、あみあみ、アニメイト他にて予約受付中です。
(C)野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/animeanime/entertainment/animeanime-87695


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NZマオリ党議員が議場でハカ。法案を引き裂き、先住民族の権利を捉え直す動きに抗議

2024-11-16 | 先住民族関連

ニュージーランドの統治方法を定めた「ワイタンギ条約」を捉え直そうとする動きに、先住民マオリの議員らが抗議した

ハフポスト2024年11月15日 12時24分 JST 

Satoko Yasuda 安田 聡子

国会議事堂での抗議の後、記者団の取材に答えるマオリ党のハナ=ラウィティ・マイピ=クラーク議員らvia Associated Press / 2024年11月14日

ニュージーランド議会で11月14日、先住民族マオリの権利を再解釈する法案に反対して、マオリ党の議員らがハカを踊って抗議した

【動画】マオリの権利を保障する条約を再解釈しようとする動きに抗議し、法案を破ってハカを踊る議員ら

この日、議会ではマオリとイギリス王室の関係などについて定めた「ワイタンギ条約」の解釈を捉え直す法案の初回審議が行われていた。

マオリ党は、マオリの人たちの権利保障を狭めかねないとして法案に反対しており、同党のハナ=ラウィティ・マイピ=クラーク議員が法案の書かれた紙を破った後、他の議員らとともに、マオリの儀式や戦闘に臨む際の伝統的な踊りであるハカを舞った。

ワイタンギ条約とは?

ワイタンギ条約は、1840年にイギリス王室とマオリの首長の間で結ばれた。この条約締結でニュージーランドはイギリス領となったが、マオリの土地や文化の継承が保障された。

しかし、ワイタンギ条約はマオリ版と英語版で異なる解釈をされ、土地の権利をめぐる紛争やマオリの抵抗運動にも発展してきた。

ニュージーランド政府は、条約の理念を守るために1975年にワイタンギ審判所を設置し、マオリの権利が徐々に回復されてきた。ワイタンギ条約には法的拘束力はないものの、条約の解釈は立法や政策の指針になっている

https://www.huffingtonpost.jp/entry/maori-haka-protest_jp_67368c2ae4b0a399b028d59a


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アンダマン海に浮かぶリペ島の土地問題(3) 海民ウラク・ラウォイッの〈先住民〉運動

2024-11-16 | 先住民族関連

SPF 2024.11.15 鈴木 佑記(国士舘大学政経学部准教授)

※本記事における見解は筆者個人のものであり、Asia Peacebuilding Initiatives:APBIの公式見解ではありません。

本記事は全3部作です。
第1回目『アンダマン海に浮かぶリペ島の土地問題(1):タイ南部の「秘境」』はこちら
第2回目『アンダマン海に浮かぶリペ島の土地問題(2):海民ウラク・ラウォイッの定住』はこちら

4.リペ島の観光開発と〈先住民〉意識の高まり

4.1.国立公園への登録

リペ島を含む51の島々がタルタオ国立公園として指定されたのは1974年のことである。これを契機として、それまでアダン諸島の複数の島の沿岸をキャンプ地とし、散在していたウラク・ラウォイッはリペ島とアダン島の一部に集住させられるようになった。初代タルタオ国立公園所長のブンルアン・サーイソーン[19]が、当時のアダン諸島は人口が増えて自然環境が悪化しつつあるのを懸念していたこと、また国立公園を訪れる観光客に海民の文化や儀礼を見てもらおうと考えたこと、それらがウラク・ラウォイッを特定の地に集めた理由であった[Darunai 2007:39, 43-44]。言葉を換えるならば、ウラク・ラウォイッの集住化は、アダン諸島内外の人の移動を規制し、島嶼域の森林・海洋資源を保全し、海民を観光資源として活用するための施策であった。約10年にわたってカナダとアメリカで国立公園と野生動物の管理方法について学んだブンルアンは、その知識をタイの国立公園管理に導入したものと思われる。
かくしてブンルアンの思惑通りとなる。アンダマン海に浮かぶ他の島々と同様に、国立公園指定をきっかけとしてリペ島に観光客が押し寄せるようになった。1980年に本土とリペ島を結ぶ定期船が開通すると島を訪れる人数も増えて、1983年から1984年にかけては、当時のリペ島の村長が7つのバンガローを建設して「リペ・リゾート」を開いた。観光客の増大とともに島内のインフラも整備されるようになり、1998年に最初のオートバイがリペ島に持ち運ばれ、2005年には50台以上が走るようになった[Narumon et al. 2016:15, 54]。筆者が初めてリペ島の地を踏んだ2001年は、まさにこれから大量の観光客を受け入れるために、本格的な観光開発が推し進められようとした時期だったのである(本連載第1回目の記事を参照)。
急激に観光開発が進んだリペ島ではあるが、それでも1980年代半ばまでは、船に乗って移動性の高い生活を営み、リペ島とアダン島の複数のビーチを拠点に生活するウラク・ラウォイッも少数ながらいたようである[Supin 2007:11]。逆説的にみれば、バンガロー等の宿泊施設が増え、オートバイがタイ本土から次々と持ち込まれるようになった2000年代には、ウラク・ラウォイッが自由に島嶼間を移動し、ビーチでキャンプ地を設けるのは難しくなっていったということでもある。ちょうどその頃、ディベロッパーがリペ島の土地を買い漁る動きが目立つようになっていた。

4.2.土地問題

リペ島の開拓者ト・キリーは、リペ島の沿岸一帯を、妻とその子どもたちに譲ったとされる。そうではあるが、土地保有を示す権利証[20]が手渡されたわけではなく、口頭で分配されたと考えられている。第2次世界大戦後はタオケーを中心とするタイ人がリペ島に流入するが、その数は少数であり、ウラク・ラウォイッが利用する土地であることに変わりはなかった。

【写真9】リペ島のウラク・ラウォイッ村落にあるトタンの壁面に絵を描いた家

リペ島で土地をめぐる問題が発生するのは島内のインフラが整備され始め、観光開発が本格化する2000年代前半以降のことである。土地の権利を主張するタイ人がリペ島に入り込み、法的な証書を金科玉条として、沿岸部に住むウラク・ラウォイッをどんどん内陸へ追いやっていったのである[21]。土地権利証を所有する者の中には、ト・キリーの子どもや孫もいた。ところが彼らは、観光開発により高騰した地価に心が揺らぎ、ディベロッパーへ売り払ったあと、リペ島を離れてタイ本土へ移住した。アダン島村学校(1958年設立)(本連載第2回目の記事を参照)で教員をしているウラク・ラウォイッ女性のセーンソムは筆者に以下のように語った。

ト・キリーの娘であるダーラーには5人の子供がいて、彼女がリペ島の土地の権利を子供たちに分配してから、おかしくなりました。特にダーラーの第1子である長男が問題人物です。年齢は70歳くらいになっていると思います。彼はダーラーから広大な土地の権利を相続していて、大半を売り払ってしまいました。彼はこれまでに、ナッタバンやチャーティパンサトゥーンなどと、頻繁に名前を変えてきており、現在彼が何を名乗っているのかはわかりません。おそらく、自分が悪いことをしているという自覚があって、他人に自分の来歴を辿られないようにしているのではないでしょうか。彼は土地を売り払った後リペ島を出て、今ではサトゥーンの町中に住んでいるという噂です。[22]

セーンソムが「おかしくなった」というのは、リペ島のウラク・ラウォイッ村落で土地問題が発生したことを意味している。現在進行形の問題の一つに、アダン島村学校に隣接した道が挙げられる。この土地は、レーヌー・タレーモーンという1974年生まれのウラク・ラウォイッ女性が代々利用してきた場所である。彼女の母方の祖父は、マヨムという名のト・キリーの息子であったが、どういうわけか、いかなる文書にも彼の名は記録に残されていない。2010年代に入ってから、民間業者がレーヌーに立ち退きを求めてリペ島に入ってきた。レーヌーは、「ト・キリーは私の祖父(マヨム)にここ一帯(学校周辺)の土地を相続したと母から聞かされています。しかし後になって、土地の権利証が祖父とは別の名前で登録されていることが分かりました。」と筆者に語った[23]。

2014年に入ると、民間業者はレーヌーの所有する敷地内に柵を立てて、道を塞ぐようになった【地図3参照】。内陸に追いやられたウラク・ラウォイッの子どもたちが、アダン島村学校への通学に利用する道であり、男性が出漁するため砂浜に出るための道でもある。当初は木製の柵であったそうだが、筆者の訪問時には鉄製のものに変わっていた【写真9】。観光客が押し寄せるようになったリペ島には、島外から多くのディベロッパーが入り込み、1世紀以上利用してきたウラク・ラウォイッが住まう土地さえ奪われつつあるのだ。このレーヌーが直面している土地問題は、これまでにもテレビやインターネットを通じて全国に報道されている。

そして2023年1月、ついに政府がこの問題に対処するためその重い腰をあげた。当時の首相プラユット・チャンオーチャーがタイ王国国家警察庁副長官のスラチェート・ハックパーン警察大将を委員長とする、「リペ島の海民の土地紛争問題に関する真実と情報を調査する委員会」を設置したのである[24]。スラチェートは天然資源環境省の国立公園・野生動物・植物保全局と海洋・沿岸資源局、それに内務省土地局と法務省特別捜査局と連携して捜査に乗り出した。すぐに現地入りし、関係者への聞き取りを行ったあと、まず行政村(タムボン)の自治体長を、職務怠慢を理由に更迭した。レーヌーの土地に民間業者が柵を設けた件に関して、ウラク・ラウォイッの村民から度重なる苦情を受けていたにもかかわらず、何も対処していなかったことを理由とする。

さらに調査を続けると、国立公園当局の許可なく不法に宿泊施設を運営している100以上の業者を割り出し、訴訟手続きに入った。2023年8月29日、スラチェートは記者に対して、今後裁判所を通して柵を取り除く命令を出すこと、違法に発行された業者の土地権利証を無効にすること、そして海民に土地を割り当てることを明言している[Transbordernews 2023/8/29]。しかしその後、2024年に入るとスラチェートのオンライン賭博への関与が警察委員で疑われて免職されたため、リペ島の土地問題解決に向けた取り組みは進展していない(2024年10月現在)。

4.3.3組織の連携

村落と学校、また村落と海をつなぐ、リペ島のウラク・ラウォイッにとっての生活道路が柵によって塞がれた事件、この土地問題を世間に知らしめるきっかけを作ったのは、タイ・コミュニティ基金、アンダマン海民ネットワーク、トランスボーダーニュースの3組織である。

タイ・コミュニティ基金が設立されたのは1992年のことである[25]。非営利型のいわゆるNGOであり、都市や地方に暮らす貧困層の生活の質を向上させることを使命としている。もともとは、立ち退きにあった困窮者や貧困者に対して水道や電気を供給する活動を行う4地方スラム・ネットワーク・グループという組織があり、そこから派生したのがタイ・コミュニティ基金だといわれる。設立時はアーバン・コミュニティ基金という名だったが、2002年に現在の団体名に変更した[26]。

タイは1980年代半ば以降、好調な経済成長を遂げて、主に都市部の開発が急激に進んでいた。そのためそれまで住んでいた土地から立ち退きにあうコミュニティが増えていた。また、地方から都市部へ出稼ぎにやって来る人たちが増え、彼らが住む場所が不足するという問題を抱えていた。それらの問題に対処するために、都市部の貧困層をターゲットとするプロジェクトを中心に進めていたが、活動の幅を徐々に広げ、地方でも業務を実施するようになった。そのため、都市部を意味するアーバンを団体名から取り払い、新たにタイを名乗るようになった。2004年12月26日にスマトラ沖地震が発生し、津波(以下、インド洋大津波)がマレー半島西岸一帯を襲い、甚大な被害が出た直後から、タイ・コミュニティ基金はタイ南部で活動を始めるようになった。この組織の重要人物は、2021年まで長きに渡りマネージャーを務めたプリダー・コンペンである[27]。

アンダマン海民ネットワークの設立年は2013年である[28]。モーケン、モクレン、ウラク・ラウォイッの3集団の海民を束ね、各コミュニティが抱える問題を外部に発信する役割を担っている。大本は、インド洋大津波後に設立されたナムケム村コミュニティ・ネットワークが核であった。ナムケム村はモクレンが多く住んでいる村として有名である。リーダーはマイトリー・チョンクライチャックというタイ人男性である。ナムケム村はタイで最も津波被害が大きかった地域であり、国内外からたくさんの支援団体が入っていた。支援に入ったNGO/NPOや政府機関はすべてナムケム村コミュニティ・ネットワークを通す必要がある。そのうちの一つにタイ・コミュニティ基金はあった。基金の指揮を執っていたプリダーはマイトリーとこの時に出会い、彼女は彼の仕事ぶりを評価するようになった。

こうして、タイ・コミュニティ基金はナムケム村コミュニティ・ネットワークを足掛かりとして、その他の海民コミュニティにも支援の手を広げていった。その過程で、タイ人のウィタワット・テープソンが頭角をあらわすようになる。彼が中心となり、各地の海民に呼び掛けて組織化をはかった。そうして設立されたのがアンダマン海民ネットワークである。そのような経緯があるため、アンダマン海民ネットワークの活動資金の一部は、タイ・コミュニティ基金からもたらされている。ウィタワットは、タップタワン村のモクレン・コミュニティの女性リーダーであるオーラワン・ハーンタレーと結婚して以降は、アンダマン海民ネットワークのコーディネーターとして獅子奮闘の活躍ぶりをみせている。なお、プリダーがタイ国家人権委員会の委員[29]に選出されたのを機に、タイ・コミュニティ基金のトップの座であるマネージャーの地位はマイトリーに承継されている。それが2021年のことである[30]。

トランスボーダーニュースは、2012年に設立された、非営利目的の独立系通信社である。30 年以上政治ニュースの分野で働いてきたジャーナリスト達によって共同設立された。タイを中心とする、国内外の社会的周縁者に焦点が当てられ、人権問題、少数民族が直面する資源利用の問題、立ち退き問題、民族偏見問題等、幅広いテーマで報道を続けている。これまでに、タイ国先住民評議会からマスメディア賞を2019年に受賞している。その他、2020年に公平なアジアのためのジャーナリズム賞、2021年にランシット大学よりサナンドン賞を受賞している。

トランスボーダーニュースで、主にタイ南部の動向を報道する記者がいる。タイ人男性のパーサコーン・チャムロンラートである。彼の義理の母は、タイ国家人権委員会の第3期委員を務めたトゥアンチャイ・ディーテート[31]である。実は彼女が第3期を終えた後、彼女のポストはプリダーに事実上譲られている。つまり、パーサコーンは義理の母を通じて、タイ・コミュニティ基金ともアンダマン海民ネットワークとも懇ろな間柄にあるわけだ。そのためか、パーサコーンは各地の海民が抱えている問題を頻繁に取り上げては、社会に積極的に発信している。タイ・コミュニティ基金やアンダマン海民ネットワークの動向も記事にすることが多く、3者の関係性の深さをうかがい知ることができる。

ここでようやく3組織がつながることになる。勘の良い読者はすでにお気づきであろう。リペ島の土地問題は、まずアンダマン海民ネットワークが問題を把握した。そしてその情報をタイ・コミュニティ基金とトランスボーダーニュースと共有する。筆者がインタビューをしたアダン島村学校の教員セーンソムは、アンダマン海民ネットワークの中枢にいる人物である。また彼女は、アンダマン海民ネットワークの実質的なリーダーであるウィタワットと肝胆相照らす仲である。リペ島の土地問題の記事がトランスボーダーニュースで初めて取り上げられたのが、民間業者が柵を立てた直後の2014年9月9日のことであった。トランスボーダーニュースの設立年が2012年、アンダマン海民ネットワークの設立年が2013年であり、2組織の連帯は初期から強固なものであったと想像できる。

4.4.海民集会

アンダマン海民ネットワークが近年力を入れているのが、各地に暮らす海民を一同に集めて毎年行う「海民集会」である。現在でこそ、海民集会の中心的役割を果たしているのはアンダマン海民ネットワークであるが、元をたどればチュラーロンコーン大学社会調査研究所所属の大学教員ナルモン・アルノータイに行きつく。彼女は、1993年にモーケンの暮らすスリン諸島で、9か月間に渡る人類学的フィールドワークを実施し、その成果を博士論文としてハワイ大学に1996年に提出している、タイの海民研究の第一人者である。

博士号取得後すぐにタイ随一の名門校チュラーロンコーン大学に奉職し、のちに「アンダマン・パイロット・プロジェクト(Andaman Pilot Project)」と呼ぶことになる計画をUNESCOと共に立ち上げた。当初は「タイ国、アンダマン海、スリン諸島、保護地域に暮らす先住民のための場所(A Place for Indigenous People in Protected Areas, Surin Islands, Andaman Sea, Thailand)」というプロジェクト名だったものが、次に「保護地域における先住民のための場所:アンダマン海岸域の先住民モーケンと国立公園当局のあいだで(A Place for Indigenous People in Protected Areas: The Indigenous Moken and Park Authorities along the Andaman Sea Coast)」という名前に変わり、最終的に「アンダマン・パイロット・プロジェクト」へと落ち着いた。プロジェクト名の変遷からわかるように、〈先住民〉が一つのキーワードになっていた。〈先住民〉としての海民という意識は、アンダマン海民ネットワークに引き継がれている。

第1回目の海民集会はナルモンが先導し、2010年10月6日から7日にかけて、パンガー県タクアパー郡役所の庁舎にて開催された。実は2010年は海民にとって記念すべき年である。同年6月2日に「海民生活再建政策指針」が閣議決定されたためである。その指針の要は、海民に土地所有を示す証書を発行し、国籍を付与するよう文化省を核とした関連省庁が動くこと、とまとめることができる。海民が特定の場所を長年利用してきた歴史的背景も考慮に入れて、海民の生活の場を確保すべきという考えが、指針で明確に示されている。つまり、海民の「先住性」を顧慮しようということである。国籍を付与する方針には、海民をタイ国民として保護し、問題を抱えている海民を法的に守ろうという意図がある。それは土地問題をも含む。

閣議で「海民生活再建政策指針」が決定された背景には、2007年に採択された「先住民族の権利に関する国際連合宣言(以下、国連宣言)」の影響が少なからずある。日本でも翌2008年に衆参両議院本会議で「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が採択されたように、先住民や少数民族の権利を保護すべきという国際的な潮流が世界中を覆い尽くした。ただし、国連宣言後に日本政府が自国の先住民の存在を認める動きをみせたのに対し、タイでは一貫して自国の先住民の存在を認めていない。そうではあるが、少数民族の「先住性」に配慮した政策を実施する必要性に迫られたのであった。

話を戻そう。海民集会は、「海民生活再建政策指針」が閣議決定された年を狙って開催された。指針内容には、海民研究者のナルモンが深く関わっており、集会開催に向けて水面下で激しく動き回っていた。ナルモンは集会に文化省副大臣、文化省秘書官、社会開発・人間安全保障省民族局局長、タクアパー郡郡長といった役人を招いた他にも、タイ改革会議、タイ・コミュニティ基金、CODIからそれぞれ代表者を呼んでいる。注目すべきは、タイ改革会議からは、のちの2015年にタイ国家人権委員会委員に選ばれることになるトゥアンチャイが、そしてタイ・コミュニティ基金からも2021年に同委員に選出されることになるプリダーが参加している点である。後年アンダマン海民ネットワークが設立され、タイ・コミュニティ基金やタイ国家人権委員会が海民の強力な後ろ盾となる種はこの頃から播かれていたわけである。

筆者が参加した第12回目の集会は、パンガー県タクアパー郡にあるモクレン村落タップタワンで2022年11月25日から26日にかけて開催された。会場にはタイ国家人権委員会第3期委員のトゥアンチャイ、第4期委員のプリダー、シリントーン人類学センター長、文化省監査室長、社会開発・人間安全保障省監査室長、パンガー県知事、パンガー県各郡役所の郡長らが列席していた。直近の13回目の集会は2023年11月25日から26日にかけてプーケット県タラーン郡にあるヒンルークディアオというモクレン村落で開かれた。ちょうどディベロッパーが村落周辺の砂浜を開発しようとしており、海民が近い将来砂浜を利用できなくなるという問題を抱えていた。集会にはタイ国家人権委員会委員のプリダーだけでなく、農業協同組合大臣も出席していた。

政治力のある役人を集会の場に呼び込めば、必然的にテレビや新聞などのメディアも報道せざるをえない。それをアンダマン海民ネットワークは狙っている。事実、第1回目の海民集会からナータヤーやタッパニーといった、タイで著名なリポーターが司会進行役を務めており、Thai PBS等のテレビ局が取材撮影に毎回やって来る。そして集会の場で、各地の海民が直面している問題がメディアを通じて対外的に発信される。そしてそこで海民が繰り返し訴えるのが、アンダマン海における自分達の「先住性」である。

以下は、筆者が12回目の「海民集会」に参加した際に、壇上で声を震わせながら語った、リペ島のアダン島村学校先生セーンソムの言葉である。2022年11月26日のことである。丸括弧内は筆者による追記である。

私たちは政府に対して、(民間業者が村落と学校の間に柵を設けた)問題を解決して欲しいと何度も訴えかけてきました。しかし、(政府の)問題解決の歩みはカメよりも遅いです。政府は、(柵が設けられた)この通路が100年以上も(ウラク・ラウォイッの)村民に利用されてきた事実を見ようとしていないのです。・・・中略・・・私たち海民は100年以上も(リペ)島を利用してきました。まだ人が誰も住んでいなかった頃からです。ラーマ5世王の時に、島をサヤーム(タイ)の領土とするため、(政府は)海民を島に住まわせました。それにもかかわらず、今になって政府は私たちを見捨てるのですか?私たちの涙は枯れ果ててしまいました。涙を出し尽くすまで、(これまでに何度も)声をあげてきたからです。ここ(リペ島)は海民にとって地獄のような場所になってしまったのです。

セーンソムの政府への痛烈な批判と訴えは、テレビを通して、またトランスボーダーニュースを通じて拡散された。多くのタイ人の耳にも届くことになり、果たして政府は、前述した「リペ島の海民の土地紛争問題に関する真実と情報を調査する委員会」を2023年1月に設置し、土地問題解決へと動くことになったのである。

アンダマン海民ネットワークという運動体、タイ・コミュニティ基金という資金源と政治的コネクション、トランスボーダーニュースというメディア、これら3組織が一体となってリペ島の土地問題を外部に発信しつづけた結果、行政を動かすことになったと考えて間違いない。リペ島のウラク・ラウォイッに代表されるように、近年タイでは、海民が自らをアンダマン海の〈先住民〉と捉え、土地や資源を利用する権利を外部に向けて訴える「先住民運動」が勢いを増してきている。

[19] 1933年6月2日、チェンマイ県生まれ。1958年にカセサート大学で森林学の学士号を取得後、農務省(現在の農業協同組合省)王立森林局に入庁し、1960年にはカオヤイ国立公園初代所長に就いた。その後、1963年から1967年にかけてカナダにおける野生動物・国立公園の管理状況を視察するとともに、アメリカ・グランドキャニオンのレンジャー・スクールにおいて訓練を受けた。一度タイへ戻った後、1969年からシラキュース大学大学院で学び、1973年に野生動物管理学の修士号を修得した。帰タイ後すぐに任命された仕事が、タルタオ国立公園の所長であった。

出典URL: https://www.facebook.com/KhaoYaiNationalPark1962/(最終閲覧日:2024年10月1日)

[20] 具体的に、どのような土地に関連する権利証であるのかは不明である。本記事は、筆者が2023年5月にリペ島で実施した複数のウラク・ラウォイッの人々への聞き取りをもとに構成しているが、氏名を記録に残さない条件で語ってくれた方もいる。また、土地に関連する権利証の具体的な話をしたがらなかったため、本稿では曖昧な記述となることを付記しておく。そのため、「土地保有を示す権利証」、「土地権利証」、「土地の権利証」などの表記が混在しているが、いずれも「土地に関連する権利を示す証書」という意味にとどめ、言及している。

[21] その際に、タイ人よりも早い時期にリペ島に移住したタオケーのタイ人が土地の権利を主張したかどうかは不明である。

[22] 2023年5月9日、アダン島村学校にて行ったインタビューによる。セーンソムによると、本記事で後述する村民の生活道路に柵が設けられた問題の他に、洪水の問題が深刻であるという。開発業者がリペ島に押し寄せるようになったのは、2004年発生のインド洋大津波後のことであった。次から次へと開発業者が入ってきて、リペ島のあちこちにホテルを建て始めた。その結果、それまで村落から水を排水していた場所が塞がれてしまい、村落の内側に水が溜まるようになり、毎年雨季になると村落全体が冠水するのだという。

[23] 2023年5月9日、アダン島村学校にて行ったインタビューによる。

[24] セター・タウィーシン首相の新政権下(2023年8月22日から2024年4月27日まで)も引き続き、同委員会の委員長を務めていたが解任された。

[25] アーバン・コミュニティ開発事務所(The Urban Community Development Office (UCDO))と同じタイミングで、同じ敷地内に設立された。タイ・コミュニティ基金と同様、当初は都市部のコミュニティ開発活動の支援を行っており、住宅を建てる際の低金利融資を行うための組織として活動していた。なお、UCDOは現在、コミュニティ組織開発機構(The Community Organizations Development Institute; CODI)という団体名で、タイ全国で幅広い活動を活発に行っている。ちなみに、CODIのパッタルン県支部代表であるスワット・コンペンはタイ・コミュニティ基金で長期間マネージャーを務めていたプリダーの夫である。

[26] 出典URL: https://chumchonthai.or.th/ chumchonthai(最終閲覧日:2024年10月1日)

[27] 2024年3月5日から11日にかけてスリン諸島で共同調査を実施したチュラーロンコーン大学社会調査研究所研究員のウサー・コートシーペートからの情報による。

[28] アンダマン海民ネットワークのFacebookページは、2017年3月13日から投稿が開始されている。Facebook上では、アンダマン海民ネットワークだけでなく、タイ・コミュニティ基金や後述するP-Moveの動向を知らせるニュースが投稿されている。

出典URL: https://www.facebook.com/sgannews/(最終閲覧日:2024年10月1日)

[29] タイ国家人権委員会は、広範にわたる人権問題を監視し、調査報告を公にすることで、人権尊重の考えを普及し、推進することを目的とする2001年に設置された機関である。委員は人権問題に関わる実務家や知識人の中から選出され、7年間の任期を務める。プリダーが選出された第4期は、一名の委員長と6名の委員で構成されている。

[30] 2023年8月2日にボンライ村(カオラック地域)で行ったオーラワン・ハーンタレーへの聞き取りによる。

[31] ピブーン・ソンクラーム政権時の首相秘書官、またサリット・タナラット政権下で首相官邸報道官だったカープ・クンチョーンを父に持つ。父の二人目の妻との間に生を授かった。チュラーロンコーン大学政治学部社会人類学科の第23期卒業生である。ラームカムヘン大学(2000年)、チェンライ地域総合大学(2014年)、タマサート大学(2015年)、ナレースアン大学(2016年)の4つの大学から名誉博士号を授与されている。かつて、2000年から2006年までチェンライ県の上院議員だった。チェンライ県は複数民族の山地民が暮らす地域のため、少数民族に関する事案を多く扱ってきており、その知識と経験を買われて、2015年にタイ国家人権委員会の委員に選出された。委員として活動する中で、アンダマン海民ネットワークやタイ・コミュニティ基金とも関係を深めていった。

出典URL: https://static.nhrc.or.th/file/content/document/25939/--1714370407.pdf(最終閲覧日:2024年10月1日)

アンダマン海民ネットワークやタイ・コミュニティ基金との関係を深めたという情報については、チュラーロンコーン大学社会調査研究所研究員のウサー・コートシーペートからの情報による。

https://www.spf.org/apbi/news/m_241115.html


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ニュージーランドで1万人規模のデモ、先住民マオリ支援縮小法案巡り

2024-11-16 | 先住民族関連

オルタナ11/15(金) 13:44

ニュージーランド(NZ)で、先住民マオリの権利保護を求めて、1万人規模のデモが起きている。右派の少数政党アクト党が、マオリの権利を定めたワイタンギ条約の解釈を見直す法案を発表したことがきっかけだ。マオリの権利を後退させるとして反対の声が上がっている。(オルタナ副編集長=吉田広子)

NZの先住民マオリは、総人口の約17%を占める。マオリの伝統的な踊り「ハカ」は、ラグビーのNZ代表が試合前に披露することで知られる。

マオリの権利を保障するワイタンギ条約は1840年に、英国王室とマオリ首長との間で締結された。NZのアクト党は、この条約がマオリの権利を過度に保護し、非マオリの人々を不利にさせるとして、解釈を見直す法案を発表した。

だが、マオリの平均寿命は非マオリより7年ほど短く、進学率や就職率も低いことから、マオリがさまざまな課題を抱えていることが指摘されている。

11月14日のNZ議会では、議員がハカを踊り、法案に抗議した。

法案に反対する人たちは、首都ウェリントンにあるNZ議会議事堂に向けて、ヒコイ(平和的な抗議行進)を続けている。現地報道によると、各地の集会には、数千人から1万人の人たちが集っているという。11月17日には数万人が議事堂周辺に集まる見込みだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/d9c2d0f9ab96f469cbed36c639b3f45c210f349d


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豪先住民の上院議員が英国王に「我々の土地を返せ」 守屋太郎

2024-11-16 | 先住民族関連

週刊エコノミスト2024年11月16日 有料記事

シドニーでは、建国記念日は「侵略の日」だとする集会も開かれた(2024年1月)(Bloomberg)

 来豪したチャールズ英国王を迎える式典が10月21日、首都キャンベラで行われたが、先住民アボリジナルのリディア・ソープ上院議員が国王に罵声を浴びせる騒ぎがあった。ソープ氏は「あなたたちは私たちを大量虐殺した。私たちの土地を返せ」と声を荒らげ、下品な表現でののしった。

 英国植民地だった豪州の元首は今も英国王。国民に慕われる国王への侮辱は無礼にもほどがある。ただ、植民地建設が侵略だったとの歴史認識に間違いはない。豪先住民は18世紀以降に駆逐され、免疫の…

残り341文字(全文567文字)

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20241126/se1/00m/020/048000c


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【早割1/22】ベネズエラ難民・国内避難民・先住民を取材しよう!『Global Media Camp in コロンビア』参加者募集

2024-11-16 | 先住民族関連

Ganas 2024-11-15

SDGsを提唱した国・南米のコロンビアで2025年3月、難民、国内避難民、先住民といった社会的弱者を中心に、日本語または英語を話す通訳(コロンビア人の若者)と一緒に取材してみませんか?

ご存知ですか? 世界人口の1%以上が難民・国内避難民であることを。コロンビアだけでなく、多くの国では先住民(もともといた人たちなのに‥‥)が追いやられていることを。

“取り残された人たち”のことを知るために、自らが「市民ジャーナリスト」になって現場に足を踏み入れ、彼らの声を直接聞いてみませんか? 取材に必要となる視点のもち方、質問の仕方、記事の書き方といったノウハウや現地の基礎知識は、同行するganas編集長から直接学べます(現地コーディネーター、通訳を務めるコロンビアの若者もサポートしてくれます)。

取材した内容は、参加者の署名記事として、途上国に特化したNPOメディア「ganas」のサイトで発信します。苦労して完成させた貴重な記事はご自身のポートフォリオとしても使えます。

こうしたことを実現できるプログラムが、グローバルサウス(途上国、新興国)にネットワークをもつganasが主催する『Global Media Camp in コロンビア』です。

アポ取り以外は、プロのジャーナリストとほぼ同じ動きをします。普通なら行けない場所に行け、会えない人と会え、しかも話をじっくり聞ける時間までもらえる。好奇心をどこまでも追求するプロセスは楽しくないわけがありません。

集中してインプット(取材)とアウトプット(記事執筆)を繰り返せば、コロンビアの知識が驚くレベルで深まり、また複眼的な見方もできるようになります。見えない(気づかない)ことが見える(気づく)ようになる――これが途上国を取材する醍醐味です。

コロンビアはまた、ニューヨークタイムズが発表した「2018年に行くべき52の場所」でも2位にランクインしました。なかでも、『Global Media Camp in コロンビア』の開催地となるメデジンは「世界で最も革新的な都市」に選ばれるなど、近年大きな注目を集めています。

パブロ・エスコバルやメデジンカルテルといった名前を聞いたことのある人もいることでしょう。メデジンはかつて、麻薬組織やゲリラが幅を利かせる危ない街でした。ところが、これまで誰もやらなかった画期的な治安改善政策を実行。その努力が実り、外務省の海外安全情報でも「レベル1」と東南アジア並みになりました。

南米、難民、国内避難民、先住民(インディヘナ)、麻薬組織との闘い、革新的な街、SDGsなどに関心がある社会人・学生にとっては現場を深く知る最高のチャンス。ジャーナリスト志望者にとっては実践を積む格好の機会になります。

2025年の春(3月)は1度しかありません。問題を抱えるだけでなく、魅力にもあふれたコロンビアを取材してみませんか? 通訳として協力してくれるコロンビアの若者たち(仲良くなります!)も皆さまを待っています。 

『Global Media Camp in コロンビア』の概要

◎場所:コロンビア・メデジン
◎期間:2025年3月22日(土)~3月31日(月)
*3月22日に現地集合(当日着の希望者に限ってメデジンの国際空港でお迎え)、3月31日に現地解散、9泊10日の現地研修プログラム
*フライトについてはご相談ください
◎費用:一般25万4800円、学生23万4800円
*渡航費(ジップエアなどを使えば2024年11月8日時点で往復22万円台から。航空券は早めに買うほうが安いです)、保険代(3700円台から)は含まれません
*含まれるもの:講習費、宿泊費、宿泊先と取材先の移動費、通訳の費用、その他取材費用、食事代(朝、昼、夕。飲み物やデザートなどは除く)
ganasサポーターズクラブのパートナーは3万円、サポーターは2万円の特別割引があります(早割との併用のみ可。このプログラムへのお申し込みと同時に、ganasサポーターズクラブに入会されても割引を受けられます。大変お得です)
*1月22日(水)までのお申し込みは「早割」として1万円割引(入金が完了していること)
*ご友人同士で申し込むと「友だち割」として、それぞれに5000円キャッシュバック(早割との併用のみ可)
*「学生」料金が適用されるのは、プログラム開始日の時点で大学・大学院・専門学校に在籍されている方。学生証の提示を求めることもあります
*特典として、2025年春に開講予定の「グローバルライター講座」(5万5000円相当)または「77日記者研修」(6万9000円相当)を特別に1万5000円で受講できます(ただしganasサポーターズクラブに入っている/入ることが条件)
◎〆切:2025年2月21日(金)
*2025年1月22日(水)までのお申し込みは「早割」として1万円割引(入金が完了していること)
◎定員:最大8人程度(先着順)、最少開催人数4人程度
◎事前研修:2025年2月下旬または3月中旬を予定(1回のみ。8時間程度)
*参加者の都合を優先し、日時を決めます。ご相談ください
*場所は東京・市ヶ谷のJICA地球ひろばを予定
◎報告会:2025年4~6月を予定(希望者のみ。記事を発信するだけでなく、プレゼンというアウトプットをする格好の機会になります)
◎主催:特定非営利活動法人開発メディア(ganasの運営団体)
◎問い合わせ先devmedia.ganas@gmail.com
◎詳しい説明資料:準備中(もうしばらくお待ちください)
◎『Global Media Camp』参加規約こちら
◎申し込み方法:お問い合わせいただければ申込書をお送りいたします。下のURLをクリックしてもダウンロードできます。ご家族とご相談のうえ、記入した申込書をメールでお送りください。
https://docs.google.com/document/d/1dzKBh4ae53qZ4BFwD_Vp7gWW2CcDWskO/edit?usp=sharing&ouid=117805614848569471035&rtpof=true&sd=true

途上国を取材し、記事を書き、それを発信する『Global Media Camp』は唯一無二のプログラムとして大きな支持を得てきました。2014年の春以来これまでに41回(9カ国12カ所)開いてきた実績があります。2025年春(2、3月)の開催地は、南米のコロンビア(メデジン)のほか、東南アジアのタイ(チェンマイ)と西アフリカのベナン(南西部のクッフォ県トタ村)を予定しています。

『Global Media Camp in コロンビア』の基本的なスケジュール(予定)と取材先候補

3/22(土)現地集合
3/23(日)取材
3/24(月)記事の執筆&フィードバック
3/25(火)取材
3/26(水)記事の執筆&フィードバック
3/27(木)取材
3/28(金)記事の執筆&フィードバック
3/29 (土)取材
3/30 (日)記事の執筆&フィードバック、フェアウェルパーティー
3/31(月) ふりかえり、現地解散(昼ごろを予定)

下のような取材先・テーマを候補として考えています(ご希望があればお気軽にお問い合わせください)。
↓↓↓
ベネズエラ難民、国内避難民(IDP)居住区、先住民保護区、スポーツを通して貧困地区の青少年を支援するNGO、ベレン図書館(東京大学が設計した、犯罪の減少に一役買ったコミュニティ図書館)、メデジン都市圏協力・投資局、グラフィックアートで観光地へと変貌を遂げた元スラム街、医療、教育、各種NGO、起業家、ユニークなコロンビア人など多数。

『Global Media Camp』に参加すると得する3つの理由

1)途上国を取材できる!

‥‥『Global Media Camp』は、途上国を本格的に取材でき、記事を書き、それを発信する唯一無二のプログラムです。スタディツアーのように、担当者からレクチャーをひたすら受けるのではありません。参加者自らが取材対象に自由に質問していきます(基本は英語を使います。コロンビアのみ日本語でも可能)。取材は、その国のことを短期間で少しでも深く、また多角的に知る手段のひとつ!

2)スキルアップできる!

‥‥『Global Media Camp』では新しい体験をするだけではありません。ネタ(良い話も悪い話も)や視点(切り口)を見つける力、情報を引き出すために質問する力、物事を掘り下げる力、要点をまとめる力、伝わる文章を書く力など“一生モノのコミュニケーションスキル”の向上を目指します。各回の参加者を最大8人に絞っているため、ganas編集長からマンツーマンでフィードバックを受けられます。頑張った証として、現地取材をベースにした「署名記事」が残ります。記事には1万以上の「いいね!」が付いたことも。ステレオタイプでない記事の発信にも意義がありますよね。

3)「複眼の視点」でとらえる!

‥‥「途上国=貧困 or 幸せ」などと決めつけていいのでしょうか? 物事に対する見方はさまざま。『Global Media Camp』では複眼の視点で物事をとらえる方法を学びます。世の中には自分が知らないこと、自分自身で無意識に決めつけてしまっていることがたくさんあります。取材も含め、現地の人と話す時間をたっぷりとっていますので、疑問を直接ぶつけてみてください。脱ステレオタイプを目指しましょう!

*過去41回(9カ国12カ所)の開催実績をもつ『Global Media Camp』はアウトプット重視のプログラム(毎日記事を書いてアウトプットします)です。アウトプットにこだわる理由のひとつは、話を聞くだけでは知識の定着率はわずか5%ですが、他人に教えた(伝えた)場合は90%に上るという研究(ラーニングピラミッド)があるからです。20歳を超えたらアウトプット中心の学びに切り替えない限り、インプットしたことは頭に残らず、経験として積み上がりません。自己成長につながるのはアウトプットだと考えています。

『Global Media Camp』で得られる5つのスキル

1)発見力

‥‥記事を書くには「ネタ&切り口」が不可欠です。取材ではまず、具体的なネタ探しと格闘します。ネタは、その国の問題点や長所を指す場合も少なくありません。ネタ探しの日々は「見つける力」(発見力)を向上させます。

2)質問力

‥‥ネタ&切り口を見つけたらおしまい、ではありません。関係する情報をいかに集めるか(インプット)が重要。質問の仕方によって、得られる情報の質・量、ひいては記事の内容・レベルは大きく変わります。取材現場では、記事を書くために必要なたくさんの質問をします。質問力(情報を聞き出す力)を集中的に鍛えます。

3)考察力

‥‥質問による情報収集(インプット)・ブレインストーミング・記事執筆(アウトプット)・講師からのフィードバックを繰り返すことで、物事を掘り下げる体験をします。「これまで見えなかったこと」が見えるようになることも。ここでカギとなるのは、“関係が一見なさそうなもの同士”をつなげて考える発想です(たとえば「宗教」+「SNS」=どうなるでしょう?)。意外なこと・つながりを見つけた瞬間はまさに快感!

4)要約力

‥‥要点をまとめる力もつきます。言いたいことが不明瞭な長い話は、とりわけ社会に出ると聞いてもらえません。内容を薄めずに/抽象化せずに、いかに簡潔に表現できるか。これは記事(特に見出し、リード)の書き方に通ずるものがあります。要約力はいま注目のスキルのひとつ。これを特訓します。

5)文章力

‥‥カッコいい/美しい文章よりも、いかに伝わるか/読まれるかが大事ですよね? そのテクニックを学びます。文章力はコミュニケーションスキルの基本。レポートやエントリーシート(ES)の作成にも当然役立ちます。とりわけ最近は、電話よりも、メールを書く機会が激増しているだけに、文章で伝える重要性は高まっています。

コロンビア(メデジン)のここが興味深い!

・コロンビア建国史上初めての左派政権(グスタボ・ペトロ大統領)が2022年8月に誕生した。また、副大統領には初めて黒人女性(フランシア・マルケス氏)が就任。

・メデジンには右派の支持者が多い。

・右派政権だったかつてのコロンビアは、イスラエルからも支援を受け、麻薬組織や左派ゲリラとの抗争を続けてきた。ところが左派ゲリラ出身のペトロ大統領は、パレスチナへの軍事侵攻をやめないイスラエルを「ジェノサイド政府」と批判、国交を断絶した。また、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸のラマラに大使館を開設しようとしている。

シャキーラフアネスルイス・フォンシなど、ラテンポップを代表する歌手を輩出する国。シャキーラは、2010年のFIFAワールドカップ南アフリカ大会でもテーマソング「Waka Waka (This Time for Africa)」を歌った。

・コロンビアといえばコーヒーが有名だが、付加価値の高さで勝負するのが真骨頂。「フアン・バルデス」(ソンブレロを被り、ポンチョを羽織り、ラバを連れて歩く)という農園主のキャラクターを作り、世界に売り込む。フアン・バルデスのロゴ入りグッズもあるほど。

・カーネーションの生産規模は世界一。バラ、カーネーション、ダリア、キクなど切り花の輸出はオランダに次ぐ2位で、日本の輸入カーネーションの7割はコロンビア産とも。メデジンでは8月に「花祭り」が開かれ、世界中から観光客が押し寄せる。

・ラテンアメリカの美女大国「3C」の一角を占めるのがコロンビア(あとの2つはチリとコスタリカ)。なかでもメデジンは域内最大級のファッションイベント「コロンビア・モーダ」の開催地。

・ラテンアメリカ文学の最高峰といえば「百年の孤独」。著者であるノーベル賞作家ガルシア・マルケスはコロンビア人で、多くの日本人作家にも影響を与えた。2024年3月、未完の遺作「出会いはいつも八月」が発売された。ガルシア・マルケスはまた、キューバ革命を先導したフィデル・カストロとも親交があった。

・「イエス・キリストが生きていれば、ゲリラになっていただろう」の名言を残した「解放の神学」の先駆者カミロ・トーレスを生んだ国でもある。カミロ・トーレスはゲリラになった最初の神父。ちなみにカミロ・トーレスとガルシア・マルケスはコロンビア国立大学法学部の同級生だった。

・メデジンは、コロンビアの「治安改善」と「経済再建」を同時に達成させたウリベ元大統領(2002~2010年)の出身地。世界最大といわれた麻薬組織メデジンカルテル(首領のパブロ・エスコバルは1993年に射殺された)を壊滅させた麻薬撲滅計画「プラン・コロンビア」は大きな成果を挙げたが、とりわけメデジンはそのモデル都市となった(ご参考までに現在の「世界都市別殺人率ランキング」をご覧ください。メデジンはだいぶ前からランク外です)。

・メデジンは2013年、ウォールストリート・ジャーナルとシティグループが実施した「最も革新的な都市」コンテストで1位となった。治安改善の突破口として一役買ったのが、貧困地区と街の中心部を結ぶロープウェー(メトロカブレ)の建設。メトロカブレと都市再開発をきっかけに、貧困地区の環境は大きく変わっていった。観光用ではなく、公共交通機関として貧しい人がロープウェーを使う例は世界でも珍しい。

・内戦(2016年に左派ゲリラ「コロンビア革命軍=FARC」と和平協定を締結)が50年以上続いたコロンビアでは、ピーク時には世界最多となる730万人の国内避難民を出した(取材可能です)。

・FARCとの停戦にこぎつけ、ノーベル平和賞を2016年に受賞したサントス大統領(当時)は「持続可能な開発目標(SDGs)」の生みの親! 2011年にSDGsを発案し、2012年の「リオ+20サミット」(国連持続可能な開発会議)でこの策定を決定するよう売り込んだ。また、格差が紛争につながることを痛感しているからか、コロンビアの財閥は企業の社会的責任(CSR)活動にも熱心といわれる。

・隣のベネズエラ(反米)とは対照的に、コロンビアは「親米の国」として有名。麻薬撲滅も米国の支援を受けて取り組んできた。ただ「千日戦争」(1899~1902年に起きた保守党と自由党の武力抗争)の隙間を突き、パナマ運河の建設に関心をもっていた米国がパナマ独立派を支援した結果、パナマが1903年にコロンビアから独立した“負の歴史”もある(コロンビアがパナマの独立を正式に承認したのは1921年)。

・コロンビアにはいま、ハイパーインフレに見舞われ、経済が完全に破たんしたベネズエラから多くの難民(およそ290万人)が押し寄せる。メデジンの路上で食べ物や文具などを売ったり、街中で売春をしたりするベネズエラ難民も(取材可能です)。コロンビアとベネズエラは同じ国(グランコロンビア)としてスペインから独立した兄弟国だが、ベネズエラは2000年代、南米で次々台頭してきた左派政権のリーダーとして注目を集めた。対照的に、歴史的にずっと右派政権(2022年8月から、建国史上初の左派政権に)だったコロンビアは影が薄かった。ところがいまや立場は逆転した。

・南米コロンビアと中米パナマの間には、「死の罠」の異名をとる密林地帯「ダリエン地峡」が横たわる。直線距離だと100キロ超にわたって山道、崖、川、湿地を死に物狂いで歩き、移民らは米国を目指す。事故などで命を落とすほか、女性がレイプ、誘拐されるといった悲惨な事件も起きている。ダリエン地峡を渡るのは、かつてはハイチ人、近年はベネズエラ人が多い。最近は中国人も少なくない。

・国際移住機関(IOM)によると、2023年にダリエン地峡を超えた移民の数は52万人。地中海経由で欧州に渡った移民(約22万人)の2倍以上を数えた。

・コロンビアの国土の29.8%が「先住民保護区」(レスグアルド)。2005年時点で710カ所ある(普通は立ち入ることすらできませんが、特別に取材できます)。レスグアルドの特徴は自治権を部分的にもてること! コロンビアの人口(ラテンアメリカで3位の約4900万人)の3.4%が先住民(民族集団は84)といわれる。ちなみに上院議員の定数102のうち2議席は先住民枠(いわゆるアファーマティブアクション)。

・コロンビアは、コロニアルな建造物だけでなく、カリブ海と太平洋、アンデス山脈、アマゾンとそろう美しい国(現地集合・現地解散だから、プログラムの前後に実費で観光へ行けます)。ちなみにコロンビア人のやさしさもラテンアメリカ最高レベル。

・世界屈指の生物多様性をもつ。自生する植物の種類は4万5000~5万といわれ、これはブラジルに次いで世界2番目の多さ。ちなみにサブサハラ(サハラ砂漠以南の)アフリカ全体でもおよそ3万種。

『Global Media Camp』はこんな社会人&学生におススメ

◎途上国を掘り下げたい人
・途上国を深く知りたい(世界人口のおよそ8割は途上国で暮らしています)!
・国際ニュースの現場を見てみたい!
・途上国の人と深い話をしたい!
・多様な途上国を多角的に見る方法を学びたい!
・途上国で将来、仕事したい!
・貧困、教育、ジェンダー、少数民族、難民、国内避難民、ソーシャル/地元のスモールビジネス、開発援助など特定の分野を取材したい!
・過去(歴史)と現在、未来のつながりを取材であぶり出したい!
・フィールドワークの練習をやってみたい!
・途上国の若者と仲良くなりたい(友情は、その国をウォッチし続ける「基盤」になります)!
・JICA海外協力隊、海外インターン・ボランティアに興味がある!

◎メディア・広報・コミュニケーションに関心のある人
・メディアに疑問を感じるから、自分で取材・記事執筆に挑戦してみたい!
・自分の足で取材した途上国のことを多くの人に発信したい!
・プロのジャーナリストになりたい!
・ジャーナリストの動きを体験してみたい!
・「ネタや切り口を見つける力」「質問する力」「深掘りする力」「要点をまとめる力」「伝わる文章力」を高めたい!
・英語(タイ語、ビルマ語、スペイン語、フランス語など)を使って、取材にチャレンジしてみたい!
・ESなどでアピールできる実績を積みたい!

『Global Media Camp』は2014年の春以来、フィリピン(セブ、ネグロス)、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、コロンビア、ベナン(コトヌー、トタ村)、インド(プネー、コルカタ)、タイ、ルワンダの9カ国12カ所で合計41回開いてきた実績をもちます。参加者は合計205人。年齢は18~59歳と幅広いです。

大学生の場合、参加者が多いのは慶応大学、東京外国語大学、上智大学、早稲田大学、神戸市外国語大学、明治大学、立教大学、青山学院大学、東京大学、筑波大学、法政大学、横浜国立大学、大阪大学、北海道大学、立命館大学、中央大学、津田塾大学、東京女子大学、ICU、日本大学、同志社大学、奈良女子大学、茨城キリスト教大学、名古屋大学など。文系の学生はもちろん、医学や看護学、都市開発、建築、プラントエンジニアリング、農業などを学ぶ理系の学生の参加者もいます。

社会人ではJICA職員やNGO職員、会社員、大学教授、公務員、医師、看護師、会社経営者、青年海外協力隊の経験者・候補者・志望者、地域おこし協力隊、フリーランサーなどにご参加いただいています。 

帰国後はこんな特典も!

・ganas主催の「2025年春 グローバルライター講座」(5万5000円相当)を1万5000円で受講できます。ただし簡単なお手伝いをお願いする場合があります。

・ganasのボランティア記者として活動し続けたいとコミットの高い方は、ganas主催の「2025年春 77日記者研修」(6万9000円相当)に1万5000円で参加できます。

*いずれも、ganasサポーターズクラブに入っている/入ることが条件です 

講師

長光大慈(ganas編集長)
途上国・国際協力に特化したNPOメディア「ganas」編集長/特定非営利活動法人開発メディア代表理事。上智大学法学部を卒業後、アジア最大の日本語媒体であるNNA(現在は共同通信グループ)のタイ支局とフィリピン支局を立ち上げる。電気新聞記者、フリーライター、デベックス・ジャパン・メディア部門責任者などを経て現職。合計10年以上の海外在住経験(米国、タイ、フィリピン、インドネシア、ベネズエラ)、50カ国以上の渡航経験をもつ。青年海外協力隊のOBでもある。ハンモックのコレクター。

現地コーディネーター

羽田野香里(メデジン日本文化センター「春のひなた」共同代表兼アカデミック・ディレクター、コロンビア・メデジン在住)
2009年よりメデジンのEAFIT大学(La Universidad EAFIT)言語センターに日本語講師として勤務。2021年末にコロナ禍の影響でEAFIT大学の日本語コースが閉鎖となり、コロンビア人の友人達と一緒にメデジン初の日本文化センター「春のひなた」を設立。現在日本語コースと合気道コース合わせて約170人の学生が在籍。学生の年齢は高校生・大学生を中心に、小学校低学年から社会人までと幅広い。出身は北海道小樽市。道内の児童養護施設に児童指導員として勤務後、2002年にJICAの日系社会青年ボランティアでパラグアイへ。任期終了後、青年海外協力隊でコロンビア・マニサレス市に派遣され、貧困地域の青少年の教育・更生を行うNGOで活動。その後フィリピンでの日本語教師を経て、2009年よりメデジン。同年にメデジン日本クラブを立ち上げ、異文化交流を中心としたボランティア活動を継続中。協力隊時代を含めるとコロンビア在住17年目。

主催団体

特定非営利活動法人 開発メディア
2012年8月17日設立。途上国・国際協力を専門とするNPOメディア「ganas」を運営。下のボードで記事を発信中。キャッチフレーズは「途上国を知る。世界が広がる。」。

・ウェブサイト:https://www.ganas.or.jp/
・ポッドキャスト:https://open.spotify.com/show/0yOzlKPgVivnKoxeVGdgjj
・Facebook:https://www.facebook.com/ganas.or.jp/
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・メール:devmedia.ganas@gmail.com
・所在地:埼玉県入間市小谷田1666-4-412
・電話:080-3432-4844(長光)   

『Global Media Camp』参加者の声(抜粋)

「特に印象に残ったのは、予想外に多くのベネズエラ難民たちと出会えたこと。生きることに前向きなパワーを直接感じ取れた。国内避難民へのインタビューでも心が揺さぶられた」(渡辺卓さん、社会人)

「ベネズエラ難民や国内避難民を取材できた。逆境にいる人たちは、想像していたよりも落ち着いていて、よく笑うなと思った。ただ、悲しみの片鱗が時々垣間見えることが気になった」(洲鎌槙吾さん、学生)

「『英語×途上国×書く力』という3つの学びがそろうのがGlobal Media Camp。ハードだったけれど、これまでの大学生活では積めなかった経験」(敷野雄一さん、学生)

「Global Media Campは、参加者の裁量に任される部分が大きく、思う存分取材できたのが良かった。他人の言葉を情報としてただ得るのではなく、なぜそうなったのかを考える姿勢が身についた。スキルアップしたい人にはおススメ」(石井ゆめみさん、学生)

「取材する際に、オープンクエスチョンに頼りすぎない必要性を身にしみて感じた。知識がなくても『なぜ』『どのように』を使えば、簡単に質問できる。でもそれでは相手は答えにくいし、なにより自分の頭で考えることを放棄することになる」(向出洋祐さん、学生)

「暮らしている人たちから実際に話を聞き、記事を書くことでその国の歴史や人々の考え方に対する理解が深まる。自分がしっかり理解していないと他人に伝えられないから。ただの旅行では絶対に味わえない学び」(岡村有梨沙さん、学生)

「最大の収穫は『情報の聞き出し方』を学べたこと。インタビューしながら見出しをイメージし、それに基づいて必要な情報を収集するのは大変だった。でも徐々にコツをつかめたことが達成感につながった」(森春奈さん、学生)

「スラム街や国内避難民居住区など、自分一人ではアクセスが難しいところにも行け、またアウトプットの機会も用意されているのは貴重」(榊原麻由さん、学生)

「コロンビアの先住民の取材が印象的。自分がもっていたイメージとかけ離れていて驚いた。日ごろからニュースを見て、疑問に思ったことを調べる癖をつけると、世界は広がるんだなと感じた」(丸山幾子さん、社会人)

「南米へ行ったのは初めて。麻薬都市から平和都市へと変貌を遂げたコロンビア・メデジンを見てみたかった。取材を通して、隣国ベネズエラとのかかわりの深さ、難民が流入するリアルについて知ることができた」(福田朋子さん、社会人)

「毎日がおもしろすぎた。そして大変すぎた。あの人にも取材したい、こんなことも知りたいという好奇心と、記事をたくさん書いて発信したいけれどなかなかできないという葛藤。これからも書き続け、自分をスキルアップさせたい」(加藤美希さん、社会人)

「外国人とここまで密にコミュニケーションをとったことはなかった。良い記事を書くためには、少しでも多くその国のことを知ることが必須だから、必死に取材した」(成田丈士さん、学生)

https://www.ganas.or.jp/news/20241115gmc-colombia/


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COP29で市民団体がオーストラリア・日本・韓国に化石燃料事業における協力の停止を求める

2024-11-16 | 先住民族関連

FoE Japan 2024.11.15

プレスリリース
FoE Japan、Solutions for Climate Australia、Asian Peoples Movement on Debt and Development(APMDD)、 350.org JapanやDon’t Gas Asiaなど日本や韓国、オーストラリア、南・東南アジア等を拠点に活動する団体は、COP29の会場でアクションを行い、オーストラリア・日本・韓国に対して化石ガスインフラの拡大にこれ以上支援を行わないよう求めた。アクションでは、#NoMorePublicMoneyForFossilGas (化石ガスにこれ以上公的資金を投入するのはやめて)や #SayonaraFossilFuels (さようなら化石燃料)などと書かれたプラカードが掲げられた他、ピカチュウの着ぐるみも使いアピールが行われた。また、オーストラリアでの化石ガス採掘に対する先住民族の抵抗について力強いスピーチもあった。 

韓国と日本は、 化石燃料に対する公的支援の額が世界で2番目と3番目に多く、2020年から2022年まで毎年平均でそれぞれ約100億ドルと約70億ドルを新たな石油、ガス、石炭事業に費やしてきた。韓国と日本の政府は、今も数十億ドル規模の支援を海外の化石燃料事業に注ぎ込み続けており、化石ガスの採掘にも支援を行っている。支援事業には、オーストラリアでの炭素爆弾(開発により大量の温室効果ガス排出が予想される事業)と呼ばれるバロッサやスカボローガス田事業やモザンビークLNG事業などが含まれる。

国際エネルギー機関は、各国が気候変動公約を守ることでLNG需要が今後数十年で大幅に減少すると報告し、LNGの供給過剰を予想しているにもかかわらず、 日本と韓国は「エネルギー安全保障」のためと称して自らの汚い投資活動を正当化している。しかし、最近の調査によると、日本はすでに国内需要の減少に直面しており、他国、特に東南アジアに輸入した化石ガスを転売している。 

転売を続けるため、日本は輸入インフラに対する大規模な投資を行うことで、南アジアと東南アジアにおける化石ガスの需要創出を目論んできた。エネルギー政策の立案に「技術協力」を行い、ガス事業の寿命を延ばす技術も推進している。日本と韓国は両国とも、炭素投棄(もしくは炭素回収・貯留(CCS)として知られる)や水素混焼などの技術も熱心に推進している。これらの技術はコストが高く、まだ技術的に確立していないばかりか、今後数十年にわたり化石燃料インフラを維持することにつながる。

一方、オーストラリアは、日本と韓国の需要を自らの化石ガス拡大と輸出の口実に利用し、「オーストラリアのガスが東京に光をともしている」と主張している。アジアのエネルギー需要を満たすどころか、オーストラリアによるガス拡大は、先住民族コミュニティの権利を侵害し、気候危機を悪化させ、オーストラリアだけでなく世界中のコミュニティと生態系に壊滅的な影響をもたらしている。オーストラリアは現在、世界第2位のLNG輸出国であり、オーストラリアの化石ガスの大部分は日本、韓国、中国が受け入れている。

最近の研究によると、ガス業界や投資国がLNGをより良い代替燃料または移行燃料として宣伝しているにもかかわらず、輸出されたLNGは石炭よりも多くの温室効果ガスを排出している。 LNGの温室効果ガスの排出量は他のどの化石燃料よりも規模が大きく、ガス産業は生態系を破壊する。またLNG開発は多くの人権問題にも繋がっている。LNGは気候変動の解決策ではない。アジアのエネルギー移行において、LNGは主要な役割を担うべきでは

市民団体からのコメント: 

「アジアが気候崩壊に向かうますます危険な道に直面する中、今下される決定が将来の世代に影響します。私たちに必要なのは、気候変動に対する野心的な取り組みであり、日本、韓国、オーストラリアなどの国々による中身のない約束ではありません。これらの国が、科学的根拠に基づいて行動し、化石燃料の利権に囚われないようにすることが不可欠です。先進国は、気候危機の一因となっている自らの責任を認識し、化石ガスや誤った気候変動対策を推進することで状況を悪化させることをやめなければなりません。日本、韓国、オーストラリアはアジアをさらに化石燃料依存に引きずり込むのをやめ、この地域を再生可能エネルギーによる未来に導く手助けこそすべきです。」 Sharif Jamil, Waterkeepers Bangladesh コーディネーター, Asian Peoples’ Movement on Debt and Development (APMDD) メンバー

「オーストラリアの先住民族は何千年もの間、自らの国の守護者であり、何十年にもわたって破壊的な化石ガスの採掘から国を守ってきました。しかし、日本と韓国による資金支援と偽りの需要に支えられて、オーストラリアは汚染をもたらす化石ガス開発を拡大しアジアに輸出し続けている。この三国間協力は地域社会ではなく企業利益に貢献し、地域のエネルギー移行を妨げています。これらの企業がガスからグリーンな輸出に移行し、化石燃料に別れを告げる時期はとうに過ぎています。」Erin Ryan, Solutions for Climate Australia シニア国際キャンペーン担当

「トランプ氏の大統領復帰に伴い、世界的な脱炭素化の取り組みを主導し、気候変動対策資金を提供し、化石燃料への資金提供を終わらせるという日本の責任はこれまで以上に大きくなっています。しかし、日本はアジアやその他の地域で化石燃料に対する大規模な投融資を続けています。日本の公的金融機関である国際協力銀行(JBIC)は、2016年以降、化石ガス事業に186億ドルという巨額の資金を提供してきました。日本は化石燃料への投融資をやめるべきです。これは、気候変動対策と資金の流れを一致させるために不可欠なステップです。」長田大輝, FoE Japan キャンペーナー 
「日本政府は、化石燃料の段階的廃止、100%再生可能エネルギーへの公正な移行、そしてCOP29での野心的な気候資金合意を求める市民の声に直面しています。気候資金への日本の貢献は、世界有数の化石燃料投資国として気候危機に対する日本の責任の大きさを反映するものでなければなりません。しかし、化石燃料への資金支援をやめるどころか、日本は依然として、グリーントランスフォーメーション(GX)の名の下に、化石ガス、炭素回収貯留、石炭アンモニア混焼、さらには有害な原子力エネルギーなどの誤った解決策に資金を提供しています。日本は、化石燃料産業や原子力産業が広める危険な技術ではなく、市民が主導する気候変動の解決策、つまりコミュニティ主導の再生可能エネルギーへの支援を強化する必要があります。」伊与田昌慶, 350.org 日本担当キャンペーナー

https://foejapan.org/issue/20241115/21293/


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ミナハサ文化を盛り上げるナターシャ・トンテイがマカン博物館で最初のシングル展を開催

2024-11-16 | 先住民族関連

VOI 15 November 2024, 13:55

Macan Museum Exhibition (VOI/Yessica) シングル

ジャカルタ - ペルーパ・ナターシャ・トンテイは、MACAN博物館で最初のソロ展を「原始的な訪問:マカク・マカブル」と題して開催しました。この展覧会では、ナターシャ・トンテイはマルチメディアの作品で作られた故郷のミナハサの文化について提起しました。

この作品は、オーデマ ピゲ コンテンポラリーのコミッション作品であり、内部キュラリアルチームとトンテイ博物館とMACAN博物館のコラボレーションを通じて実現されました。ナターシャは、展覧会の準備に約1年かかったと言いました。

「この展覧会の準備ができて1年。実際、MACAN博物館が招待されています。これは実際には、ミナハサ文化を探求するための私の長年の研究の一部です」と、2024年11月14日木曜日に西ジャカルタのMACAN博物館で行われた記者会見で、ナターシャトンテイは述べました。

作品の中で、ナターシャ・トンテイは儀式の実践への参加と、ミナハサに適用される社会規範の観察に言及しています。彼は、ミナハサの人々はユニークな方法でいくつかのことを見て、彼らの展示を通して知らせたいと言いました。

「ミナハサの人々が自然と一緒に生活をナビゲートする方法、ミナハサの人々が見るものは街のようではなく、すべて自然に関連しています」と彼は言いました。

トンテイは、南ミナハサ原産の黒い紋付きのマカクサルの個体群(ヤキと呼ばれる)と先住民族との関係をたどります。アーティストは、動物と人間の共生関係に疑問を呈する映画とインスタレーションの形で架空の宇宙を提示します。

ヤキは先住民族から日常生活の社会生活構造の一部として、また害虫と見なされているのは、彼らがしばしば村に降りて作物を盗むからです。トンティーの作品は、人間と動物の偏見や関係を解体し、種間の理解をより深く生み出すことを可能にする世界を想像しようとしています。

「投機的なフィクションを通して、私は原始論、エコフェミニズム、テクノロジーの相互に関連するダイナミクスを探求しようとしています。没入型物語と経験は、複雑な絡み合い、人間とヤキの複雑な関係を強調し、種間の複雑な相互作用を反映し、視聴者に自分自身と非人類世界との関係を振り返ることを奨励します」と彼は説明しました。

この展覧会では、ナターシャ・トンテイも映画セットのオリジナル部分から派生したビデオを特集しています。衣装から多くの背景デバイスまで、観客は素晴らしい環境でこれらのオブジェクトと対話しながら、映画の物語にさらに深く掘り下げます。

ビデオは、クラスBの映画フォーマット、ホラー映画、および劇場制作方法の品質を適用します。2024年11月16日から2025年4月6日までオープンしたこの展覧会は、トンテイの作品を、クリエイティブなエネルギーに牽引されたインドネシア映画制作の長い伝統の中に置きます。

https://voi.id/ja/lifestyle/433978


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米内務長官にノースダコタ州知事、トランプ氏方針 15日正式発表

2024-11-16 | 先住民族関連

Steve Holland Nichola Groom 2024.11.15

[パームビーチ(米フロリダ州) 14日 ロイター] - トランプ次期米大統領は14日、新政権の内務長官にノースダコタ州のダグ・バーガム知事(68歳)を起用する方針を固めた。15日に正式発表する。フロリダ州の別荘マールアラーゴで開いた祝賀会で述べた。

バーガム氏はソフトウェア会社の元幹部で、資産家として知られる。共和党の大統領候補指名争いでトランプ氏に対抗して出馬したが、支持が伸びず撤退。その後はトランプ氏の忠実な支持者となり、大統領選勝利に貢献した。

祝賀会には、実業家イーロン・マスク氏のほか、俳優のシルベスター・スタローンさん、次期政権のメンバーらが出席。トランプ氏は「われわれがこのような形で勝利するとは誰も思わなかった」と演説したほか、自身の閣僚人事を称賛した。

内務長官は、連邦政府の保有地と先住民の土地5億エーカー(2億0230万ヘクタール)の利用に関する政策を管轄。バーガム氏は、公有地や水域での石油、ガス、鉱物の生産拡大が任務となる見通しだ。

バイデン政権下では、内務省は気候変動対策の中心的存在と位置づけられ、洋上風力発電や太陽光発電プロジェクトの許可を増やし、自然保護目的で土地をリースするプログラムを創設するなどした。

https://www.msn.com/ja-jp/news/world/米内務長官にノースダコタ州知事-トランプ氏方針-15日正式発表/ar-AA1u7pnd


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