Dutch Life 備忘録

オランダのミュージアム、コンサート、レストランなどについて記録するノート。日常的な雑記も…。

映画「この世界の片隅に」@Kriterion(アムステルダム)

2017-10-01 08:46:55 | Movie
Camera apanというイベントの一環で日本映画がいくつも上映されていたので、アムステルダムの「Kriterion」という映画館に見に行ってきました。
まず見たのは「この世界の片隅に」です。昨年とても日本で好評だった映画で、うわさで聞いていたので、是非見たいと思っていました。
大き目の会場でしたが、満席でした。日本人はわずかで、ほとんどが日本人以外でした。字幕が英語でついていました。
ほんわかとした日本ぽい絵のアニメーション映画で、第二次世界大戦中の庶民の生活がよく描かれていました。
呉という場所が、こんなに何度も何度も空襲にあっていたことを知りませんでした。
ただ毎日の生活をなんとか楽しくと、物資がだんだん不足してきても工夫して生き抜いていた庶民が、終戦を告げるラジオ放送を聞いて脱力する場面が印象的だった。そしてその後、ずっとへらへらとしていた主人公のすずが怒りを表す場面も。
お上が勝手にはじめて、でも信じて苦しい生活をこらえて頑張ってきたのに、またお上のひとことで敗戦とは…。ほんとうにやるせない気持ちだったのだろう。
オランダにはシリアの戦争をさけてやってきた難民がたくさんいる。この人たちもふつうの日常を送っていたのに、突然戦争になって、物資が不足し、爆撃で町が壊され、やむになく逃げてきたのだろうと、この映画の中の人たちの姿と重なってみえた。
いろいろと、近くにいる人を慈しむ心とか、他にも感じることがたくさんある映画でした。

映画「ダンケルク」@PatheArena(アムステルダム)

2017-08-06 21:03:00 | Movie
先週に引き続き、今週の日曜日も映画へ。場所は、アムステルダムのPathe Arena。この映画「ダンケルク(Dunkirk)」はIMAXで見たかったので、Patheへ行くことにしました。監督はクリストファー・ノーラン。彼の映画は、「インセプション」「インターステラー 」など映画館で見て印象に残っているものがあります。
今回も戦争映画かと最初はあまり関心がなかったのですが、アメリカでヒットしているとのこと、海岸のシーンがオランダのUrkという町で撮影されたこと、台詞が少なくて体感できる映画であるなどの情報が入ってきて、見てみたいなあと思いました。
見てみて、これは大きなスクリーンで見るべき映画だと思いました。
戦争の悲惨さ、凄まじさを感じることができます。血などはほとんど映らないのですが、攻撃されるともうなんとも防ぎようがなく、死ぬか死なないかは本当に運次第という状況で、こんな中にいたら、頭がおかしくならないほうが不思議だと実感します。
(以下ネタバレあり!)イギリスから民間人の父親と息子、息子の友人(ジョージ)の三人が船を出し、途中の海上で、撃墜された戦闘機のパイロットを救助します。このシェルショックの徴候のあるパイロットが暴れたときに、ジョージが転倒し、頭を怪我します。パイロットが「彼は大丈夫か」と尋ねると、息子は「大丈夫じゃない」と答えていたのですが、ダンケルクの状況をまのあたりにした後には、そのときにはもうジョージは亡くなっていたのにもかかわらず、「大丈夫だ」と答えます。
この変化はかなり重要です。この息子は、戦争がどれほど悲惨かを知り、その中をかいくぐってきた人間に通常の価値観を押し付けることに躊躇を感じたのだと理解しました。
いろいろと考えさせられる映画でした。

映画「Valerian and the City of a Thousand Planets」@Kinepolis(ユトレヒト)

2017-07-30 07:45:56 | Movie
映画「Valerian and the City of a Thousand Planets」(ヴァレリアンと千の惑星の都市)を見てきました。
リュック・ベッソン監督の新作です。日本ではまだ公開がいつかわからないようですね。この作品、フランスの製作ですけど、ヨーロッパで最高額の製作費をかけています。フランスのコミック作品「Valérian et Laureline」(Jean-Claude Mézières画)が原作です。このコミックは、1967年が最初の作品で、ずいぶん長くシリーズ作品がでています。
オランダでも出版されており、一部では人気があります。
映画の観客も往年の読者か、白髪の老人など中年層が多かったです。
しかし、映画の主人公は若い男女のスペースエージェント(宇宙警察の刑事にようなもの)。デイン・デハーンとカーラ・デルヴィーニュが演じていて、二人とも若く見えるので、高校生のように見えます。が、Vakerianは少佐で Laurelineは軍曹なので20代後半くらいの設定なのかも? なにしろ将軍からはかなりの信頼を得ています。
未来の世界を扱った作品で、様々な生命体や世界が描かれ、とても美しかったり、奇妙だったり、2時間15分の映画ですが、単純に楽しめました。まあ、若い人向けかなとは思いましたが、Vakerian役のデイン・デハーンとLaureline役のカーラ・デルヴィーニュがビジュアル的に好きなタイプなので、それがよかったです。
ヒットすれば、第二作も期待できるのですが、アメリカでの興行成績がよくないそうで残念です。
3Dで見ましたが、3Dの効果はさほどでもなかったです。
会話のなんというかちょっと斜に構えたやりとりが、フランス的といえばフランス的で、にやりとした笑いがところどころで溢れる作品です。
ユトレヒトのKinepolisで見ました。ユトレヒト駅から徒歩ですぐのところにあります。あまり知られていないのか、けっこう閑散としていますが、新しいシネコンで設備はよく、良い映画館です。少し料金は高いかもしれませんが、おすすめです。


映画「エイリアン: コヴェナント」@Kinepolis(ユトレヒト)

2017-06-04 08:45:39 | Movie
映画「エイリアン: コヴェナント(Alien: Covenant)」を見てきました。
映画館はユトレヒトの駅そばに今年オープンしたシネコンKinepolisです。Kinepolisはベルギーで展開しているシネコンでアントワープにも大きなのがあって以前に行ったことがあります。
映画「エイリアン: コヴェナント」は、リドリー・スコット監督作品で、前作映画「プロメテウス」の続編です。この「プロメテウス」を見てはいるのですが5年前のことなので、ストーリーはまったく覚えていません。
大丈夫かなと思ったのですが、映画自体、ちゃんと楽しめました。でも見たあとで、やはり「プロメテウス」を見直してみたいなあと思ったので、「エイリアン: コヴェナント」を見る前に「プロメテウス」をDVDなどで見れるなら見ておいたほうがいいと思います。
大スクリーンで見て正解でした。とても美しい風景がいくつもあり、宇宙船のシーンなども壮大でした。
人間が作ったヒューマノイド(人型ロボット)とエイリアンと人間の三つ巴の話です。
エイリアンがかなりグロくて、見ていてわっと身を引いてしまうシーンが何度もありました。
二時間強の映画ですが、話がちゃんとしていて、じっくりと見れました。かなり緊張するシーンがあって、見ていて疲れましたが。
次作へのつながりが示されていたので、もう一作続くようです。




映画「Your Name(君の名は。)」@LHC(ユトレヒト)

2017-03-24 12:47:06 | Movie
一週間ほどユトレヒトで Holland Animation Film Festival(HAFF)が開催されていました。アニメ映画のフェスティバルです。毎年開かれています。世界中の様々なアニメーション映画が見られます。もちろん日本映画もあり、昨年話題になっていて見たかった「Your Name(君の名は。)」が上映されるので行ってきました。
場所はLHC(Louis Hartlooper Complex)。ここは駅からけっこう歩くんですけど、天気が良かったのでまあ気にならず行けました。
夜の19:45分の回で、満席でした。若い人が多かったです。
映画はとてもよかったです。長さも良かった。田舎と都会の対比が印象的で、場所(空間)と時間の流れ、ねじれ、連結が映像とともに新鮮によく描かれていました。
主役のTakiの声がすごくいいなあと思っていたら、神木隆之介でした。声優としてもうまいのですね。
字幕は英語でした。映画中に歌が流れるシーンが何回かあって、その歌の歌詞は、黄色の字幕でした。でも歌の字幕はなかなか早くて読むのがたいへんだったようです。でもわたしも歌のところは、歌詞はあまりしっかいとは考えずにふわーっと聞いているので、歌詞の字幕を全部理解しなくても、じゅうぶん映画は楽しめたと思います。
まあ10代、20代の若い人向けの映画だとは思いました。自分にとって特別な人を探している映画ですから、もう誰かと結婚して特別な人を探し続ける時間も少なくなってきている人向けではないですよね。
でも、災害などで愛する人を突然亡くした人にとって、その記憶を過去のものとしておぼろげな記憶へと葬り去り、未来に目を向け、また自分の記憶の奥底でくすぶっている何かが新たにわかりあえる誰かに会うことで、また新しい愛の物語へと繋げることが大事なのだというメッセージとしても受け取ることができるかなと思いました。
見てよかった映画でした。

映画「After the Storm(海よりもまだ深く)」@'t Hoogt(ユトレヒト)

2017-03-19 17:36:04 | Movie
是枝裕和監督の映画「After the Storm(海よりもまだ深く)」がオランダで映画館上映されているので見に行ってきました。
売れない小説家の主人公、離婚して小学生の男の子がいます。その子に月一度会うのが唯一の楽しみ。でも会うには毎月5万円の養育費を払わなくてはいけないけれど、そのお金を工面するのが難しい状態です。小説家では稼げないので、探偵事務所で働いていますが、お金が入るとすぐギャンブルに使ってしまいます。
情けなく、まったくいけてない中年男性を、阿部寛が好演しています。
元妻、姉、母との関係を描いていますが、かなりリアリティがあって、ところどころ笑いも盛り込んであって、2時間くらいの映画でしたが、とても楽しめました。
子どもの頃に思い描いたような大人になれず、試行錯誤している人のほうが世の中には多いはずで、そういう人にスポットを当てた映画でした。
運命の愛的な恋愛ストーリーが小説や映画には多いけれど、実際にはそこそこの愛で結婚して、そこそこの生活に幸せを見出している人も多いはずで、そういう実際的な物語のほうが、見ている人を満足させるのかも知れないとも思いました。




映画「Silence」@Filmtheater(Hilversum)

2017-02-19 14:00:19 | Movie
映画「Silence(沈黙)」を見てきました。オランダでは公開2週目ですが、小さい映画館での上映が多いようです。
わたしは午後に見たかったので、少し離れた町の映画館で見ました。箱は小さ目でしたが、ほぼ満員でした。
原作が遠藤周作で、監督がスコセッシ。イッセー尾形、浅野忠信、窪塚洋介、PANTAなど、日本人がたくさん出演しています。それで、興味をもち、見たいなあと思ったのです。残念ながら、PANTAはどこに出ていたのかわかりませんでした。
舞台はキリシタン迫害が行なわれている五島列島など九州北西部。雨が降っていて、緑が深くて、湿度が高い雰囲気が映像から伝わってきます。
ところどころ、海岸沿いの風景など、とても美しかったです。
160分という長い映画で、暗い話だということだったので、もしかしたら退屈するかもと思っていたのですが、まったくそういう心配はいらなかったです。話に引き込まれ、映画が終わったときは、ああもう2時間40分も経ったのかという感じでした。
キリシタンの拷問のシーンは強烈で、観客の中には自身がキリスト教徒で身がつまされる思いがするのか、二人ほど途中で退席していく人がいました。
主人公のロドリゲス役のアンドリュー・ガーフィールドが、役によくはまっていて、よかったです。
音楽はあまり使われておらず、自然の音が聞こえ、タイトル通り、静な映画でした。ノドを潤すためにキャンディーを食べようと、包み紙をそろそろと開けたのですが、そのカサカサという音が気になるほどでした。
信仰という心の中の問題と、踏み絵をするという行為が表す裏切りという問題、信仰のためにたくさんの犠牲者が出るという現実。今でも、続いている問題ではないかと思います。
いろいろと考えさえられる良い映画でした。


映画「Harmonium(淵に立つ)」@ロッテルダム国際映画祭2017

2017-01-31 13:27:29 | Movie
日曜日の二本目の映画は「淵に立つ(Harmonium)」でした。深田晃司監督の作品で、昨年もこの映画祭で彼の「さようなら」という映画を観ています。
主演は浅野忠信で、彼が居候することになる家族の父親役は古館寛治がやっています。
なんか近未来的な「さようなら」とはまったくちがって、舞台は現代で日本のふつうの家族に起こる怖い話です。話のテンポがよく、ぐいぐいと引き込まれみてしまいます。しかし、最後がちょっと。どう解釈していいのかよくわからず、とまどいました。
オルガンの音がうまく使われていました。ちょっとノスタルジックなオルガンの音です。
字幕がオランダ語でどうしてかな(ほとんどの映画の字幕は英語)と思ったのですが、もう少ししたら普通のオランダの映画館でも上映されるそうです。
この作品の前に、ショートフィルム「鳥(仮)」の上映もありました。これはアイフォンで撮影したそうです。



映画「The Silent Eye」@ロッテルダム国際映画祭2017

2017-01-29 14:05:36 | Movie
日曜日、ロッテルダムで「The Silent Eye」という映画を観ました。
ダンサーの田中泯とジャズピアニストのCecil Taylor(セシル・テイラー)のコラボレーションの様子を撮った映画です。3日間の撮影で、場所はテイラーのアトリエだと思います。ピアノは見かけがぼろぼろの(鍵盤はすりきれている)YAMAHAのグランドピアノで、それがとても良い音を出します。途中でほんの短い語りが入りますが、それ以外は、この二人のセッションが長々と映し出されます。映画の長さは70分間。
田中泯は70歳すぎで、セシル・テイラーは80歳半ばです。
上映中、つまらなかったのか席を立つ人もぱらぱらといましたが、ピアノの音がとても良くて、ダンスも独特で、魂がこもっていて、なんかトランスを感じるような映画でした。
監督はオーストラリアのAmiel Courtin-Wilson。オーストラリア人です。

映画「Light Thereafter」@ロッテルダム国際映画祭2017

2017-01-28 13:43:58 | Movie
1月27日の金曜日に 映画「Light Thereafter」を見てきました。ブルガリア出身のKonstantin Bojanov監督、脚本作品です。
絵が得意なアスペルガー症候群の16歳の少年が一人でロンドンから旅をし、彼が尊敬する画家Arnaudのアトリエを訪ねる物語です。この少年Pavel役のBarry Keoghanはすごく良い演技で、ぱっと見ではドキュメンタリーかと思うほどでした。また画家Arnaud役のKim Bodniaは、スウェーデンとデンマークの合作TVドラマ「THE BRIDGE/ブリッジ」でメインの一人を演じているので見慣れた顔でした。
道中に起こることはよくあるクリシェ的出来事ばかりで、映画的には特に良いなとは思いませんでした。最初がアトリエに着いた後のことを描き、だんだんと時間的に遡って、シーンを描いていく手法は面白いけれど、特に新しい感じはしませんでした。