Dutch Life 備忘録

オランダのミュージアム、コンサート、レストランなどについて記録するノート。日常的な雑記も…。

本「羊と鋼の森」

2019-04-21 13:10:27 | Book
宮下奈都著「羊と鋼の森」を読了。
とても良かったです。北海道の人里離れた田舎で育った少年が町の高校に進学し、そこでたまたまピアノの調律師の仕事を目にすることになって、その世界に魅惑され、自分も調律師になろうとする物語。
しっとりとした、大きな自然というか森のようなものに包まれた雰囲気を作品全体が持っています。
ハリーポッターじゃないけれど、特別な才能をもった人が主人公の話が世の中には満ちあふれているけれど、この物語の主人公はただのふつうの若者。特別に何かに秀でた才能があるわけでもなく、子どものころから恵まれた環境にあったりしたわけでもない。
調律というあまり人に知られぬ世界に惹かれ、その魅力と奥深さを感じ、また携わる周りの人々への敬意を忘れずに、自分自身も驕ることなく精進していく姿の素敵さが伝わってきました。
こういう物語は好きです。心にじっくりと染みこんでいくような。

本「フーテンのマハ」

2019-04-01 11:06:25 | Book
原田マハ著「フーテンのマハ」を読了。
気晴らしに何も考えずに読むのに最適。疲れていたので、こういうのを読むのもたまにはいいものです。といっても原田マハさんの本を何冊も読んでいるので、なんとなく知っているような気になっている著者のエッセイだからこそ、面白く読めるのかも。そうじゃないと「なーんだこれ」と思う人もいるだろうなあ。
天津丼やスパゲティナポリタンの話なんて定番のネタで、中高生ならまだしも、中年の人なら知っていることだろうしね。
ところどころ著者のアート小説の取材でフランスなどへ出かけたときの話など、興味深い部分もありました。
みんなに読むことはまったくおすすめしないけれど、原田マハの小説をいくつも読んでいて、息抜きに軽いエッセイをというなら、この本、ほんとラクに読めていいですよ。

本「船に乗れ! 1 合奏と協奏」

2019-03-28 09:47:00 | Book
藤谷治著「船に乗れ! 1 合奏と協奏」読了。
聞いたことのない著者の本だったけれど、本屋大賞のリストに過去に入っていたし、ちょうどクラシック音楽系の話が読みたかったので購入しました。
青春小説で高校1年がメイン。ストーリーには特に魅かれないけれど、音楽を専攻している高校生の生活や音楽を学んでいく様子、チェロやバイオリンなど個々の楽器の難しさなど、いままで触れたことのなかった世界のことを垣間見れて良かったです。
主人公の名前がカタカナで「サトル」なのがわたしには違和感があって、なぜかなと思いました。
また高1男子の主人公が「きゃー」というのも、ちょっと…。
また、3部作だということを忘れていて、この「船に乗れ! 1 合奏と協奏」を読み終わったときは、「え、これで終わり??」と思いましたが、あと2作続くのですね。若い人や中高生が読むにはいいけれど、わたしにはちょっと若すぎる人たちの話でいまひとつなんですが、でもまあ読みだした縁だし、少し新しく得る知識もあるので、暇を見て、続きにも手を出す予定です。

本「桜の森の満開の下」

2019-03-20 16:08:45 | Book
坂口安吾原作、近藤ようこ漫画「桜の森の満開の下」を読了。
先日読んだ「夜長姫と耳男」と同じシリーズの本。時代もきっと同じころ。日本文学の古典の知識は中学生レベルで、何も知らないので、このストーリーにもきっと古い民話とか説話とかお話がベースにあるのだろうけれど、見当もつきません。でもとても独特な雰囲気があることは確か。
なんか怖い、おぞましい女性と、普通ぽい一図な男の話が、上の二冊の共通点かな。あと住んでいる世界の違いとか。
この二冊では、「夜長姫と耳男」のほうが引き込まれました。なんか怖かった。
子どものころ、日本文学の古典の本とか家にあったけれどまったく読まなかった。海外もののほうが面白かったからね。でも今思えば、あんなに暇をもてあましていたのだから読んでおけばよかったなあ。

本「夜長姫と耳男」

2019-03-13 10:14:34 | Book
坂口安吾原作、近藤ようこ漫画「夜長姫と耳男」を読了。
岩波現代文庫から出ている漫画です。といっても原作が坂口安吾。
坂口安吾がこんなおどろおどろしい作品を書いていたとは全く知らなかったです。というかこういう古代史的な話に題材をとって作品を描いていたことを知らなかったです。まあ、はっきり言って名前だけしか実のところ把握していなかったのかも。
おそらく坂口安吾の原作を手にとったら、きっと読了していないと思います。漫画だから読める! それもどきどきはらはらしながら読める!
こういうのっていいなあと思います。
ただ文庫で約千円というのは、すぐに読めちゃう分、ちょっとお高い感じがしてしまう。
わたしはプレゼントとしていただいたので、とてもうれしく良かったです。

本「冷たい密室と博士たち」

2019-02-15 11:45:51 | Book
森博嗣著「冷たい密室と博士たち」を読了。理系ミステリーです。
すべてがFになる」がとても面白かったので、同じ主人公が登場する第二作「冷たい密室と博士たち」を読んでみました。「すべてがFになる」のほうがハラハラしてよかったけれど、まあ二作目もそこそこ良かったです。
さくさくと読めて、作者自身理系だからか、主人公たちの会話が文系のわたしからすれば新鮮でいいです。
また時間ができれば、第三作も読んでみる予定です。

本「世界は素数でできている」

2018-12-09 08:41:57 | Book
小島寛之著「世界は素数でできている」を読了。
角川新書です。難しい数学の話だったので、特に後半、理解できず読み飛ばしました。でも素数がどれほど特別で、数学者を惹きつけてやまないかがわかりました。
RSA暗号に素数が使われているという章が興味深かったです。また量子コンピュータができると、そのRSA暗号も解読されてしまい役に立たなくなるだろうということも。
専門的なことは理解できないけれど、数学の世界がすごく広く開けていることが感じられ、わくわくしました。
またインドから彗星のごとく現れ、夭折してしまった天才数学者ラマヌジャンのすごさに驚きました。このラマヌジャンをモデルにした伝記映画(『奇蹟がくれた数式』(原題:The Man Who Knew Infinity))があるようなので、是非見てみたいです。
リーマン予想がまだ解決されていないという話が何度も出てきて、わたしも今後これがどうなるのかニュースに気にしていきたいです。

本「ラオスにいったい何があるというんですか?」

2018-10-31 11:43:52 | Book
村上春樹著の紀行文集「ラオスにいったい何があるというんですか?」を読了。
旅行の思い出などを綴ったエッセイなので、暇つぶしに簡単に読めます。
ニューヨークについてのところではジャズクラブのおすすめがいくつも出てきて、ジャズ好きなら是非行きたくなるだとうなあ。(わたしはジャズはに好きではないので残念ですが…)
また美食好きの著者だけあって、おいしいレストランのおすすめもときどき載っていて、もしその町に行くことがあれば訪れてみたいと思いました。
自分が行ったことがある場所、ない場所、さまざまでしたが、この本を読んで、まだ行ったことがないフィンランドに行ってみたいと思いました。ヘルシンキの町を歩き、シベリウスが住んだ家を訪れたいです。でも寒さが苦手なので、行くなら絶対夏ですね。
たまにはこういう気楽な本を読むのもいいものです。

本「ヒタメン 三島由紀夫若き日の恋」

2018-09-19 12:22:16 | Book
岩下尚史著「ヒタメン 三島由紀夫若き日の恋」を読了。
先日読んだ猪瀬直樹著の「ペルソナ 三島由紀夫伝」を読んで、その流れでこの本を手に取りました。
著者の岩下尚史氏はラジオ番組での語りが独特で面白く、なんか変な人だけど興味がありました。花柳界に詳しく、その辺りの話も知らないことばかりでとても面白かったです。
この本では、「ペルソナ 三島由紀夫伝」のなかでX嬢として登場する、三島由紀夫が三年ほど毎日のように会っていた恋人の女性(豊田貞子)へのインタビューと、姉のように慕っていて親交が深かった湯浅あつ子へのインタビューがメインとなって構成されています。インタビュー時にはもうお二人ともご高齢でしたので、事実を伝える機会はこれが最後という雰囲気で受け答えされています。この時期に著者がこのインタビューをしたことはとても貴重だと思います。
当時の東京のナイトライフの様子、社交界の様子などもわかります。
上記二冊を続けて読んで本当に良かったと思いました。

本「鹿の王」

2018-09-15 13:58:14 | Book
上橋菜穂子著「鹿の王」を読了。文庫で4冊の長編でした。
どんどん読めて、物語の世界に引き込まれましたが、いろいろな民族が出てきて複雑な話だったので、途中でちょっとゆっくりと考えなくてはいけないこともありました。
医療、医学の世界の話がかなりの割合を閉め、体内世界と表面的な自分というものについて改めて目を向けさせられました。
魅力的な登場人物が幾人もいたので、この物語世界の続編が出てほしいです。