Dutch Life 備忘録

オランダのミュージアム、コンサート、レストランなどについて記録するノート。日常的な雑記も…。

映画「万引き家族(Shoplifters)」@オランダ

2018-12-16 08:16:41 | Movie
カンヌでパルムドール賞をとり話題になった映画「万引き家族(Shoplifters)」を見に行ってきました。オランダの映画評でも星5つ(満点)など好評です。
お昼12時の回に行ったのでお客さんは少なかったです。
思っていたより、複雑な映画で、リリー・フランキーが演じた「父」的なキャラクターはあまりにもダメダメな人物で、またこの家族の誰もが一人で生きていくのは寂しすぎる、あるいはできないので、固まって家族として生きているという感じがして、なんか違和感を感じました。この家庭内の雰囲気は柔和でいい感じなんだけど、客観的に見て、子どもの将来とか成長を考えるとやはりこの家族ではダメだろうと思わずにはいられないです。この家族の暖かみと居心地の良さはもちろん重要だけど、やはりどこか壊れていて、それをショータという少年が成長していく過程で「違和感」として気づいてしまう。すると、ガタガタと壊れていってしまう、もろい家族でもあったわけです。
一筋縄で解釈できない映画ですが、この映画を見て、実の両親に育てられながら、ネグレクトや暴力などにさらされている子どもはほんとうに外部の目にはつかず、逃げ場がないのだろうなあと思いました。
海水浴に行ったときに、砂浜に一人座って海ではしゃぐ他の家族を眺めながら樹木希林が演じるおばあちゃんがささやく言葉や、最後のほうでショータがバスのなかで呟く言葉は聞きとりにくいですが、こちらでは字幕のオランダ語ではっきりと出るので、想像する余地がなく、なんか味気なく感じました。
是枝監督作品はこちらでもほとんどいつも映画館で上映されるのでうれしいです。

映画「ボヘミアン・ラプソディ」@Kinepolisユトレヒト

2018-12-02 10:17:07 | Movie
映画「ボヘミアン・ラプソディ」を見に行ってきました。もう公開からずいぶん経っているし、午前の回だったので、大きめの会場でしたが、がらがらでした。
おかげでとても見やすい席で、何にも邪魔されずにスクリーンが見れたのでよかったです。
QUEENの世代ではないのでよくは知らず、20代の頃年上の友人からアルバムが録音されたテープをもらって聞いたことがあるくらいで実はあまり詳しくはありません。
でも映画は十分楽しめました。フレディ・マーキュリーの苦悩、人生が詰まっていて、ブライアン・メイなどバンドのメンバーとの関係などがよくわかりました。
フレディを演じたラミ・マレックは、「Mr.Robot」というテレビシリーズで主役をしていて、コンピュータに詳しいオタクの役で印象に残っていました。映画ではフレディになりきっていて、よかったです。
2時間半弱の長めの映画でしたが、ずっとスクリーンに惹きつけられて、中味が濃い印象が残った映画でした。
若い時代にフレディの妻となった女性の存在とフレディの関係がとても切なく感じられました。

映画「スリー・ビルボード」@ユトレヒト

2018-06-03 10:08:36 | Movie
ずっと見たかった映画「スリー・ビルボード」を見てきました。
アカデミー賞に多部門でノミネート、主演女優賞、助演男優賞で受賞と、評価が高かったのでかなり期待していました。
二時間弱の映画で、そのなかに人間ドラマのストーリーのなか、ところどころでニヤリあるいはクスッと笑ってしまう会話の機微があり、また目を背けたくなる暴力的なシーンもあり、盛りだくさんです。
アメリカの田舎の風景も空気もなかなか動かない雰囲気を感じました。
ただストーリー的には時間経過がなんか辻褄合わないなあ、ふつうはこうじゃないだろうと思うところがいくつかありました。
わかりやすいストーリーの流れの映画でしたが、深い意味などいろいろと考えるべきところがあるのかも。
でも期待が高かっただけに、ふーんという感じの印象が残りました。
それにわざわざ映画館で見なくても、家のTV画面でじゅうぶんに思いました

映画「アウトレイジ最終章」@ロッテルダム国際映画祭2018

2018-02-07 10:22:18 | Movie
ロッテルダム国際映画祭2018でわたしが最後の見た映画は北野武監督作品「アウトレイジ最終章」でした。
アウトレイジシリーズは全部見ていますが、ストーリーははっきりとは覚えていません。
ところどころ残酷なシーンがあります(一シーンは目をすむけて見ませんでした)。
でも全体としてとても楽しめました。俳優陣の演技がとても素晴らしいです。ピエール瀧がとてもはまっていました。それから、フィクサーの張を演じた役者が貫録があってとても役にあっていました。金田時男という人で本物の俳優さんではないそうですね。あと中田役の塩見三省もよかったです。
音楽(鈴木慶一)も、出すぎずに、要所要所に効いている音楽でよかったです。
音効というのでしょうか、ピストルを撃つシーンで、弾丸がはじける金属音的な音がとてもリアルで、硝煙の臭いを感じるほどでした。
今年はロッテルダム映画祭で四本日本映画を見ましたが、やはり「アウトレイジ」が作品としてはいちばんきちんとよくできていたかなと思いました。まあ予算とか、ねらいとか違いますから一概には言えませんが。さすが北野監督という感じです。



映画「花筐(Hanagatami)」@ロッテルダム国際映画祭2018

2018-02-05 09:43:17 | Movie
ロッテルダム国際映画祭で、大林宣彦監督作品「花筐」を見てきました。
最初に、大林監督からロッテルダム映画祭の観客に向けてのメッセージが映像で流されました。
二時間半くらいの長い作品で、シンボルを表現した感じの映像がストーリーの端々に挿入され、不思議な映画でした。
主人公を含め、メインのキャスト陣は、18、19歳くらいの年齢設定だと思いますが、役者が老けていすぎだなと思いました。窪塚俊介でもそうですが、特にキラ役の長塚圭史は中年にしか見えません。
女性陣は美しく、映えていました。おばさま役の常盤貴子はよくはまっていました。
主人公役の窪塚俊介も、ちょっとわたしにはミスキャストのような。
音楽もところどころうるさすぎると思いました。
いろいろ文句はありますが、二時間半じっくりと物語世界に入って楽しめたので、それはそれはよかったです。
大林監督の映画の雰囲気はすごく感じました。

映画「夜は短し歩けよ乙女」@ロッテルダム国際映画祭2018

2018-02-02 13:54:23 | Movie
今年はロッテルダム国際映画祭で映画を四本見ました。水曜日に行ったときは平日だったからか町はあまり賑わいを感じませんでした。
でもどの映画を見たときも観客の入りは満員かそれに近いものでした。
さて、湯浅政明監督のアニメーション映画「夜は短し歩けよ乙女」(Night Is Short, Walk On Girl)を見ました。
ぜんぜんわたしの好みの映画ではなかったです。まず、音が大きすぎでした。声のボリュームが大きすぎて耳をふさぎたくなりました。
また、原作が小説だからでしょうけれど、テキスト量が多くて、外国の観客は英語ネイティブじゃない限り、字幕を読み切れないと思います。
さらに、白っぽい絵の上に、白字の字幕のときが何度もあり、読みにくい、または読めないです。
いろいろと実験的な感じのアニメの手法など凝った部分はありましたが、なんだかなという感じでした。
たぶん、原作に思い入れのある人や、京都で学生時代をすごした人にとっては、感じるものの多い良い映画なのでしょうけれど。
オタワ国際アニメーション映画祭ではグランプリを受賞しているので、見る人がみればまた違う印象なのだと思います。

映画「飢えたライオン」@ロッテルダム国際映画祭2018

2018-01-31 14:24:32 | Movie
今年もロッテルダム国際映画祭へ行ってきました。
水曜日の夜に見たのは、「飢えたライオン」(The Hungry Lion)です。
彼氏がいて幸せそうな毎日を送っていた女子高生が、ネットにある淫らな動画に映っている女の子の本人だという噂がたち、どんどんと追い詰められていきます。
ドキュメンタリータッチで、エピソードがどんどん重ねられていきます。80分くらいの映画でコンパクトでよくまとまっていて、わかりやすかったです。
監督は緒方貴臣、出演は松林うらら、水石亜飛夢などで、高校の校長役でちょっとだけ竹中直人が出ています。画像では小さくてわかりにくいんですが、声ではっきりわかります。
映画が終わったあと、監督と出演者が登壇し、質疑応答がありました(写真)。
タイトルの「The Hungry Lion」は、アンリ・ルソーの絵に同名のものがあり、その絵のライオンに襲われているカモシカが主人公の女子高校生に見え、まわりの森の木などさまざまなメディアや傍観している人々のように見えることからの命名だそうです。
質問のなかには、日本社会の特殊性に及んで、「被害者の女性の母親が批判されるのか」や「なぜ女友だちは冷淡なのか」という疑問がありました。
オランダ社会でももちろんいじめはあり、日本だけの問題ではないし、SNSを通じたいじめもオランダであってニュースになっていました。
監督が語っていた、事件後、被害者の女性について、メディアでは清純な良い子という像を作り出しているのに、世間のレベル(噂話や口コミなど)ではだらしない不良な女子高生という像で語るのが好まれるというこの対照的な現象は、人間の嫌な部分を見せつけられていると思いました。
見たあとに、いろいろと考えさせられる映画でした。おすすめです。



映画「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」@Cinemac(ユトレヒト)

2017-12-24 12:43:53 | Movie
映画「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」を見てきました。
約二時間半の長い映画でしたが、楽しめました。
ストーリーは、メインの作戦が二転三転して、何これ?と少し思いましたが、「失敗からこそ多くを学ぶ」というメッセージの体現なのかなとも思いました。
カイロ・レン役のアダム・ドライバーがとても役に合っていてよかったです。この俳優どこかで以前に見たことがあるとずっと映画みながら思っていたのですが、スコッセシ監督の「沈黙 -サイレンス」で神父の役で出ていました。
またヒロイン役のデイジー・リドリーも好きなタイプの女優さんです。爽やかな感じがします。
いろいろと思ったことはあるのですが、ネタバレになるのでやめておきます。
監督のライアン・ジョンソンは、前作の「LOOPER/ルーパー」を見たことがあり、面白い映画だった印象があります。
今後スターウォーズシリーズは、新しいメンバーたちが中心になって進んでいくのでしょうね。新しい三人、フィン、ポー、ローズにそれほど魅力をわたしは感じないんです。でもまた新作が出れば見に行きそうな気がします。

映画「ブレードランナー2049」@Kinepolis(ユトレヒト)

2017-10-08 07:22:31 | Movie
映画「ブレードランナー2049」を見てきました。
2時間43分と長い映画ですがじっくりと楽しめました。ストーリーの展開はとてもゆっくりとしていて、最近のテンポの速い映画に慣れている人はうずうずするかもしれませんが、シーン、シーンの映像がとてもきれいなので物語世界にゆったりとひたれて、わたしにはとてもよかったです。
前作リドリー・スコット監督の「ブレードランナー」のほうは見ていますが、内容はまったく覚えていません。だから、この新作との関連などはわからないままでしたが、それでもじゅうぶん楽しめます。
新作の監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ。映画「メッセージ」の監督です。そういえば「メッセージ」もゆっくりとした映画でした。
主演はライアン・ゴズリング。映画「ララランド」の売れないジャズピアニストの印象が強くて、最初はイメージじゃない感じがしていたのですが、それなりに存在感があってこれもよかった。
雪が降るシーンで、なんとなく映画「シティ・オブ・エンジェル」を思い出しました。
細部までよく作られているので、大きな映画館で見てよかったと思います。ときどき日本語が画面に出てきたり、聞けたりします。
昔の「ブレードランナー」をまた見てみたいなあと思いました。
そうそうルヴ役のSylvia Hoeks(シルヴィア・フクス)はオランダの女優です。最近オランダのテレビに出てこの映画のプロモーションをしていました。
それから、ルブの指令室というか、あの光が壁に波のようにゆらゆら揺れるアートはOlafur Eliasson(オラファー・エリアソン)の作品のようでした。




映画「聖の青春」@Kriterion(アムステルダム)

2017-10-05 12:45:31 | Movie
日曜日に見た二本目の映画は「聖の青春」でした。若くして亡くなった村山聖棋士の実話をもとにした映画です。
原作の大崎善生著「聖の青春」をずいぶん前に読んだことがあって、感動したおぼえがあったので、映画もぜひ見たいと思っていました。
また主役の松山ケンイチや羽生役の東出昌大もどんな演技をするのかなぁと興味がありました。村山聖棋士は子どものころからネフローゼを患っていたので、むくみがある少し太めの体形で、松山ケンイチは実際にこの役のために太ったそうで、ぽっちゃりした手とか、よく感じがでていました。
東出昌大の羽生も、しぐさとか、すごくよく研究しているなあと思いました。
本を読んでいるので、ストーリー展開はもう知っていたので、そこには目新しさはあまりなかったですが、やはり少し原作とは違う部分もあったように思いました。
病気に侵され、死を近くに感じていると、物事の考え方にも影響するんだなと感じました。
医療が功を奏して、村山聖棋士もっと長生きできていたらよかったのにと残念です。
良い映画でした。