20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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「グラン・トリノ」

2009年05月06日 | Weblog
 せっかくのお休みなので、気分転換に映画を観てきました。
 お馴染みクリント・イーストウッド監督の「グラン・トリノ」です。
 つい先日、「チェンジリング」を観たばかりだというのに、またもや新作。
 おまけに今回、彼は、主演まで演じております。 
 もうじき79歳になるイーストウッド、恐るべしです。

 観ながら、この映画はもしかして、イーストウッド監督、最後の映画かしらと一瞬思ってしまいました。
 「生と死」というテーマが映画の根底を、あまりにも色濃く貫かれていたので。
 時代遅れの頑固な老人は、息子たちとも孫たちとも打ち解けられず、つき合い方もわからない孤独で不器用な男です。
 日本車に乗っている息子を苦虫をつぶしたような顔でにらみつけるのは、彼が長いこと、アメ車のフォードの工員だったからです。
 その彼にとって、いちばん大事なものは、70年代のフォード製の「グラン・トリノ」
 おまけに朝鮮戦争で、意味もなくたくさんの朝鮮人を殺してしまったという心の傷もあります。
 そんなさまざまな、内面からつきあげてくる思いをもてあましながらも、不器用でみんなにこころをひらくことも、うまくつきあうこともできずにいます。
 そんな孤独で頑固な老人を、イーストウッドはまるで自分の分身のように演じています。

 妻が死に、気がつけば隣家には、ラオスのモン族の家族が。
 そのモン族の姉弟とのつながりのなかで、少しずつ彼の気持ちがほぐれていき・・・。
 ラストは衝撃の結末です。
 このラストをみながら、これはもしかしたらイーストウッドの俳優人生の原点である「ウエスタン」に回帰したのかもしれないと思いました。
 自分で自分の人生に決着をつける。
 そのやり方が、きわめてウエスタン的で。

 いやはや、すごい監督です。すごい映画です。
コメント (2)
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