20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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『じぶんの木』(最上一平作・岩崎書店)

2010年01月06日 | Weblog
 友人の作家、最上一平さんの新刊絵本です。
 昨年、岩崎書店のT編集長に何冊かのご本と一緒にお送りいただいていたのですが、忙しくてなかなか拝読できず、ご紹介できないままでおりましたら、今度は一平さんからもご恵贈を。
 ご紹介が年明けになってしまいごめんなさい。他のご本はまだ拝読できずにおります。

 松成真理子さんの絵が、最上一平の叙情性をさらにうつくしく際立たせています。
 絵の力が、想いに具体性を持たせてくれています。
 これが絵本のすてきなところですね。

 さて『じぶんの木』93歳の「伝じい」というひいおじいちゃんと「わたる」の気持ちのつながりが綴られている絵本です。
 熊打ちの伝じいの聞かさせてくれる話は、いつもわたるの心に、壮大で豊かな世界を想像させてくれます。
 ふぶきの中、熊のねどこでひと晩過ごした話。雪をかぶった大朝日岳がまっかにもえるようにとてもうつくしかった話。
 春の山で若葉がもえだしたころのこの世のものとは思えない不思議さ。
 でもその伝じいが入院してしまいます。
 病床で伝じいは、今度はこんな話をわたるにしてくれます。
 それは「じぶんの木」の話です。

 人が生まれると、どこかにポッと同じように木が芽を出す。なんの木か、どこの山かは、だれにもわからない。
 けれどたしかに、じぶんの木というものがかならずある。

 その木は千年だって、二千年だって,生きつづけるものもある。んだから、ちっとも、さみしくはねぇのよ。

 このことばを最後に、伝じいは息をひきとります。
 伝じいと曾孫であるわたるとの心のつながりが、雄大な風景を背に豊かに描かれている絵本で、読んでいると胸がほこほこしてきます。
 皆さま、どうぞお読みになってください。

(そんなわけで手元に2冊あります。すてきな絵本です。一平さんの了解を得てありますので、欲しい方にプレゼントいたします。私のHPの「コンタクト」でお申し出下さい。送らせていただきます)
コメント (4)
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