もう、かれこれ30年以上おつき合いのある、友人の作家おふたりの絵本の新刊です。
『わたしたち うんこ友だち?』(高橋秀雄作・中谷靖彦絵・今人舎)
リアリズムで貧しさの中を懸命に生きる人びとのすがたを描き続けてきた、高橋秀雄さんの絵本です。
タイトルもセンセーショナルですが、中味も同じくです。笑ったり、しんみりしたり・・。
読みがたりしていると、「うんこ」の詳細な描写に、くすぐったいような、恥ずかしいような気持ちになります。
けれど、そこをさらにすすんでいくと、その「うんこ」の描写まで、リアリズム作家の高橋秀雄の筆だと納得させられます。
「うんこ」をリアリズムに仕立て上げ、逃げずに書いています。
また、友情をこんな視点から描く,彼のユーモアとセンスの見事さの光る作品です。
『千年もみじ』(最上一平作・中村悦子絵・新日本出版社)
同じくリアリズムの旗手、最上一平さんの絵本です。
最上一平と高橋秀雄は、なんと釣り仲間。お互いどちらが名人か、会えば口角泡を飛ばし言い合っている仲です。
私はそんな子どものようなオトコたちの様子を、もう30年もそばで見ている友だちです。
叙情的リアリズムを書かせたら右に出るものがいないと言われるくらい、最上一平の文章には定評があります。
この絵本も、そんな彼の筆が光っています。
川辺の紅葉のうつくしさと、「戦争」が、ここには静かに豊かに描かれています。
皆さま、どうぞこの2冊の絵本、ご覧になってください。