20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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木の洞

2015年01月27日 | Weblog

           

            

 いつも歩いている公園の、桜並木は、そのすべてが老木です。

 

 午前中に歩くことが、ほとんどですが、たまに日の暮れかけた時間に歩いていると、ふと、木の洞がこちらを見ているような錯覚を覚えることがあります。

 洞の中には、小さな、名前の知らない生きものが生息していて、こちらをじっと見ている・・・。

 この洞は、実は奥にずっと空洞が続いていて、その空洞を辿っていくと、地下に続き、そこから異界につながっていく。

 

 暮れかけた薄墨色の空が、そんな気分に、私を誘うのかも知れません。

 朝のかがやくような日をあびた桜の老木は、いつも冬枯れの木立をこちらにやさしく揺するだけです。

 

 危うく、誘い込まれそうになった私は、あわててその場を離れます。

 落日が、最後の力を振りしぼり、公園にひかりを差し込んでいました。

コメント (2)
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