毎年暮れになると、この「Best Mozart 100」のDisc6に入っている、「レクイエムニ短調」や「ミサ曲ハ短調」などを、暮れゆく空をみながら聴いています。
けれど昨年の暮れは忙しくて、その余裕がまったくありませんでした。
年があけ、今ごろになって、パソコンに向かいインストールしてある、これらの曲を聴きながら仕事をしています。
暮れに、このモーツアルトの宗教音楽を聴くのは、その年に亡くなった人を悼み、偲び、想うためです。
昨年は、作家デビュー以来お世話になった、ポプラ社前社長の坂井宏先さんと、年上の作家の友人、井上夕香さんがお亡くなりになりました。
坂井さんについては、秋に、彼にお世話になった、ごく親しい作家・画家たち40人ほどで、内輪的な偲ぶ会を行いました。
夕香さんについては、お線香をお供えしていただこうとお送りしたことで、暮れにご主人からお電話をいただき、しばしの時間、彼女を偲びながらおしゃべりをしました。
新年になって、「Best Mozart 100」を聴いてなかったことを思いだし、あらためてDisc6を聴きました。
すると、その趣きが違っていることに気づきました。
宗教音楽が、かがやきに満ちた、希望の曲に思えてくるのです。
「聖マリアのリタニアより」などを聴いていると、新しい年への祈りの曲に聞こえてくるから不思議です。
どうやら音楽というのは、そのときの気持ちに反射して、胸に届いてくるもののようです。