20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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『印度漂流』

2015年11月27日 | Weblog

          

 今朝、新聞で辛島昇さんご逝去を知りました。

 辛島さんといったら南アジアの研究家です。

 私が彼の書物に出会ったきっかけは、藤原新也の『印度放浪』でした。

 悠久のガンジス川、そこに浮かぶ人間の遺体。

 藤原新也のカメラと筆は、ぐんぐんと印度の奥深くまで踏み込んでいきます。

 

 あの時代、藤原新也に影響されていた人は多かったはずです。

 『西蔵漂流』ではチベットのオレンジの衣をまとった僧たちの、生々しい人間性にもふれていました。

 

 さて辛島昇さんです。

 『印度放浪』に端を発し、私はそれから何冊かインドに関連する本を読みました。

 そして出会ったのが、辛島昇さんでした。

 むろん、お会いしたことも、お話したこともありません。ただ著者として、その生き方に惹かれたのです。

 『インド・カレー紀行』には、インド料理、カレーなどに使われる何十種ものスパイスの話や、カレーを通してインドの歴史や文化が語られています。

 ジュニア新書なので、とてもわかりやすく書いてあります。

 

 そういえば、友人Tさんに教えていただき、アマゾンで取り寄せて、昨日から「クミン」を使っています。

 まさに「アジア!」といった香りの強いスパイスです。

 お料理には、どうしても使えなくて(夫は平気な顔でヨーグルトにいれて食べていますが)粉薬みたいにして、飲んでいます。

 その瞬間、アジアの香りが手のひらを駈けぬけます。

 その手で新聞をめくり、辛島さんのご逝去を知りました。82歳だったそうです。

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