20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
毎日更新。児童文学情報・日々の暮らし・超高層からの眺望などニュース満載。

木雨(きあめ)

2008年07月09日 | Weblog
 昨日の午前中、雨上がりの写真です。

 ひと雨ごとに木々の緑が色濃くなり、買い物へと続く道はすっかり真夏の気配です。
「ん?」
 歩いていたら、とつぜん頭の上に木々の葉っぱに溜まっていた雫が、ぱらぱらと落ちてきました。
 
 これを「木雨」というのだと、教えてくださったのは、句友の空々さんです。
 葉っぱの上にのった雨の重たさに耐えられなくなった木々が、力いっぱいそれをふり落とします。その瞬間「木雨」がふります。

 雨上がりに木々の下を歩くとふいに冷たいものが頭上を直撃し、驚くことがあります。
「え、また雨? せっかくやんだと思ったのに」
 ぶつぶつつぶやきながら、空を見上げると、それが木からおちてきた雨だということ知り、今度は木の下を避けて歩きだします。
 けれど、この「木雨」という言葉を知ってから、なんだか、そんな木のいたずらが楽しくなりました。
「あ、また木雨だ」
 思わず木々を見上げ、友だちと出会ったときみたいな気持ちになって。
 
 雫が落ちてくるというただ茫洋とした感覚に、言葉という形が加わるだけで、こんなふうに気持ちが豊かにふくらむことに、言葉の力ってほんとにすごいとしみじみ思わされます。
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ジェットコースターと飛行機の離着陸は同じ感覚か?

2008年07月08日 | Weblog
 昨日、飛行機にのっていてふと思ったのは、ジェットコースターと飛行機の離着陸の瞬間ってもしかしたら同じ感覚かもしれないということでした。

 あれは、娘がまだ2~3歳の頃。息子が1年生頃のことだったでしょうか。
 そのころ私たちは世田谷の二子玉川に住んでいました。
 そして休日になると子どもたちにせがまれて、よく近くの「二子玉川遊園地」に出かけていったものです。
 
 ある日、猛スピードで走るジェットコースターを見上げた娘が、
「あれに乗りたい」
とつぜん指さしながら、そんなことを言いました。
「私は無理よ。ぜったいだめ!」
 ジェットコースターと聞いただけで、身の毛のよだつ私は、さっさといちぬけたを宣言しました。
 代わって夫が、
「ぜったい泣かないって約束できる?」
 娘にそう約束させて、子どもたちを連れてジェットコースターに乗りこみました。
 そんなみんなの様子を、冷や冷やした思いで、日傘をさしながら下から見上げていました。
 へびのようにくねりながら猛スピードで走り抜けたジェットコースターがとまり、なかから夫に手をひかれた娘が青ざめたぐったりとした表情でおりてきました。
「泣かないって約束したから、泣くのを我慢したらしいよ」
 笑いながら夫が言いました。
「もう一度、乗りたい?」
 青ざめた娘の顔が殊勝で、あんまり可愛かったので、夫はつい茶化してみたくなったようでかまうように言いました。
 娘はもう二度といやだというような、頑なな表情を浮かべると、おかっぱ頭を大きく横にふりました。

 昨日、離着陸の瞬間、体をこちんこちんに硬くして心臓をばくばくさせながら、あのとき幼かった娘は、きっとこんな気持ちだったのだろうな、と思いました。
 けれど大人になった彼女が、ジェットコースター嫌いだという話を聞いたことがありません。私だって、しばらくすればまた飛行機にのってどこかへいくことになるでしょう。
 人間、喉もとすぎれば・・・の、ことわざ通りです。だから元気に、こうして生きていけるのでしょう。

 さて今夜は、18:00から「子どもの本・九条の会」の会報部部会に出席の予定です。D社元取締役編集長だったKさんが、部長としてすごく張りきってくださっています。
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とんぼ返り

2008年07月07日 | Weblog
 今朝はこれから、とんぼ返りで広島行きです。
 
 実は、わたし、飛行機が、まったくもって苦手です。
 なにが苦手かって、あの飛び立つとき轟音をあげ、猛スピードで動きだし、ふわっと空に浮かぶあの一瞬が・・・。
 すごく怖いのです。
 いつもその瞬間になると、恐怖でびっしょり汗をかいた拳をぎゅっと握りしめ、
「おろしてー!」
と口のなかで叫びます。
 
 今日も、行き帰り、またあの恐怖を体感しなければならないと思うと、想像しただけで、ぞっと身が縮みます。 
 
 
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『ひかる! 本気<マジ>。負けない!』(そうえん社刊)

2008年07月06日 | Weblog
 そうえん社の新シリーズがスタートしました。
 小学校3~4年生向けシリーズ「ポップ ステップ キッズ!」です。
 
 新シリーズ第一弾は、後藤竜二さんの『ひかる! 本気<マジ>。負けない』です。絵はいま注目の画家、スカイエマさん。
 本を手に取った瞬間、まずはその表紙のインパクトに度肝を抜かされました。
 この画家の構図はとにかくすごい。アバンギャルドです。
 うごめく子どもたちの表情やアングルが。
 
 比較的おとなしめの装丁の本が多かったそうえん社が、児童書の世界に挑戦をしかけてきた、と思いました。
 そしてその絵をぐいぐいとひっぱるように、後藤竜二の筆が冴えます。
 出だしから、ぐいっと。
 登場人物たちが圧倒的な存在感で。
 
 なんにでも本気で挑む、主人公である四年生の女の子「ひかる」
 彼女のこの本気さは、時として、トラブルも招きます。
 そんなとき思い出すのは、父さんの遺言。
「人をうらんじゃいけないよ。前進あるのみ。GO! GO!」
 この遺言を自分にいいきかせては、こころのバランスをとっているのです。
 そんな彼女の前に登場するのが、ハイヒールで走る女性、海堂志帆。
 この先生の存在感も半端ではありません。
 なにしろ、はじめての自己紹介が
「海堂志帆です。負けずぎらいです」
 なんですから。
 負けずぎらいでは、ひけをとらないひかるも負けずにいいます。
「尾関ひかるです。チョー負けずぎらいです」
 先生をにらむように見つめていうと、
「わたしは、チョーチョーチョー負けずぎらいです」
 先生はにやっとしていいかえします。
「わたしはチョーチョーチョー・・・」
 
 実はその朝、ひかるは先生に(そのときは先生だとは知らなかった)追い越されるのです。
 負けずぎらいのひかるは、あわてて追い抜き返します。するとさらにその女の人はひかりを追い抜き、ふたりは校門まで走るはめに。
「チョーチョーチョー」の場面は、そんな前段があって繰り広げられるシーンなのです。
 小学校中学年くらいの、いじっぱりな女の子の意地とプライドが、実に見事に描かれています。
 そしてそこに、ハイヒールの大人の女性である海堂先生というスパイスが、鼻をつんとさせるくらい強烈に効いていて。
 
 けれど物語の本質は、子どもたちの関係性です。
 後藤竜二はほんとうにブレない作家です。いつでも、どんなときでも、子どもたちの関係性を丁寧に、さまざまな文体を駆使しながら逃げずに本気で立ち向かって書いていきます。
 そのブレのなさに、私は、後藤竜二の子どもたちにむけての思いの深さと信念を見るような気がします。
 
 日本絵本大賞・読者賞をダブル受賞された『おかあさん、元気ですか』(ポプラ社刊)で、後藤竜二は、ハイヒールをかきならしながら歩くカッコいい、それでいてちょっと口うるさいお母さんを描きました。
 この『ひかる!』のひかるも、先生も、どうやら一筋縄ではいかないくらい負けずぎらいで、鼻っ柱の強そうなオンナたちです。
 そして、後藤竜二が、いまの時代、男の鼻の一本や二本、簡単にへし折りそうな元気のいい活きのいい、ひかるや海堂先生のようなオンナたちを描き出したということに、とても興味を惹かれます。
 さて、シリーズ第二弾。
 ひかると海堂先生は、意地を張り合いながらも、こんどはどんなことに挑んでいくのでしょう。

 みなさん、必見です! ぜひ。
 
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粒ガムか板ガムか

2008年07月04日 | Weblog
 仕事場の机の上にはいつもガムを置いています。
 ここ数年は、「ブラックブラック」のワンプッシュタイプのボトルです。
 思考が途絶えたり、いよいよクライマックスへといった、限りなく力の入る瞬間。私ははやる気持ちをじらせるように、敢えてひと呼吸いれます。
 そのとき、役にたってくれるのが、このガムです。

 ところがある日、ふと店先で、むかしなつかしい板ガムのグリーンガムに目がいきました。鼻にかざしてみるとスッとしたミントの香りがパッケージの上からかすかに漂ってきます。無性になつかしい匂いです。
 なつかしさのあまり、私はそのグリーンガムを買い求めました。
 板ガムは噛みごたえがあって、ことのほか気に入りました。
 
 それ以来、私の机の上には、「ブラックブラック」のワンプッシュボトルにかわり板ガムが乗っています。
 いまのお気に入りは、「キシリトール・ガム」のスーパークールです。
 糖衣にくるまれた粒ガムを噛んだとたん、甘さと一緒にぷちぷちはじける感触に慣れた人には、この板ガム、概ね不評です。
 でも、私のなかではこの板ガムが、いま、なんてったってマイブームなのです。
 ひとつだけ不満なのは、板ガムのほうが断然、消費速度が早いということでしょうか。

 
 今日は娘夫婦のお引っ越し。これからお手伝いに出かけます。
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無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ

2008年07月04日 | Weblog
 音楽というのは不思議なものです。
 昨日、パソコンにインストールしている曲を聴きながら仕事をしていたら、バッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ」が流れてきました。
 その曲が耳に飛び込んできたとたん、ふいに真夏の、アメリカ中西部の町を思い出したのです。
 いつもそうなのです。この曲とアメリカ中西部の町。ネイティブアメリカンの人たちが暮らした土地。
 
 その町は、真夏だというのに日陰に入ると冷蔵庫に入ったようにひんやりした空気が流れ、太陽の下に立つとじりじりと肌を焦がすように日が照り返します。
 なぜかいつも、この曲を聴くたびに、その町のことを思い出すのです。
 
 それがなぜ、バッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ」なのか。
 理由など、いまもってまったくわからないのですが。
 
 赤い地肌の山々が黒いシルエットを残しながら、一日のおわりを告げようとしている瞬間。山の端のどこからかコヨーテの遠吠えが聞こえてきそうです。
 その光景は荘厳でありながら、どこか切なくて・・・。
 きっと、アメリカ中西部の町は、数年たったいまでも、私の胸にそんな印象を残しているのでしょう。
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梅雨の夕景

2008年07月03日 | Weblog
 梅雨の晴れ間。ある日の夕景です。
 この季節の夕暮れは湿気と熱気のせいか、晴れだというのに西の空が靄っています。
 この靄のかかった感じが、どことなく、この季節の夕暮れに気だるさと退廃感を与えています。
 
 それにしてもこの写真。
 まったく緊張感のないゆるさと、ややオレンジがかった色でどこまでも広がっている、間の抜けた空の余白。
 この失敗作の写真が、意外といいかも、って思うのは、たぶん私だけでしょうね。
 
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夏野菜

2008年07月02日 | Weblog
 夏野菜のおいしい季節です。
 茄子の揚げ出し、トマトのサラダ、いんげんの胡麻和え、かぼちゃのガーリックバター炒め、夏野菜の辛みソースかけ、などなど・・・。
 
 夏野菜たっぷりの夜は、お楽しみそうめんを作ります。
 平らな大きなガラスの器にはそうめんをのせ、回りにオクラの小口切り、焼きかまぼこ、茹で茄子、キュウリ、茗荷、椎茸の含め煮、穴子、エビ、わかめ、錦糸卵で彩りを添えます。
 それを鰹節と昆布で充分にとったお出汁のつゆで、いただきます。
 たったそれだけなのに、食卓が華やかに装います。
 おまけにヘルシーです。
 
 そしてそんな夜は決まって、秩父のお祇園・川瀬祭りの笠鉾の山車と、夜空を焦がす打ち上げ花火の音を思い出します。
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カテゴリー分類

2008年07月01日 | Weblog
 いよいよ今日から7月です。7月は別名、七夕月(たなばたづき)とも呼ばれているようです。
 七夕の月。夏が近づいてきたわくわくした気持ちと、短冊に願いをこめた七夕飾り。
 そんなちょっと浮き足だってくるような、夏の入り口の月です。
 
 じつは5月の中頃、友人の求さんからblogをカテゴリーに分類したら?というご提案をいただきました。
 そしてお忙しい求さんが、具体的なカテゴリー名まで作って私のblogを分類するために、添付ファイルでまとめてお送りくださったのです。
 
 ご存じのように、求さんは編集者としてのお仕事がいくぶん落ち着かれた頃から、blogの運営をはじめられました。
 求さんのblogには、日に800人以上の方がお見えになります。まさしく人気blogです。
 お仕事のこと、お酒のこと、移りゆく季節のこと、韓国ドラマのこと、習っていらっしゃる韓国語のこと。
 写真満載で、日々を求さんらしい、やさしいやわらかな視点で綴っていらっしゃいます。
 ついでにお教えしちゃうと、奥さまのblogはさらに人気で、日に1000人は軽く越える人たちが閲覧にいらしているようで、ブログシティランキングの上位、ご常連です。

 そんなおふたりのblogは、お人柄のにじみ出たとってもステキなblogです。奥さまを直接は存じ上げませんが、blogを拝見していると、とってもステキなチャーミングな方だということが拝察できます。
 人気の秘密が、わかるような気がします。

 求さんにお目にかかった折りにそんなお話をしていたら、後日、求さんがお忙しいなか、カテゴリーの具体的な提案を添付ファイルで作ってくださったのです。
 blogをカテゴリー別に分類した方がblogを閲覧して下さる方々への興味や関心の中心になる核ができるそうです。

 ところが、そのカテゴリーをblogのなかで分類する方法がわからないのです。
 子どもたちが遊びに来たら、やってもらおうと手ぐすねをひいていたのですが、とにかくその子どもたちが忙しそう。遊びに来てもお願いを口にだせないでいるところです。もうしばらくしたら彼ら彼女らもいろいろが落ち着くので、その機会を待っているところです。
 いつでも出来るようにと、いただいた添付ファイルをDesktopに貼り付けてスタンバイしているのですが。
 そんなわけで、毎日パソコンをひらくたび、求さんからお送りいただいた資料を横目で見ては、まだ出来ずにいることに、申し訳ないような、情けないような、縮こまった気持ちでいます。
 求さん、ほんとにごめんなさい。
 
コメント (12)
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